この記事を読むのに必要な時間は約 64 分です。
お悩みポイント
- 子どもが学校をイヤがる
- 「不登校かも」と思うけれど、色々わからない
- 不登校について、ひと通り知っておきたい
子どもが学校を行き渋ると心配ですよね。
この記事は「うちの子、もしかして不登校?」と感じている方に向けて、元不登校経験者がお話しします。
【平均3週間で不登校解決プログラム】を展開する小川涼太郎さん監修のもと、お話しする内容は次のとおりです。
記事を読むとわかること
- 不登校の定義
- 学校がイヤになるワケ
- 不登校のはじまりから終わり
- 適切な対応・コミュニケーション
この記事1つで、不登校の疑問から解決方法までわかります。
あなたの抱える「わからない」が、少しでも軽くなれば幸いです。
1. 不登校とは「学校に通っていない」
不登校とは「学校に通っていない状態・状況」です。
「学校に通っていない」と言っても事情は子どもにより様々で、経済的・病気が理由の子どももいます。
そのなかでも私たちは主に、経済的・病気ではなく、「これまで通っていたけれど通えなくなったもの」を不登校と呼んでいます。
経済的・病気以外を理由にした不登校は、文部科学省が定義しています。
1-1. 文部科学省による不登校の定義「何かしらによる年間欠席日数が30日以上」
文部科学省による不登校の定義は次のとおりです。
- 何かしらにより、登校しない・登校したくてもできない(経済的・病気除く)
- 年間欠席日数が30日以上
定義上では、欠席日数が30日と定められています。
しかし、「出席しているが不登校の傾向にある生徒の存在」が判明している時点で、不登校は「学校に行きたくないな…」と、無理をしている時点で始まっているものです。
1-1-1. 「不登校の傾向あり」は不登校の子どもより多い
日本財団による「不登校傾向にある子どもの実態調査」で「『学校がツライ』と感じながらも、学校生活を送っている生徒が多数いる」ことが明らかとなりました。
潜在不登校の多さは、文部科学省も指摘しています。
(前略)実は、校内にはたくさんの不登校予備軍と言ったらおかしいが、そういう可能性を持っている子たちがたくさんいる。
出典:文部科学省 不登校に関する調査研究協力者会議フリースクール等に関する検討会議合同会議(第20回)議事要旨
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1417949.htm
なぜ「学校に行きたくない」と思うのか、要因も見てみましょう。
2. 不登校の最多要因は「無気力・不安」小中高ごとに詳細を解説
文部科学省による調査の結果では、無気力・不安は小中高すべてにおいて、不登校の要因のトップ。
学校・家庭によるストレスが溜まった結果、極度の無気力・不安になったと考えられます。
不登校の要因は大きく分けて4つ、うち3つはさらに分けられます。
簡単にまとめると次のとおり。
- 学校に係る要因(いじめ・友人関係・学業不振など)
- 家庭に係る要因(家庭環境の変化・親子関係など)
- 本人に係る要因(生活リズム・情緒)
- 該当なし
ここからは不登校の要因を、小学生・中学生・高校生ごとに見てみましょう。
- 【小学生】無気力・不安を招く「親子の関わり方」
- 【中学生】無気力・不安のワケは「友人関係と思春期の不安定さ」
- 【高校生】無気力・不安は「学校生活のストレスによる生活リズムの乱れ」から
2-1. 【小学生】無気力・不安を招く「親子の関わり方」
小学生の不登校の要因トップは、本人に係る要因の無気力・不安。
次点は家庭係る要因の、親子の関わり方です。
親子の関わり方は、友人・教職員との関係と比較しても目立ちます。
小学生は学校の人間関係よりも、親子関係から影響を受けやすい
と言えます。
2-2. 【中学生】無気力・不安のワケは「友人関係と思春期の不安定さ」
中学生も不登校の要因のトップは、本人に係る要因の無気力・不安。
次が学校に係る要因の、友人関係です。
中学生は小中高のうち、もっとも友人関係に悩んでいます。
あなたも、中学時代に1度は友人関係に悩んだ経験があるはず。
中学時代、思春期において人間関係で悩みやすいのは、友人関係が次の3つを担うためです。
- 対人関係の学習
タテ(親と子・先生と生徒)ではなく、ヨコ(友人)のつながり - 情緒安定化
相談・慰めによるサポート - 自己形成のためのモデル
比較・友人のモデル化をもとに、自分をつくる
中学生の時期は、みんなが思春期の真っ只中。
友人やクラスメイトとの関わりが、いつもスムーズとは限りません。
中学生の不登校には、思春期特有の揺らぎと友人関係が複雑に絡んでいるのです。
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2-3. 【高校生】無気力・不安は「学校生活のストレスによる生活リズムの乱れ」から
高校生の不登校の要因は本人に係る要因の無気力・不安に続き、生活リズムの乱れが目立つ結果に。
- 友人関係
- 小中とは異なる環境
- 学業の不振
- 進路の不安
など学校生活すべてがストレスとなり、生活リズム・情緒にも強く影響していると言えます。
また、小中学生に比べて該当なしの割合が多いのも特徴。
該当なし増加には、思春期の特徴が絡んでいると推測できます。
- 自分のことを語りたくない
- 感情・事情を表現できる的確な言葉を持たない
- 「大人にはわからない」と思っている
- 「言わなくても、わかってほしい」と思っている
お子さんが高校生なら「どうして話してくれないの?」の前に、「話せない・話したくない」と感じている背景を考える必要もあります。
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3. 不登校4つの時期「前兆期・進行期・停滞期・回復期」
不登校の定義は次のとおりでした。
ポイント
- 何かしらにより、登校しない・登校したくてもできない(経済的・病気除く)
- 年間欠席日数が30日以上
不登校の要因は次のとおり。
ポイント
- 学校に係る要因(友人・教師・成績・クラブや部活・校則・進学進級など)
- 家庭に係る要因(家庭環境・親子関係など)
- 本人に係る要因(生活リズム・情緒など)
- 該当なし
不登校の定義・要因の次は、不登校の始まりから終わりを解説します。
主に不登校は、次の4つの時期を進みます。
- 前兆期(行き渋り・欠席の増加)
- 進行期(欠席が続く)
- 停滞期(進展なし)
- 回復期(不登校からの脱却へ)
順に見てみましょう。
3-1. 【前兆期】行き渋りは「子どもからのSOS」
前兆期は、不登校の入り口。
親御さんから見ても、行き渋り・欠席が増えていることがわかるでしょう。
前兆期において「行きたくない」を言い出せない子は、行動でアピールします。
- 登校準備に時間をかける
- 体の不調を訴える(頭痛・腹痛・吐き気・だるさなど)
- 登校させようとすると、反発する・泣く
アピールの裏にはSOSが隠れており、精神的にはギリギリです。
「『学校に行きたくない』ことに早く気づいて!」
前兆期の行き渋り・欠席の段階で、次の2つができると深刻化を防げます。
- SOSに気づく
- 「学校に行きたくない」を受け入れる
やりがちですが、学校に行きたくない理由を問うのはNG。
「何がイヤなの⁉︎」と聞くほど、後々こじれます。
※YouTubeサイトへ移動します
登校前に体調不良を訴えるケースの不登校は次の記事に詳しくまとめています。
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3-2. 【進行期】親は不登校を実感・子どもは現実逃避
進行期は欠席が続き、親御さんが「これが不登校…」と実感する時期です。
お子さんは次のように現実逃避します。
- 好き・興味のあることには没頭
- 学校の話題は避ける
さらに、心が擦り切れたギリギリの自分を守るため、学校にまつわる物事・人物などを徹底的に排除します。
- 学校というイヤな場所・起きた出来事
- 不登校であることへの負い目
進行期に見られる昼夜逆転やゲーム漬けも、一種の自己防衛です。
ゲームばかりにもワケがある
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3-3. 【停滞期】不登校からの抜け出し方が「わからない」
停滞期は親子ともども打開策を見つけられず、混乱する時期です。
お子さんは、次のように場当たりな言動が増加傾向に。
- 勉強・進路に対し、不安もしくは投げやりになる
- 落ち着いているように見えるが、学校の話題は渋る・避ける
- 「明日は学校、行こうかな」と言い出すが、行動しない
停滞期の子どもは暇を持て余しているため、「何かしなければ」とは思います。
しかし「何をどうすればいいのかは、わからない」のです。
あなたはきっと、お子さんの姿を心苦しく思うでしょう。
しかし、闇雲に手を出しても空回りします。
少し立ち止まって、子ども・不登校との向き合い方を改めましょう。
落ち着いて行動するための、ゆとりが生まれます。
※YouTubeサイトへ移動します
3-4. 【回復期】不登校からの脱却へ
回復期は充電期間を経たことで、気持ちも行動も前向きになる時期。
お子さんは情緒の安定から余裕も生まれ、積極性が増します。
- 勉強・学校の提出物にも手をつけられる
- 家族や先生と学校のこと・今後について話せる
- 物事に対し、自分から取り組む
「学校に行ってみようかな」の意思表示も出るころ。
必ず学校や支援機関と連携し、登校の練習から検討してみましょう。
こちらの記事では、不登校から復学までの子どもの心境を段階別に解説しています。
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4. 不登校の子どものためにできること「サポーターとして動機づけをする」
不登校の子どもが、自力で不登校を解決するのは難しいです。
このため、あなたがサポーターとして動機づけをする必要があります。
不登校の子どもの心情は「何もしたくない」「何もかもイヤだ」と、とにかくネガティブ。
頑張る気力など一切ないため、見守るだけでは何も進展しません。
※YouTubeサイトへ移動します
だからこそ、あなたがサポーターになってお子さんを支える必要があります。
ただ、急に「サポーターになりましょう」と言われても戸惑いますよね。
ここからは「サポーターはどういった心持ちで、より具体的に何をすればいいのか?」を解説します。
- サポーターとしての「心構え」
- 動機づけをスムーズに!「子どもを取り巻く環境を整える」
- 環境を整えるにも役立つ「今日からできる4つのこと」
- 【小中高ごと】知っておきたい対応とコミュニケーション
心構えだけでも知っておくと、精神的にラクになりますよ。
4-1. サポーターとしての「心構え」
「心構え」ができると不登校の捉え方が変わり、ゆとりを持ちやすくなります。
- 「子どもが不登校であること」を受け入れる
- 不登校を子どもの「人生」から俯瞰する
サポーターの心構えを見てみましょう。
4-1-1. サポーターの心構え①「子どもが不登校であること」を受け入れる
まずは、あなたが、「子どもが不登校であることを受け入れる」必要があります。
不登校である事実を受け入れられないと、視野が狭くなり、目の前の状況しか見えません。
不登校を受け入れるカギは「学校に行ってほしい」という気持ちを、ストップできるかです。
- 「なんで?どうして?」
- 「学校に行ってよ!」
親の感情を優先するのではなく、子どもの事情・気持ちをイメージしてみましょう。
「それまでは学校に行けたのに、行き渋ったり行けなくなるのは、それなりの出来事・理由があるのかも…?」と。
- 子どもには、学校に行けない「事情」がある
- この子は、「学校に行けない・行きたくないんだ」
あなたの中で、感情がストンと落ちた瞬間こそ、あなたが現状を受けれた証と言えるでしょう。
\ 同じ悩みを抱える人とつながることも、不登校を受け入れることにつながります /
4-1-2. サポーターの心構え②不登校を子どもの「人生」から俯瞰する
不登校は「今」の視点から見ると頭を悩ませるものですが、「未来・人生」の長期的な視点から見ると捉え方が変わります。
思い切って、人生の下積み・のびしろを大きくしていると考えてみましょう。
- 不登校は、成長・発達するためにある
- 不登校は「さなぎ」の時期
不登校は短期的に見れば「学校に行けない」ですが、長期的に見れば「大人になるための過程」です。
考え方のアップデートで心もラクに!
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サポーターとしての心構えをまとめます。
ポイント
- 子どもが不登校であることを受け入れる
- 不登校を子どもの「人生」から俯瞰する
心構えの次は、動機づけを確実で効果的なものにするためのヒントです。
4-2. 動機づけをスムーズに!「子どもを取り巻く環境を整える」
あなたからお子さんへの動機づけを効果的なものにするには、「子どもを取り巻く環境」を整える必要があります。
子どもを取り巻く環境とは、次の要素を含みます。
- あなたと子どもの関係
- 家庭全体の様子
- 子どもの生活リズム
環境が整っている・整っていない場合を比べてみましょう。
子どもを取り巻く環境が「整っている」
- 動機づけができる:コミュニケーションがとれる&信頼関係がある
- 思考・メンタルが前向き:不登校の負い目が小さい
- 多少の元気がある:生活リズムが整っているため、体調不良を起こしにくい
子どもを取り巻く環境が環境が「整っていない」
- 動機づけができない:コミュニケーションがとれない&信頼関係がない
- 思考:メンタルが後ろ向き:常にプレッシャーを受ける
- 元気がない・うつ傾向:生活リズムの乱れにより、体調不良を起こしやすい
子どもを取り巻く環境1つでお子さんへの動機づけは、「意味と効果がある」・「無意味」に分かれるのです。
次は、環境を整える際にも使える「できること」です。
4-3. 環境を整えるにも役立つ「今日からできる4つのこと」
あなたが今日から取り組めることは、次の4つです。
- 子どもの話を聴く
- 生活サイクルは乱さない・正す
- 「自信を持って」よりも「やればできるよ」
- 子どもの「居場所」をつくる
1つだけ取り組むよりも、すべてを少しずつ行う方が相乗効果を狙えます。
4-3-1. 子どもの話を聴く
聴くとは、コミュニケーションにおいて大切なこと。
子どもの話に耳を傾けることは、あなたとお子さんにそれぞれメリットがあります。
あなた(親御さん)のメリット
- 不登校の引き金・乗り越える課題が見えてくる
- 子どもの感情・考えのヒントが掴め、サポートの方向性が定まる
お子さんのメリット
- 「聴いてもらえた」実感により、情緒が安定する
このとき、いきなり「何があったの? 何がイヤなの?」と聞いても、お子さんは口を開きません。
意外と、何気ない会話のなかで、さりげなく聞く方が話してくれます。
子どもが話し始めたら、次の2つを意識してください。
- とにかく聴き役
- 気持ちをあらわす言葉に注目
お子さんの望みは、あなたに自分の感情・考えを受け入れてもらうこと。
お子さんが「○○がイヤだった」と言ってきたら、次のように返します。
- 「○○がイヤだったんだね」
- 「そうだったんだね」
感情を確認するひと言があると「共感してもらえた」と感じるため、話をしてくれるようになります。
4-3-2. 生活サイクルは乱さない・正す
生活サイクルが狂うと体と心が不調になるため、なるべく乱さないようにさせましょう。
昼夜逆転は不登校あるあるなので「放っておいても大丈夫」と思いがちです。
しかし、1度狂った生活リズムを戻すには、それなりの時間・気力が必要になります。
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4-3-3. 「自信を持って」よりも「やればできるよ」
あなたにはお子さんに対して「自信を持って」より、「やればできるよ」を伝えてほしいと思っています。
- 「やればできる」は魔法の言葉
- お子さんの挑戦を後押しして、成長を促す
「自信を持って」は、不登校の子どもにはハードルの高い言葉。
不登校の子どもは、自分で自分を信じられないのです。
- 「自分はダメなヤツだ」
- 「どうせ何もできない」
ネガティブな言葉が出るのは、「『学校に行く』みんな当たり前にしていることが、自分はできない」事実を痛感しているため。
お子さんには「できることがあるよ。やればできるよ」を、たくさん伝えてください。
「やればできる」を実感できれば、自力で前進するようになります。
4-3-4. 子どもの「居場所」をつくる
不登校の子どもは心を閉ざして引きこもる傾向があるため、早い段階で居場所をつくることが必要です。
居場所は、次のように子どもが安心できることが重要。
- 素のままで居られる
- 心をさらけ出せる
居場所は、次の2つに分けられます。
- 家(家族)
- 社会(外の世界)
家(家族)はとくに重要です。
4-3-4-1. 子どもの居場所①家(家族):「安心して不登校でいられる」が信頼の証
家(家族)はお子さんの不登校に対し、負い目を感じさせない環境が求められます。
ポイントは子どもが「不登校でも大丈夫なんだ」と思えるか。
あなたや家族が次をしていないかをチェックする必要があります。
「『不登校』を責められない」とわかると、子どもは安堵します。
安心感を得られたことで次の要素へとつながり、家(家族)が居場所として機能するのです。
- 信頼関係の強化
- コミュニケーションの発生・増加
反対に、家(家族)が居場所ではない場合、次のトラブルが生じます。
- 不信感による引きこもり・孤立
- コミュニケーションの拒否
これでは、社会(外の世界)に居場所をつくるどころの話ではなくなります。
\ すでに引きこもりでも大丈夫です! /
4-3-4-2. 子どもの居場所②社会(外の世界):他者からの受け入れと安心感が重要
社会(外の世界)にも居場所をつくると、次の効果が見込めます。
- 家族のほかにも、自分を受け入れてくれる人がいるとわかる
- 家族以外との関係を築ける
- 外出のきっかけになる
居場所の候補は次のとおり。
- 教育支援センター(適応指導教室)
- フリースクール
- 不登校の子ども・親御さん向けの集会
- 趣味・好きなことのコミュニティ
居場所は、子どもが「行きたい」「居たい」「ここなら大丈夫」と思える場所が最適です。
子どものためにできることをまとめると、次のようになります。
ポイント
- 子どもの話を聴く
- 生活サイクルは乱さない・正す
- 「自信を持って」よりも「やればできるよ」
- 子どもの「居場所」をつくる
この次はお子さんに対して、効果のある対応とコミュニケーションについてです。
接し方のポイントを抑えておくと、普段の会話にも活かせます。
4-4. 【小中高ごと】知っておきたい対応とコミュニケーション
小中高の発達に合わせた対応、コミュニケーションのコツのまとめです。
小学生・中学生・高校生ごとに分かれているので、お子さんに合わせて活用してみましょう。
4-4-1. 【小学生】視野を広げる・甘えには成長に合わせた接し方を
小学生への対応とコミュニケーションは次の通り。
小学生への対応
- 未体験の物事にふれさせる、体験させる
- お手伝いなど、係を与えて取り組んでもらう
小学生とのコミュニケーション
- 低学年:甘えてきたときは、スキンシップも活用する
- 高学年:スキンシップは必須ではなく、付かず離れずを意識
対応から順番に見てみましょう。
4-4-1-1. 【小学生への対応①】未体験の物事にふれさせる、体験させる
お子さんが小学生なら、視野を広げてあげるのがおすすめです。
気になる対象が1つでも見つかると、
知る
わかる
できるまでする
を自分から行うように。
「何を勧めてもイマイチ…」でも、あまり気にすることはありません。
- 興味・関心の対象が今まで見聞きしたものにはない
- 今は興味・関心がない
また「子どもが興味を持ちそうなもの」から視点を変えてみましょう。
- あなたは、興味・関心のない物事
- あなたが嫌いな物事
が意外と、子どものアンテナに引っかかるかもしれませんよ。
4-4-1-2. 【小学生への対応②】お手伝いなど、係を与えて取り組んでもらう
「洗濯係」「茶碗洗い係」など役割を与えて取り組んでもらうと、次のメリット・デメリットがあります。
役割の自覚・責任意識の芽生え
生活するうえで必要なスキルが身につく
家事をしてくれる人への、ありがたみがわかる
- やりたがらない
- 慣れていないため時間がかかる
デメリットを最小限に抑えるには、小さいことに1つずつ取り組んでもらうのがコツ。
洗濯係:自分の服だけ畳む
茶碗洗い係:自分の食器を流しに運ぶ
また、曜日ごとに係を変えると飽きにくくなります。
4-4-2-1. 【小学生とのコミュニケーション】甘えには成長に合わせて接し方を工夫する
小学1年生と6年生では同じ甘えでも次の違いがあります。
- 素直に甘えてくる1年生
- 甘えたいけど、素直に表現できない6年生
4-4-2-1-1. 【小学生とのコミュニケーション】低学年は気持ちをハグで受け入れる
低学年のうちは、ハグなどのスキンシップが効果的です。
まだ自分の感情を言葉としてあらわすのは難しいため、スキンシップなど物理的な行動をとる方が早く安定します。
「甘えるクセがつきそう」と心配になるかもしれませんが、問題ありません。
「甘え」は、心がバランスを崩した際にあらわれる、自然な反応です。
「もう小学生でしょ?」と拒絶する方が、子どもを傷つけます。
1度ぎゅっと抱きしめてあげるだけで、お子さんは安心しますよ。
4-4-2-1-2. 【小学生とのコミュニケーション】高学年は付かず離れずで気持ちを受け止める
高学年は自立心が芽生えるため、スキンシップは必須ではありません。
次のように、パーソナルスペースを意識した接し方を心がけましょう。
子どもから話しかけてきたら、作業の手を止めて応じる
くっつきすぎず、離れすぎずを意識し、お子さんの方から近づいてきたら受け入れてあげてください。
小学生の甘えについて解説
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4-4-2. 【中学生】自己探求させる・適度な距離を保つ
中学生への対応とコミュニケーションは次のとおり。
中学生への対応
- 興味や関心・他者との交流から、自分の在り方を模索させる
中学生とのコミュニケーション
- 付かず離れずの距離を保つ
順にチェックしていきましょう。
4-4-2-1.【中学生への対応】興味や関心・他者との交流から、自分の在り方を模索させる
中学生は自立への意識が強まり、自分の在り方に対する手探りが始まります。
次のような葛藤に直面しながら、今後についても考え始めます。
- 内面世界が、親や友だちとは違う
- 理想と現実のギャップ
ただし、不登校の子どもは「不登校」がネックとなり、自分の将来から目を背けがちです。
今に集中する・生き方のモデルを探すことが糸口になります。
したいこと・好きなことをさせる
不登校経験者、理解がある人と話をする
不登校を乗り越えようとしている・乗り越えた人のブログを読む
物事・他者との交流や追体験を通すと、次のように自分について考えるヒントを得られます。
「受け入れてくれる人」の存在を理解する
「不登校だから」と悲観しなくていいと気づける
乗り越える課題が見えてくる
思春期かつ不登校で自分を掘り下げるのは大変ですが、ゆくゆくは自身への糧となるのです。
4-4-2-2. 【中学生とのコミュニケーション】付かず離れずの距離を保つ
中学生のお子さんとの距離は、付かず離れずがベストです。
思春期により「親から自立したい」意思が強まるため、過干渉はNGです。
「不登校だから・思春期だから」と意識しすぎないよう、あえて少しだけ距離をとるくらいがちょうどいいでしょう。
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4-4-3. 【高校生】将来の選択肢を多く示す・自分で考えて決めさせる
高校生への対応とコミュニケーションは次のとおり。
高校生への対応
- 将来の選択肢を考えるためのヒントを示す
高校生とのコミュニケーション
- 自分で考えさせる・決めさせることを意識する
将来のことも含め、自分のことは自分で考えてもらうのがポイントです。
4-4-3-1. 【高校生への対応】将来の選択肢を考えるためのヒントを示す
高校生のお子さんには、将来について考えるきっかけを出してあげましょう。
高校生は思春期の後半で、自立して社会に足を踏み入れる準備期間です。
一般的にも自分の将来に心配・不安を抱きますが、お子さんはさらに「不登校」がネックになっている可能性も。
まずは、次の2つを伝えてあげてください。
- 不登校は人生の通過点にすぎない
- 人生は不登校だけで決まるものではない
その後に、行動のヒントを伝えてあげてほしいと思います。
興味がある・なりたいものに関わる活動(勉強・アルバイト・ボランティア)を始める
したいことがない・わからないなら、したことがないことを片っ端から試す
幼少期から今まで「大きくなったら何になりたいと思っていたか」を書き出す
行動をベースに自分で試すと、自分への理解が深まり、少しずつ未来が拓けます。
自分がどういった物事・思いを大切にしてきたか
あなたは、あくまでサポーターです。
答えを出すよりも、子どもが自分で考えられる「きっかけ」を出すことを心がけましょう。
4-4-3-2. 【高校生とのコミュニケーション】自分で考えさせる・決めさせることを意識する
高校生の年代なら、自分に関わることはあるていど本人に考えさせて決めさせること。
サポーターのあなたが一定の距離を保つことで自立を促せます。
また会話の際には、問いかけが効果的です。
どう感じている?
どんなふうに捉えている?
どのように考えている?
自身の感情・考えをもう一度考えるため、思考が深くなります。
ちょっとした会話をきっかけに将来の展望が見え、不登校解決の糸口につながる可能性もありますよ。
どのような対応が不登校につながるのかわかる
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5. まとめ「学校に通っていない」はサポーターの動機づけ次第で変わる
不登校とは、次の状態・状況を指します。
広義の意味で、学校に通っていない
文部科学省の定義では、何かしらの理由で年間30日以上の欠席(経済・病気を除く)
出席している子どもの多くに「不登校の傾向」が見られる
不登校の要因は大きく4つに区分され、うち3つはさらに分けられます。
学校に係る要因(いじめ・友人関係・入学や進級・学業不振など)
家庭に係る要因(家庭環境の変化・親子関係など)
自分に係る要因(情緒・生活リズム)
該当なし
不登校は、次の4つの時期を進みます。
- 前兆期:不登校の入り口
- 進行期:親は不登校を実感・子どもは現実逃避
- 停滞期:不登校から抜け出せない
- 回復期:不登校からの脱却へ
不登校の子どものためにできることは
サポーターになって動機づけをする
そのためには、
「子どもを取り巻く環境を整える」
が重要なポイント。
対応とコミュニケーション
にも日々取り組むと動機づけも進み、不登校解決へとつながります。
6. 追伸:「子どもの不登校に不安を感じている」今がチャンス
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
不登校の定義から解決への道のりまで、ひと通り知っていただけたかと思います。
ただ、あなたの中には疑問が残っているはず。
- うちの子の不登校も本当に解決できるの?
- 学校復帰できても、また不登校になったりしない?
「大丈夫です。不登校は解決できます」と言っても、信じきれないですよね。
参考に【平均3週間で不登校解決プログラム】を受けて、不登校を乗り越えた子どもの、その後をチェックしてみてください。
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<<参考文献一覧>>
無藤隆・岡本裕子・大坪治彦編『よくわかる発達心理学[第2版]—やわらかアカデミズム・<わかる>シリーズ』ミネルヴァ出版(2009).
麻生武・浜田寿美男編『よくわかる臨床発達心理学[第3版]—やわらかアカデミズム・<わかる>シリーズ』ミネルヴァ出版(2008).
キャロル・S・ドゥエック『マインドセット「やればできる!」の研究』(今西康子訳)草思社(2020)
文部科学省:子どもの徳育に関する懇談会(第5回)配付資料.参考資料2 各発達段階における子どもの成育をめぐる課題等について(参考メモ)[改訂]
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/shiryo/attach/1285897.htm(参照2021-04-26)
文部科学省:子どもの徳育の充実に向けた在り方について (報告).3.子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/053/gaiyou/attach/1286156.htm(参照2021-04-26)