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疑問&お悩み
- 「高校には行かせてあげたいし、行ってほしい」けど…
- 「不登校なのに、高校進学できるの?」
- 「高校進学したあと、また不登校になったりしない?」
「高校、どうするの?」
学期末や学年末が近づいて「進路」の言葉が聞こえてくると気になってくるのが、高校進学。
過去に学校に行けない期間があったり、今、子どもが不登校だと、心配はなおのことだと思います。
結論から言ってしまえば、不登校でも高校進学は可能です。
ただし、進学に至るまでの“とある過程”によって、子どもの“その後”が大きく変わります。
この記事を読んでいる私自身、小学校と中学校の間に不登校を経験しました。
その後、高校進学しましたが、高校時代や青春時代…思い出はこれと言ってありません。
あなたのお子さんには、私と同じような経験をしてほしくないのです。
そのため、この記事では不登校の子どもが、人生を幸せにできる高校進学の方法について解説しています。
記事の最後には不登校からの高校進学、不登校そのものについての相談先もあるので、あなたが今抱えている不安や悩みを思い浮かべながら読み進んでいければと思います。
1. 不登校のままでも高校進学はできるの?
不登校のままでも高校への進学はもちろん可能です。
文部科学省が平成23年度に行った「不登校に関する実態調査」においても、中学3年次で不登校だった人たちが最も多く選択した進路は高校進学でした。
メモ
- 就職せずに高等学校等に進学した…81.4%
- 就職して働きながら、高等学校等に進学もした…4.2%
- 高等学校等に進学せずに就職した…6.0%
- 高等学校等に進学もせず、就職もしなかった…8.4%
出典:不登校に関する実態調査報告書 第1部 調査の概要 ・ 第2部 基礎集計編
(略)中学校における不登校生徒に対する支援体制が整えられてきたこと、進学先の高等学校等においても不登校生徒の受入れ体制が整備されてきたことがあると考えられる。
出典:不登校に関する実態調査報告書 第1部 調査の概要 ・ 第2部 基礎集計編
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2014/08/04/1349956_02.pdf
考察にもあるように、通信制高校を代表するような不登校の子どもを積極的に受け入れる高校の存在が、不登校の高校進学を後押ししているとも言えます。
また、調査時点の2000年代に比べて2010年代以降はネット環境も普及し、オンライン形式の授業も増えました。周りに左右されることなく自分のペースで学びたい、単純に教わるだけでなくて自分が興味のあることを突き詰めたいという子どもにとっても学びやすい環境になったことも進学増加の一要因でしょう。
1-1. 不登校のままでも進学できる高校って?
「高校」と聞いて、一般的に思い浮かべる全日制の高校をはじめ、定時制や通信制があります。
高校の分類
- 全日制高校…日中に学習を行う。修業年限は3年。学年制が多いが、単位制に切り替える学校もある。一般的に現役入学が多い。
- 定時制高校…夜間などに学習を行う。修業年数は3年以上。不登校のほかに通院者や就業者も学びに来る。
- 通信制高校…通信にって学習を行う。修業年数は3年以上。学習のほとんどを自習で進めていく。
言ってしまえば、進学できる高校について、不登校ではない子どもとの違いはありません。
たしかに、具体的な学校選びの段階になってくると、不登校であることを念頭に検討しなければならない点が出てきます。
しかし、不登校をきっかけに、通信制高校など全日制以外の高校を知りませんでしたか?
見方を変えれば、選択肢が増えたということです。不登校を理由に高校進学を諦めること、進学先が極端に狭くなると考えるのは非常にもったいないことだと言えるでしょう。
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1-2. 不登校のまま高校進学するときに注意すること
不登校でも高校進学は可能ではあるものの、留意しておくポイントはあります。
高校受験の際にチェックされる2大項目、欠席日数と内申書です。
欠席日数と内申書
- 欠席日数…在籍校により記録範囲は異なる。中学3年間分を記録する学校もあれば、3年次のみを記録するところも。
- 内申書…学校の成績を学校独自の基準で記録したもの。定期試験の結果等も記録されているので、試験を受けていない場合は評価が著しく下がる。
欠席日数と内申書を見る限り、不登校は大きなハンデに見えます。
ですが、子どもの状況や進学先の学校によって考慮してくれるので、悲観的になる前に担任の先生などに相談してみましょう。
また、欠席日数や内申書を重視しない学校を進学先の候補にするのも選択肢の1つです。
2. 不登校のまま高校進学しても本当に大丈夫?
これはもう、子どもによって千差万別です。
ただし、大きく分けて2つのパターンに分かれます。
- 1つ目のパターンは、高校進学をきっかけに変わる
- 2つ目のパターンは、高校進学しても変わらない。もしくは、また不登校を繰り返してしまう
高校進学を機に変わる子どもと変わらない子どもの違いはたった1つ、子どもの意志です。
まずは、意志の力によって子どもにどういう違いが生まれるのか見ていきましょう。
2-1. 高校へのを進学をきっかけに変わる子ども
進学をきっかけに変わる。つまり、環境の変化をスタートとして捉えられるのは、自分の意志で高校進学を決意した子どもです。
「周りが行くから」
「高校は行くものだから」
といった長い物には巻かれろではなく
「高校生活はいいものにしたい」
「中学の人たちを見返せるくらいになりたい」
このような子ども本人の内側から湧いた感情が進学に伴っている場合、高校に通う意味が自分の中にしっかり根を張っているため、簡単なことでは折れません。
高校進学を自分で決めた子どもは、進学直後から半年、1年後もドロップアウトしにくいという結果も出ています。
言い換えれば、苦い経験をバネにして自分の力で未来をつくろう、拓こうとしているわけです。
にとっては、高校進学は新たなスタートとなるため、結果的に大きく成長することができます。
2-2. 高校に進学しても変わらない子ども
「周りが進学するから自分も高校に行かなきゃいけない」
「本音を言えば進学は面倒だけど、中卒は嫌だ」
周囲からの圧力、社会からの視線を理由に、しぶしぶ高校進学を選んだ場合はどうでしょう。
何のために高校に通うのか?という本質的なものが欠落しているため、通学が苦しくなるのは明白です。
そして、高校でも不登校になると、中学時代の経験も加算されるので子どもは大きく傷つきます。
「また不登校になってしまった。やっぱり自分は何をしてもダメなんだ」
「自分には社会的な存在価値がない」
このように思い込んでしまうと、自分自身と向き合うことは容易ではなくなるため引きこもってしまう確率も高まるでしょう。
仮に社会に出ることがあっても人知れず劣等感を抱えたまま過ごすことになるため、非常に生きづらいものとなります。
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3. 不登校をバネに高校進学できるようにするには?
自分で未来をつくる、ここから前に進んでいこうという意志が必要になるわけですが、不登校の子どもが常に抱えている感情とは180度違います。
傷ついている子どもの、心の根底にあるのは
「どうせ自分は…」
という、投げ出したような、諦めにも似た感情。
現状を受け入れられない子どもが、自力で自分と向き合うのは至難の技です。
(自力でたどり着けないこともありませんが、時間がかかる場合が多いかもしれません…)
そこで、必要になるのが親御さんの手助けです。
「ここから変われるんだよ」
「たった1回の不登校で人生は決まったりしない」
親御さんが子どもに対して、地道にねばり強く「人は成長できる」と伝え続け、変化を促すことがポイントになってきます。
これは、子どもが不登校だからこそ、より必要なことで、進学をいいものにするだけでなく、根本的な不登校問題を解決に導くほどの効果があります。
「別にどうでもいい」
こうした冷たい答えが返ってくることがほとんどかもしれません。
「今さらムダでしょう!」
子どもが自分自身に対して失望しか抱いていない現実に、親としてショックを受けるかもしれません。
それでも、だからこそ。
少しでも子どもの心情がわかったのであれば、あなたも考えていかなくてはなりません。
今後、どうしたいのか。
今、どうあるべきか。
そして、あなた自身も「人は成長できるものだ」と信じることが、子どもにとってもいい影響を与えます。
親は子どもにとっての鑑であり、鏡でもあるのです。
こちらの記事では、不登校でも全日制高校に進学や転校するポイントを紹介しています。
合わせてお読みください。
4. まとめ
不登校でも高校進学は可能で、全日制・定時制・通信制から選ぶことができます。
高校進学をきっかけに子どもの人生が大きく変ることがあり、そのきっかけになるのは、高校進学における子ども本人の意志。
ただし、子ども自ら「自分にはまだまだ可能性がある!」と思うのは難しいため、親御さんのサポートが必要です。
「ここから変われるんだよ」
「たった1回の不登校で人生は決まったりしない」
成長の可能性があることをねばり強く伝えて変化を促すと、子ども自身の行動や意識に変化が見られるように。
すると、自分の意志で進学の理由や意味を見出すことができるため、進学後は充実した学校生活を送れるようになります。
\ 「不登校の解決なんて、もう間に合わない」そんなことはありません! /
5. 追伸:不登校からの高校進学について他に知りたい方はコチラへ
「進学を考える前に、不登校の解決ってできたりしないの?」
「実際に、どうやって子どもに声をかけたらいいの?」
こうした疑問や心配事があり、1人で考えるのが難しい場合は以下から私たちに教えてくれると幸いです。
私たちと一緒に、お子さんの不登校解決を目指しましょう。
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<<参考文献>>
伊藤 秀樹,2009年,「不登校経験者への登校支援とその課題──チャレンジスクール,高等専修学校の事例から──」,教育社会学研究,84 巻,p. 207-226
https://www.jstage.jst.go.jp/article/eds/84/0/84_207/_article/-char/ja/,(最終アクセス日:2020,11,03)
東村 知子,2004 年,「サポート校における不登校生・高校中退者への支援―その意義と矛盾」,実験社会心理学研究,43 巻 2 号,p. 140-154
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjesp/43/2/43_2_140/_article/-char/ja/,(最終アクセス日:2020,11,03)
永作 稔, 新井 邦二郎,2005 年,「自律的高校進学動機と学校適応・不適応に関する短期縦断的検討」,教育心理学研究,53 巻 4 号 p. 516-528
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/53/4/53_516/_article/-char/ja/,(最終アクセス日:2020,11,03)
岡田 敦史,小川 香奈,寺田 道夫,2015年,「不登校から大学進学までの心理的プロセスに関する事例研究 ―「不登校に関する実態調査」における報告事例の位置―」,東海学院大学紀要,8巻,p. 155 - 159
https://tokaigakuin-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=3285&item_no=1&page_id=13&block_id=21,(最終アクセス日:2020,11,03)