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- 「不登校でも全日制高校に進学・転校できる?」
- 「不登校の子どもの転校先や進学先の選択肢を知りたい」
お子さんが不登校になり、出席日数が足りなくなってくると、親御さんとしては解決手段として「転校」の選択肢を検討し始めることもあるかもしれません。
また、中学生で不登校の場合には、高校の進学先も不安になります。
お子さんと親御さんに、「全日制高校に通いたい、通って欲しい」という希望がある場合には、不登校から全日制高校への転校・進学は可能なのかも気になるところ。
結論を言うと、不登校でも全日制高校に転校・進学することは可能です。
この記事では、不登校でも転校・進学できる全日制高校と、転入・入学する時のポイントを解説します。
1.不登校でも全日制高校に入れる!進路として考えられる4つの全日制高校の特徴
不登校だと全日制高校に転校や入学できるのか不安になりますよね。
ここでは、不登校でも入学できる4つの全日制高校の特徴を紹介します。
1-1.エンカレッジスクールなどの公立の全日制高校
不登校の子どもが全日制高校に転校・進学するときには、エンカレッジスクールという選択肢があります。
エンカレッジスクールとは、不登校などの理由で小学校や中学校に通えなかった子どもが、基礎から勉強を学びなおしできる全日制の学校です。
エンカレッジスクールの特徴は次の通りです。
- 集中力を高めるため一部30分授業を取り入れている場合がある
- 中間・期末テストを行わない学校もある
- 反復学習で確実な学力の定着
- 1年生のときは2人担任制
- 体験学習や宿泊体験研修を実施
全日制高校でありながら、子どもへのサポート体制が整った高校となります。
また、エンカレッジスクールの入試では、学力試験は実施しないことが多いです。
次の方法で入学選抜をおこなうため、不登校になって勉強の遅れに不安がある場合も入りやすいでしょう。
- 調査書
- 面接
- 小論文
- 実技検査
サポート体制が手厚いといっても、全日制高校となるため、朝から夕方まで毎日登校する必要があります。
1-2.不登校枠のある公立の全日制高校
高校受験の際に「不登校枠」という入試方法を利用することができます。
不登校生のための特別な募集人員枠のように聞こえますが、実際はそうではありません。
入試の際、次の特徴がある場合を不登校枠と呼びます。
- 調査書の欠席に関する記録を見ない
- 調査書の情報に欠席が多くても配慮される
「不登校枠」の制度はどの高校にでもあるわけではありません。
地域によっては実施している場合があるため、事前に確認しておきましょう。
1-3.私立の全日制高校
一般的に、公立高校よりも私立高校の方が、不登校でも進学・転校しやすいと言われています。
その理由は、入試の際、調査書を選考の資料としない私立高校が多いためです。
私立高校の場合、当日の学力試験の結果だけで合格者が選抜されるということです。
ちなみにこの入試の形式を「オープン型入試」といいます。
調査書には次のことが内申点となり記載されています。
- 授業中の態度
- 成績
- 出席日数
欠席が多いと調査書の内申点がどうしても低くなってしまうのです。
学力試験だけでなく、内申点も加味される学校の場合は、入りづらくなってしまいます。
オープン型入試を採用している私立高校であれば、不登校でも入りやすいでしょう。
1-4. 不登校の中学生なら通常の公立の全日制高校を目指すことも可能
現在、不登校を克服している場合には、通常の公立の全日制高校を目指すこともできます。
出席日数が少なかったとしても、最初から不合格になるわけではありません。
「欠席日数の多い生徒は審議の対象とする」ということで、審議によって合否を判定されます。
そのため、不登校の事情を考慮して、審議を通過し合格できる見込みもあります。
1・2年生の出席日数が少なかったとしても、3年生のときに出席日数が増えていれば、「不登校の改善が見られる」ことになり、審議に通過できる可能性が高くなります。
こちらの記事では、不登校のお子さんが公立・私立学校に進学するための勉強方法やコツなどを紹介していますので、ご参考にしてください。
2.不登校でも全日制高校に進学・転校したいと子どもが思う理由
お子さんが不登校でも、全日制高校への進学・転校を望んでいる場合があります。
「無理のないよう通信制高校などがいいのでは?」と親御さんは思うかもしれませんが、実はお子さんは前向きな理由から全日制高校に入ることを望んでいることが多いです。
2-1.不登校を解決して前へ進みたい気持ちがある
今までと違う新しい学校に進み、不登校を解決したいと考えているお子さんもいます。
例えば、友人関係やいじめ、学校の環境がきっかけで不登校となった場合、環境を変えることで登校が叶うお子さんもいます。
- 「不登校を乗り越え今まで通り学校に通いたい!」
- 「不登校を乗り越えて、この先も社会で活躍したい!」
上記のような前向きな思いがあるからこそ、全日制高校への進学・転校を望んでいるのです。
2-2.周囲と同じ高校生活を送りたい思いがある
周囲と同じような高校生活を送りたいという思いも理由の1つになります。
不登校になった今、お子さんは以下の体験ができないことを後悔しているのかもしれません。
- 友だちと学校生活を楽しむ
- 修学旅行など行事に参加する
- 部活動に参加する
- 授業に参加する
「本当は社会の中でみんなと過ごしたい」という気持ちがあるからこそです。
全日制高校に通うことで、お子さんの望んでいた周囲と同じ高校生活を送ることができます。
お子さんの進路を考えるときには、お子さんの今の心境も正しく理解してあげることが大切です。
以下の記事では、不登校のお子さんに見られる心境や傾向を7つのタイプに分けて解説しています。
お子さんに当てはまる傾向を確認していただき、心境を探るきっかけとなりましたら幸いです。
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3.不登校から全日制高校に進学・転校するときのポイント
不登校から全日制高校に進学・転校するときのポイントをご紹介します。
3-1.スダチなどの専門機関に相談し不登校の根本原因を解決
全日制高校で主体的にお子さんが楽しんでいけるよう、不登校の根本原因を解決することが大切です。
不登校の根本原因を解決しないままでいると、全日制高校に進んだとしても、お子さんが何か学校でストレスに感じることがあったとき、再び不登校となる場合もあります。
不登校の根本的な原因が解決すると、お子さんの自己肯定感が育ち、どのような困難にも主体的に乗り越えていけるようになります。
スダチでは、不登校の根本原因を解決し、お子さんを再登校に導く支援をおこなっております。
日々のお子さんの様子をヒアリングさせていただき、その時のお子さんに合った接し方や声かけをフィードバックしております。
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3-2.規則正しい生活習慣を意識する
全日制高校は、受験も普段の授業も「朝から夕方まで」行われます。
不登校期間中に、昼夜逆転など乱れてしまった生活習慣を改善しておきましょう。
健康のためにも、勉強のためにも、「朝起きて、夜に寝る」「規則正しい生活を送る」ことを意識するのが大切です。
3-3. 希望する全日制高校の編入条件や合否の判定基準を調べる
全日制高校を探すときは、編入条件や合否の判定基準は必ず調べるようにしましょう。
不登校だと、出席日数が少なく調査書に記載された内申点が低い場合がほとんどです。
全日制高校の受験の際は、学力試験の点数と内申点で審査されて合否が決まります。
ただし、学校によっては以下のように内申点を審査する条件が異なります。
- 内申点が審査対象となるのは「中1〜中3の全学年」
- 内申点が審査対象となるのは「中3のときのみ」
- 内申点は「ほとんど重視しない」
- 内申点は「全く重視しない」
希望する全日制高校は内申点がどれほど重視されるのかを事前に調べておきましょう。
3-4.高校の説明会・見学会・相談会に参加する
実際に高校の説明会・見学会・相談会に参加して、子どもに合う高校か判断しましょう。
校舎の中に実際に入って学校の雰囲気を感じたり、担当の先生に直接話を聞いたりすることもできます。
学校によっては、進学や学校生活についての個別相談があったり、入試の傾向を確認したりすることも可能です。
不登校だったことに不安がある場合は、事前に相談しておくこともできます。
説明会などには必ず参加し、お子さんの気質と合った高校かを確認しておきましょう。
3-5.勉強を進める計画を立てる
希望する全日制高校が見つかったら、勉強を進める計画を立てましょう。
今の学力を確認して、新しい高校に進むために足りない科目や分野を計画的に勉強することが大切です。
動画や学校の教科書などを使って、1人で勉強する方法でも、家庭教師や塾など誰かと一緒に勉強を進めていく方法でも、どちらでもいいので勉強する習慣を身につけましょう。
詳しくは、こちらの記事で紹介していますので、ご確認ください。
4.【全日制以外もある】不登校でも転校・進学できる高校の選択肢!
全日制高校に転校・進学する一番のメリットは、「環境を変えて一からやり直せる」ということです。
特定の生徒からいじめられていたり、特定の嫌な思い出ができてしまったりする場合、学校を変えて見知らぬ土地や見知らぬ教室で一から高校生活をやり直せることは、お子さんにとって大きな環境の変化となるはずです。
新しい環境でリフレッシュして元気な心を取り戻すことができれば、不登校から克服できる可能性が広がると言えるでしょう。
転校するとしても、高校には様々なタイプがあります。お子さんの状況にもっとも適した環境を選びましょう。
不登校解決の意外なきっかけについては以下の記事で詳しく紹介しています。
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4-1. 全日制高校に転校するなら入試のことも頭に入れて
まず、全日制高校に転校・進学する選択肢があります。
全日制高校に転校・進学する場合には、入学試験のことを考慮しなくてはなりません。
高校は義務教育ではありませんので、一般的には全日制高校に転校するには入学試験を受ける必要があります。
そのため、不登校できちんと勉強できていないお子さんの場合は、試験に向けた準備をする期間が必要かもしれません。
また、全日制高校へ転校する場合は単位の引継ぎも必要になってきます。お子さんが取得している単位の数などを担任と確認する必要があります。
さらに、高校によって教育の方針や授業の難易度も大きく変わりますので、お子さんが興味のある進路に進める可能性のある高校なのかどうかも改めて検討しましょう。
ただし、これらの転校の諸手続きには親御さんもお子さんも気力を使うと思います。お子さんが転校に意欲的、かつ諸手続きに対して協力的であることが大前提ですね。
通学が難しそうなお子さんの場合は、次で紹介するような通信制高校への編入が一般的な選択肢となるでしょう。
4-2. 通信制高校で単位の取得と卒業を目指す
通信制高校の場合は登校の日数も少なく、主にレポートの提出や試験の合格を通して単位を取得し、卒業資格を得ることができます。
人間関係にストレスを感じて不登校になってしまったお子さんや、教室で集団で授業を受けることに苦手意識のあるお子さんは、通信高校の方が自分のペースで自宅で学習することができるので卒業しやすいと言えます。
また、通信高校の場合は最終的に卒業に必要な単位を取得すればよいので、もし今通っている全日制高校で留年が確定した場合でも、タイミングによっては通信高校に通うことで、同級生と同じタイミングで高校を卒業できる場合もあります。
一方で自学自習のモチベーションを維持することが難しいので、勉強に意義を見出せないお子さんや、長期的なスケジューリングが苦手なお子さんの場合は、卒業できず引きこもりになってしまったり、逆に外を出歩いて遊びすぎてしまったりする可能性もあります。
そういった場合、次に紹介するように、並行してサポート校を活用することで勉強のモチベーションを保てたり、相談相手ができて活き活きと学習に打ち込めたりします。
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4-3.定時制高校
定時制高校とは、夜間など特別の時間帯や、ある特定の季節において授業を行う高校のことです。
昼間に仕事をして、そのあと夜間に学校で勉強する生徒のために用意された教育課程です。
そのため、基本的には夜間に授業が行われる学校が多くあります。
近年では、不登校の生徒を受け入れることが多くなり、多様な時間帯の学習機会を設けています。
1日に2〜4部に分けて、本人が行きやすい時間帯を選ぶことができます。
定時制高校は、不登校から中退し編入したり、昼間は働いていたりなどさまざまな背景がある人と出会うことができます。
今まで出会うことがなかった人と交流を持つことで、お子さんの視野が広がるきっかけとなるかもしれません。
4-4.高専
高専(高等専門学校)は、主に工学系・技術系の専門教育や職業教育によって、実践的な技術者を目的とした5年制の学校です。
就職率はほぼ100%となっております。
授業時間数が多かったり、専門的な授業が多いため進学のハードルは高いです。
しかし進みたい道が明確で、お子さんも高専への進学を望んでいる場合にはおすすめです。
ロボット、飛行機、船、車などが好きで、それらに関わる仕事がしたいときは検討してみましょう。
4-5.専門学校
専門学校は、職業教育に近い専門課程を学ぶ学校です。
医療、介護、美容、ファッション、デジタル、芸能などさまざまな分野の学校が多くあります。
やりたい仕事や、なりたい職業が明確な場合や、お子さんが専門学校への進学を望む場合に候補に入れましょう。
4-6.フリースクール(通信制サポート校)
フリースクール(通信制サポート校)は、学校教育全般が合わない、学校に行きたくないお子さんを受け入れてくれる施設です。
安心して過ごす場として居場所を提供することが目的となっています。
民家やマンションの1室を借りたような小さなフリースクールから、在籍100人を超える大きなフリースクールもあります。
もともとは小中学生の不登校生を受け入れるのがメインでしたが、高校生の受け入れまで広げているフリースクールも増えています。
ただしフリースクール(通信制サポート校)は、通常の学校の仕様とは大きく異なります。
そのため、フリースクールの生活に慣れてしまうと全日制高校での再登校は難しくなる場合があります。
またフリースクールでは高校の卒業資格を取得できないため、通信制高校と併用するお子さんが多いです。
高校生が通えるフリースクールについては、こちらの記事でも解説しています。
フリースクールに通うメリットデメリットを確認して、利用するかどうかを検討してみてください。
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5.不登校のときは高校への進学・転校以外にも選択肢がある
ここまで転校する場合の選択肢に焦点を当てて解説してきましたが、不登校で単位が足りなくなってしまったり、学校に行けなくなってしまったりする場合、必ずしも転校だけが解決策とは限りません。
ここでは転校以外で、お子さんの今の生活を変える方法をご紹介します。
5-1. 高認試験に合格して独学で大学合格
「高認試験」をご存じでしょうか。高校卒業後に大学入学を目指している場合、実は高校を卒業しなくても大学入試を受ける資格を取得することができます。
高認試験は1年に2回実施されており、高校生の年齢であればいつでも受験できます。
通学が辛いが自習は苦ではないというお子さんの場合は、完全独学で高認試験に合格して大学入試を受験することも、選択肢の一つとしてアリなのではないかと思います。
この場合は通学費用も掛からないので、金銭的な負担もほぼゼロといえますね。
また、高認試験はあくまでも高卒程度の学力があることを証明するための試験なので、高卒の学歴そのものを取得できるわけではありませんが、一部の国家資格では高認試験に合格していれば受験のチャンスがあるものもあります。
高認試験に興味がある場合は以下の記事も参考にしてみてください。
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5-2. 留年は悪い選択肢ではない
単位が足りなくて留年が確定した場合、思い切って留年してみるというのも選択肢の1つかもしれません。
確かに、留年した生徒が翌年も不登校気味になってしまうのはよくあるケースですが、一方で他の同級生より年上のため、一歩引いた人間関係を保つことができて心理的に通学が楽になるという考え方もあります。
ただしクラスで孤立しやすいというデメリットがあります。お子さんがそういったシチュエーションに負担を感じなさそうなタイプであれば、今の高校にそのまま在籍していても卒業を目指すことは可能です。
また、少数派としてクラスに所属していると、学校を休むことに対するハードルも低くなってしまうことが多いので、その辺りは親御さんも配慮が必要になってくる部分です。
5-3. 海外留学ならついでに英語もペラペラに
高校のじめじめした人間関係が苦手なお子さんは、思い切って海外の高校に留学する手段もあります。
お子さんの性格によっては、まったく違う環境に一歩踏み出すことによって精神的にも一回り成長して自信を付けることができます。
高校卒業後は日本に帰ってきて日本の大学に進学しても構いませんし、もしその国が気に入ったならそのまま外国で暮らすという選択肢もあるかもしれません。
不登校はピンチですが、これを英語がペラペラになってグローバル人材になるというチャンスに変えてみるという考え方もありますね。
不登校の高校生が中退を考えたときの対処法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
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6.不登校で全日制高校に入るべきか迷う時:高校選びの3つのポイント
転校や進学で全日制高校に入るかどうか迷っているときは、こちらをご覧ください。
高校選びの3つのポイントを紹介します。
6-1.通学時間・通学環境を確認
まずは、通学時間・通学環境が自分に合うかどうかを確認しましょう。
近ければ、時間や体力を節約できて自由な時間も増えます。
遠ければ、会いたくない同級生に会わず、通学時間は自分の時間として考え事や勉強ができます。
近い・遠いはどちらがいいというわけではありませんので、自分に合う方を選びましょう。
通学環境は、通学手段や、通る場所などさまざまです。
一度実際に行ってみて確認してみましょう。
「3年間通うこと」をイメージして考えてみるといいですね。
6-2.卒業後の進路と校風を確認
卒業後の進路と校風も確認しておきましょう。
その学校は、大学進学が多いのか、専門学校が多いのか、就職が多いのか、進学率・就職率を調べておくことが大切です。
同じ目標に向かう友人ができると、楽しく過ごせる確率も高くなります。
卒業後のイメージがまだうまく持てない場合は、校風も確認しておきましょう。
生活指導や進路指導はどの程度のものなのか、部活や文化祭への取り組みはどのくらいなのか、高校を選ぶ上でも大切な観点です。
学校見学に参加し確認しておきましょう。
6-3.かかる学費を確認
ご家庭の経済状況によっては、学費も確認すべき項目です。
中学校までの義務教育とはことなり、高校では学費が必要になります。
私立高校の場合は、一般的に公立高校よりも高い学費が必要です。3年間にかかる学費を比較してみると次の通りです。
公立高校 | 約150万円 |
私立高校 | 約380万円 |
世帯収入に制限があったり、地域によって助成される金額が異なりますが、私立高校の授業料無償化制度もあります。
また、奨学金もあるため、現実的に難しい場合も簡単に諦めずにさまざまな手段を考えてみましょう。
7. 不登校になった理由と克服するための考え方
さて、ここまで不登校のお子さんが取れる選択肢を紹介してきましたが、そもそもお子さんがなぜ学校に行けないのかを考えたことはありますか?
実は、不登校の高校生が学校に行けない主な原因第1位は「無気力」なんです。
となると、不登校の原因は人間関係に悩んでいるわけでも、授業が難しいからでもないかもしれません。
転校や中退でお子さんが元気になれるとは限らないのです。
参考資料: 令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について (文部科学省初等中等教育局児童生徒課)
7-1. つらいなら逃げてOK。本人の意思を最も大切に
まず、第一に伝えたいこととして、「今の状況がつらいなら逃げてもOK」ということがあります。
辛くても我慢しなければならないという考え方もあるかもしれませんが、長期的な不登校に陥っている時点でお子さんはすでに精神的にかなりのストレスを抱えてしまっていると思います。
そんな状態で「もっと頑張れ」と言われても、お子さんには頑張る気力が残っていないでしょう。
なので、登校することがどうしても苦しいのであれば、そこから逃げて別の道を探すことは全く悪いことではありません。
ただし、お子さんの意志が最も重要ですので、お子さんが頑張れるか、頑張れないかを親御さんの独断で決めてお子さんの進路を勝手に決めるようなことは避けてください。
7-2. 何から逃げているのか分からなければ同じ失敗を繰り返します
重要なのは、「お子さんはそもそも何が問題で高校に行けないのか」ということです。
この答えはお子さん自身も分かっていない場合もありますし、親御さんから見ても推測できない場合も多いと思います。
例えば、人間関係が嫌だから高校にいけないと仮定して通信高校に転校したとしても、お子さんがそもそも何のために勉強するのか分からなくて通学意欲を失くしていたのであれば、通信高校でもモチベーションが上がることはないでしょう。
お子さんが元気のない理由は、未来に希望を持てないとか、自分に自信がないとか、毎日つまらないとか、高校生活とは直結しないところにあるのかもしれないのです。
そういった場合はその根本的なモヤモヤを解決する努力をしないことには、環境を変えてもお子さんはまた同じ理由で後ろ向きな態度になってしまいます。
7-3. 不登校克服がゴールではない
このように、不登校から克服して学校に通うこと自体がゴールなのではなく、お子さんの心の問題を解決することで、初めてお子さんが自分から意欲的に学習したり登校したりしようと思えるということを覚えておいてください。
また、スダチ(旧逸高等学院)では親御さんとお子さんの間にトラブルがあったり、お子さんが反抗したりする場合でも3週間で再登校できる支援サポートをしています。
そのほかにも、通信高校に通うお子さん向けに、学習内容だけでなく悩み相談や人生相談に乗ってあげて、お子さんが抱える根本的なモヤモヤポイントを解消するサービスも提供しています。
ご興味のある方は是非ホームページをご覧ください。
8. 不登校で全日制高校に進学した子どもの事例と体験談
ここでは、不登校から全日制高校への再登校を果たした子どもの体験談をお話しします。
不登校でも全日制高校に再登校することが可能なため、前へ進むきっかけとなれば幸いです。
体験者が学校に通うにあたって、一番の難関だったのが、朝起きることでした。
不登校期間はどうしても昼夜逆転の生活をしてしまいがちで、16時まで布団の中にいることも。
つまり、登校できる時間に起きることができれば「学校に行けそう」と思える可能性が上がります。そこでまずは生活リズムを整えることを実施しました。
また、軽い運動を行ったことも気持ちが明るくなるきっかけとなったようです。ジョギングなどではなく、近所のコンビニまで行くとか、家事の手伝いをする程度で十分です。
運動が心に与える影響は大きく、少し体を動かすだけで気持ちが前向きになることもあります。
また、生活リズムが整ったうえで、「学校へ行こうかな」と思ったきっかけは、親御さんからの他愛のないメールだったようです。
つい「くすっ」と笑ってしまうような内容のメールをみて、気持ちが明るく楽になり、「行ってみて難しければ途中で変えればいいや」と高校へいくことを軽く捉えられるようになったとのこと。
正しい親子の信頼関係が構築できていて、「親がいるから前へ進んで大丈夫なんだ」と思えたことが全日制高校に再登校するきっかけとなりました。
詳しい体験談は、こちらにまとめてありますので、参考にしてみてください。
9.不登校で全日制高校への進学・転校を検討するときによくある質問
不登校で全日制高校へ進学や転校を検討しているときのよくある質問を以下にまとめました。
参考にしてください。
9-1.不登校のとき高校は全日制と通信制どっちがいい?どこに行くべき?
不登校を克服して、「社会の中で主体的に生きていきたい」という思いが、お子さん・親御さんにあるのであれば、全日制高校がおすすめです。
お子さんが通信制を希望する場合には、通信制もおすすめです。
しかし、登校日数が少ないオンラインコースを選択した場合は、そのまま引きこもりになってしまう可能性もあるため注意が必要です。
通信制高校でどんな授業をするのか、メリットデメリットについては、次の記事を参考にしてみてください。
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通信制高校とは?入学の条件、学費、単位取得の仕組みや卒業後の進路、不登校の解消に役立つのかも紹介
この記事を読むのに必要な時間は約 52 分です。 「子どもが不登校になってしまった…この先の進路として通信制高校を選択肢にいれた方が良い?」 「通信制高校はどんなところ?学費や入学条件、卒業後の進路は ...
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9-2.不登校でも行ける公立高校は?
不登校でも行ける公立高校は、次の4つが選択肢として考えられます。
- エンカレッジスクールなどの全日制高校
- 不登校枠のある全日制高校
- 通信制高校
- 定時制高校
それぞれの選択肢の詳細は、当記事にてご説明しています。
9-3.中学不登校の子どもが全日制高校に行きたいという。中3だけど間に合う?
不登校でも、全日制高校を受験することは可能です。
次の3つのパターンが考えられます。
- エンカレッジスクール
- 私立の全日制高校
- 公立の全日制高校も目指せる
一般的に不登校のときは、エンカレッジスクールや、私立の全日制高校の方が入りやすい場合があります。
しかし現段階で不登校を克服しているのであれば、公立の全日制高校を目指すことも可能です。
中学3年生でも、受験対策をしていたり、学力試験のない高校を選んだりすれば入ることができます。
9-4.不登校でも行ける私立高校は?
私立高校ならば、不登校でも行ける全日制高校が多くあります。
入試などで、内申点を重視しない場合もあります。オープン型入試を採用している高校を選びましょう。
9-5.不登校で全日制高校に転校するメリットは?
人によっては、転校が不登校解消の重要なきっかけになる場合があります。
以下にメリットを記載しておきますので、ご確認ください。
- 学校に紐づいた不登校のきっかけから離れられる
- 新たな気持ちで学校生活を再開できる
- 異なる環境での刺激が成長につながる
9-6.不登校の転校理由は?どうやって転校すればいい?
不登校となり、さらに転校する理由としては、以下が多いようです。
- 朝起きられない
- 勉強が難しい
- 学校やクラスの雰囲気が合わない
- いじめ
- 異性が苦手
転校の手続きとしては、同じ市町村内での転校か、違う市町村へ転校かで変わってきます。
同一市町村の場合は以下の手続きが必要です。
- 在学中の学校へ転校する旨を伝える
- 学校から在学証明書と教科書給与証明書をもらう
- 教育委員会で転校先の学校の指定を受け「転入学通知書」を受け取る
- 転校先に、在学証明書・教科書給与証明書・転入学通知書を提出
同一市町村外の場合は以下の手続きが必要です。
- 在学中の学校へ転校する旨を伝える。
- 学校から在学証明書と教科書給与証明書をもらう
- 引っ越し後、新住所の役所に転入届を出し、住民票を発行
- 新住所の教育委員会に住民票を提出し転校先の学校の指定を受け、「転入学通知書」を受け取り
- 転校先の学校に、在学証明書・教科書給与証明書・転入学通知書を提出
余裕を持って準備できるように、事前に自治体へ確認しておきましょう。
10. まとめ
不登校になってしまい、今の高校を卒業できる見込みがなさそうな場合は転校も一つの手段です。しかし、「そもそもなぜ不登校になったのか」をお子さんと向き合ってきちんと考えなければ、根本的な原因の解決にはなりません。
お子さんの漠然とした不安や悩みは、親御さんや学校の同級生以外の第三者と話すことによって解決する場合もあります。状況に応じてサポート校等の使用も視野に入れながら、新たな環境に一歩踏み出してみるのも悪くないかもしれません。