こんにちは、スダチの不登校支援サポーターです!
今回は、前回の「暴言への対応 ~親子関係の見直し~」の続きからお話ししていきます。
第一章をご覧になりたい方はこちらから!
【前回までのあらすじ】
7月初旬、いよいよサポートが始まる直前、藤川さんから「この状況で本当にサポートを進められるのか…」という不安のメールが届きました。
かのんちゃんはお母さんに強い怒りをぶつける一方で、心の奥では「大好きなのにこんなこと言ってしまう」と涙を流す日々。
お互いに傷つき合う関係を何とかしたいという思いで、ルール設定に踏み切りました。
ルールには、デジタル制限や生活リズムの確立が盛り込まれており、かのんちゃんがなかなか受け入れられず以前よりも暴言が増えてしまいました。
果たして、かのんちゃんの反発は収まり、親子関係はより良い方向へ向かっていくのか…?
今回は、「大きなチャンス到来!」についてお話していきます。
▼家族構成
家族構成
・母
30代後半の専業主婦。
・父
30代後半、シフト制で勤務している会社員。
仕事で忙しい中、ほぼすべての面談に同席している。
・長女:かのんちゃん
公立の小学校へ通う小学5年生。
・次女
小学2年生。かのんちゃんと喧嘩も多いが仲良し。
▼サポート開始時のお子さん
サポート開始時のお子さん
地元の公立小学校に通う小学5年生。
進級後、行き渋りが増え5月末の登校を最後に不登校になる。
かのんちゃんは、活発で友達も多いタイプのお子さんで、学校を休んでも放課後には近所の友達とよく遊んでいた。
苦手な授業や先生はあったかもしれないが、学校での表面的な問題は特に見られなかったものの、家庭内での暴言は激化。
特に、お母さんへ強い怒りを抱え、思い通りに物事が進まなければ、お母さんを傷つけるような言葉を多く浴びせていた。
背景には、不安感の強さや安全基地の感覚の低さが影響していた。
▼サポート開始直後の親御さんの様子
サポート開始直後の親御さんの様子
・無料相談前は、スクールカウンセラーや小児カウンセリングに親御さんのみ相談していたが、お父様がスダチの不登校に対する考え方に共感してくださり相談に申し込んでくださった。
(初回相談から最終回まで、ほぼ全ての面談にご両親そろって参加された。)
・お二人ともお子さんへの対応に悩まれ、特にお母様は度重なる暴言に参ってしまっている状態だった。
・お子さんへ愛情を伝えたいのにその伝え方が分からず、常に自分の対応が正しいのか不安が強かった。
注意
※実際のサポートを元にしていますが、人物名など個人を特定できる情報は仮で設定しております。
※記載している内容はあくまでもサポートの一部でございます。
第三章 大きなチャンス到来!
かのんちゃんの心境の変化
親子関係や日中の過ごし方が変わると、驚くほどお子さんの心持ちに変化が見られることがあります。
もちろんそれは、普段だったら見逃してしまう小さな変化かもしれませんが、サポートを受けていただいているからこそ、小さな変化を見逃さず、肯定的に注目してあげることができます。
そして、チャンスは突然訪れます!
藤川家も、親子間に変化が見られ始めたサポート開始2週間後、かのんちゃんから以下のような言葉が出始めました。
友人が多く、もともと好奇心旺盛なかのんちゃん。
もちろん不安はまだまだありますが、以前は自ら話題にだすことが少なかった「学校」のことを自分から話すことが増えてきました。
私はこのとき、「登校刺激」をするタイミングが訪れたと判断しました。
サポーターとして、この「登校刺激」をするタイミングもまた腕の見せ所です!
かのんちゃんの場合、
・親子関係に変化がみられ、前向きな言動が増えたこと
・学校への関心が増してきたこと
・夏休み目前なこと
以上の理由からこのタイミングで登校刺激をしようと決めました。
ちなみに登校刺激は一度しかできないものではありませんし、一回で結果をだすものでもありません。
お子さんの学校に対する率直な思いや考えを聞くという目的もあります。
ですので、意図や目的も併せて、登校刺激の仕方を藤川さんにお伝えしました。
最も大切なことは、「親御さんが期待しすぎないこと」「判断を委ねること」の2点です。
親御さんが期待しすぎないこと
私の予想では、かのんちゃんが即答で「無理。行く気全くない。」という可能性もありました。
藤川さんにも同じ想定をしてもらい、望む返答がこないとしても、落ち込む姿をお子さんに見せないようお願いしました。
実は、親御さんが落ち込んだ姿をみると、それだけでお子さんは自己肯定感を下げてしまうのです。
そのため、どのような返答が来たとしても、「あなたの気持ちをしることができて良かった」と、共感的に受け止めてもらい、「期待0、信用100」の考え方を改めて意識してもらいました。
判断を委ねること
登校刺激後、もし「無理。行く気全くない。」と言われたら、
どの親御さんでも、「もう少しじっくり考えてごらん。先生も会いたいっていってたし、お友達だってずっと待っているよ。1日でもいいからとりあえず行ってみなよ。」
このように声をかけたくなる親御さんも多いと思います。
実は、このような声掛けによって、登校を促せば促すほど、お子さんたちの登校意欲を下げてしまうのです。
これは、「心理的リアクタンス」と言い、自由を制限されたり奪われたりすると、自由を奪い返そうと抵抗したり反発したくなる気持ちを指します。
つまり「学校へ行かせようとすればするほど逆効果になり、結果的に再登校から遠のく」ということです。
ですので、藤川さんにもどのような返答が来ても、まずは共感することを意識していただき、決して登校を促さないこと、最終的な決断は本人に任せるようお願いしました。
藤川さんたちは、事前にたくさんのシミュレーションを重ね、上記のポイントもしっかり押さえた登校刺激を行ってくれました!
その結果、かのんちゃんは涙を流しながら真剣に話を聞いてくれました。
そして、ついに「〇日から登校しようと思う。」と決意表明してくれました。
もちろんその後、すんなり登校できたわけではありません。
かのんちゃんも「あのとき学校に行きたいといったけど、やっぱり本当にいきたいのかわからなくなってきた」と、不安が出始めます。
ただ、このような気持ちもサポーターとしては想定内です!
実は、登校しようと意欲が上がっても、いざ登校予定前の夜や当日の朝に大きな不安に襲われ、登校できなくなるというお子さんが非常に多いのです。
かのんちゃんも登校予定日が近づくと、「寝れない」「学校のことを考えて心がしんどい」「なんで4月から学校に行けなくなったんだろう」と泣いていました。
そのようなときも、決して登校は促さず最後までかのんちゃんに判断を委ねながら、不安な気持ちに共感し、会話を重ねてもらうようお願いしました。
かのんちゃんは苦しかったかもしれませんが、「嫌なことから目を背けず向き合う」「なぜ自分は学校へ行きたくなくなったのか考える」この時間に大きな意義がありました。
そして、ついに、以下のようにお話してくれます。
藤川さんは、登校できるかの結果にこだわらず、「行きたいと思えたことがすごい」「しっかり考えたこと、自分で決められたことがすごい」と何度もかのんちゃんがその決意に至ったプロセスを褒めてくれました!
その言葉を自信に変え、ついにかのんちゃんは、夏休み目前に再登校を果たしました!(※サポート19日目)
かのんちゃんは学校から元気よく帰ってくると、そのままお友達と遊びにいったそうです。
かのんちゃんの大きな一歩に嬉しさをかみしめると、ともにここからがサポート第2章だ!と、気を引き締めました。
ついに夏休み目前に再登校を果たしたかのんちゃん、このまま順調に継続登校できるのか・・?
次回は第四章「再び訪れる困難」をお届けします。(次回2025年3月4日(金)の19:00に公開予定です)
※サポーター日記は、毎週火曜日/金曜日に更新しています!(場合によって、内容の変更もあります)
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