こんにちは、スダチの不登校支援サポーターです!
今回は、前回の「学校に行けるかもしれない」の続きからお話ししていきます。
【前回までのあらすじ】
前回は、冬休み前という絶好のチャンスを活かし、そうたくんが登校に大きく近づいた様子をお伝えしました。
公園で偶然会った友達の一言が後押しとなり、「明日学校行けるかもしれない」と前向きな発言が出るように。
放課後の教室訪問や校門から階段までのチャレンジなど、一歩ずつ距離を延ばしていく中で、恒常性に立ち向かう努力も見られました。
ですが一方で、母子分離の課題や「最後の一歩」の壁も浮き彫りに...。
冬休み中の過ごし方と明けの対策が次なる鍵となるそうたくん、うまくルールと向き合うことができるのでしょうか?
今回は、「行きたいけど行けない葛藤」についてお話していきます。
▼サポート開始時のお子さん
サポート開始時のお子さん
・入学式前の学童生活で環境の変化やルールが分からず不安を抱えていた。
・入学後すぐに「学校に行きたくない」と言い出し不登校になる。
・サッカーの習い事や公文にも行けなくなってしまった。
・公園・スーパー・コンビニといった身近な場所にも不安で行けない状態に。
・徐々に教室の「一歩手前」までは行けるようになるも、そこで毎回「帰る」を選ぶ状態が続いていた。
▼サポート開始直後の親御さんの様子
サポート開始直後の親御さんの様子
・スダチの考え方に共感し、支援を申し込んくださった。
・親御さん自身でそうたくんの「褒め方」や「マインドセット」を磨き続けていた。
・そうたくんが前進しやすいように、放課後の教室訪問、学校への散歩などを提案してあげていた。
・始業式以降、母親の付き添いで毎日登校できるようになるまで伴走してあげていた。
注意
※実際のサポートを元にしていますが、人物名など個人を特定できる情報は仮で設定しております。
※記載している内容はあくまでもサポートの一部でございます。
第4章 行きたいけど行けない
再登校への葛藤
終業式の日も、そうたくんはいつも通り登校にチャレンジします。
この日は、朝から「喉が苦しい…」と言っていました。
お母さんは、「やっぱり月曜だからアイツが強いよね、でもそうたは何度か自分でその苦しさを克服できるようになってるはずだよ。」と声を掛けました。
そして、そうたくんがリラックスできるように、朝食時には、笑顔になれる会話などを意識しました。
そうたくんには、いつも通り、学校に行きたいという気持ちはありましたが、その気持ちを恒常性が邪魔してくるのです。
そこで、恒常性対策として枕にたくさんパンチをして、家を出ることができました。
その後、下駄箱まで行けたものの、そうたくんの足が止まってしまいました。
首を横に振り、上靴を履きませんでした。
お母さんは、そうたくんと一緒に不安対策を少し復習してみました。
そして「上靴を履こうか」と提案してみると、そうたくんは「うん」と返事をしてすんなりと履くことができました!
その流れでそのまま階段を上り、いつも通り教室の手前まで行くこともできました。
でも、そうたくんは後ずさりをしてしまいました。
お母さんはカウントダウンを提案し、その場で何度か練習してみました。
お母さんは、教室の手前で過ごす時間が長くなっていることが最近の課題だと感じていました。
そのため、この時間が長くなり過ぎても、教室に入るタイミングを失うと感じていました。
また、この時、お母さんから「帰る?」とは言わないように意識していました。
そこで、お母さんは、そうたくんに「どうしたい?どうするかそうたが決めるんだよ」と声を掛けました。
「行きたいけど…」とそうたくん。
お母さんは、「うん、行こう!対策はいろいろしたし、今日はそれ以外の困ることが起きにくい日だよね?」と切り返しました。
終業式の日は授業時間がいつもより少なく、早帰りだったからです。
それでも最後は、帰ることになってしまうのでした。
そうたくんは、「でもそうたここまでやれた!」と納得していました。
お母さんは納得していませんでしたが、帰り道に、「この挑戦を必ず覚えておいてね!冬休みが終わったあともまた必ず毎日挑戦しよう」と言いました。
そうたくんは「うん!」と笑顔だったそうです。
結果として大きな変化はなかったですが、冬休み明けも毎日登校にチャレンジすることを事前に約束できたところがお見事でした。
冬休みのルールと向き合う
冬休みなどの長期期間中は、学校に行く必要がないため、通常のルールとは異なるルールを行うことになります。
「やるべきこと」を冬休みの宿題に取り組むこと、運動をすることなどに変えるといった違いがあります。
そうたくんに冬休みルールの話をしたところ、とても意欲的でした。
また、「別に今そんなにゲームやりたいとあんまり思わないしね…」とも言っていたそうです。
ゲームがモチベーションではなくなっていることが分かり、とても素晴らしいなと思いました。
さらに、始業式からも毎日登校にチャレンジすることを約束できました。
冬休み明けの登校チャレンジは、「やっぱり無理と思っても帰るというパターンはなし」ということを約束できました!
冬休みも残り数日となったある日、お母さんは始業式に向けて、そうたくんとそろそろ学校の話をしようと思っていました。
すると、そうたくんから「3日後、学校不安だな…」と話してきました。
お母さんは、「うんそりゃ不安だよね、冬休み入る前も言ったけど、休み明けは恒常性もパワーアップしてくるから一緒に対策しようねって言ってたもんね?」と切り返しました。
「うん。行けるようになりたい。」とそうたくん。
2年生もあと少しだから行かないともったいないという気持ちがそうたくんにあることが分かりました。
まさに内発的動機付けです。
ゲームのためといった外発的動機付けではなく、自分のために学校に行きたいと思えているところが素晴らしいと感じました。
始業式当日、久々の学校に思うように足が進まないそうたくん。
そこで、お母さんから「歩き出せなくてもいいから一度外の空気吸いに行こうか?」と誘いました。
すると、そうたくんはすんなり「うん」と言いました。
行きたい気持ちは変わっていなかったようで、昨日完璧に準備した荷物を自分で持ち、行く気満々で外に出ることができました。
そして、「気持ちいいね!」と言いながら、学校に向かって歩き出すこともできました。
ここでお母さんは、「あんなに苦しかったのに、ここまで出て来れてすごい!冬休み明けのブスが最強だって理解できていたからだよね!
今日も絶対行けるよ」と声を掛けました。
その後は、笑顔で楽しい会話を心がけながら学校に向かいました。
事前の不安対策はできていました。
この日の1番の不安は、集会のために「体育館に行くこと」でした。
その時が迫ると、そうたくんはやはり身構えてしまいました。
でも、上靴まではすんなりと履き、体育館へ行くために階段を上ろうとしました。
ところが、「やっぱり無理だ。」と言って下駄箱まで戻ってしまいました…。
その時、体育館に向かう友達がそうたくんの前を通りました。
すると、みんなが「あーそうた‼︎」と言い、そうたくんの姿に驚きながらも、「来てね〜」と何人かの友達が声を掛けてくれたのです。
そのおかげで、そうたくんは「体育館に行く!」と自分から言い、実際に行くことができました。
体育館に着くと、みんなと一緒に話を聞くことはできませんでしたが、後方で過ごすことはできました。
そして、集会終了前にみんなより一足早く教室に戻り、待機することにしました。
クラスのみんなが教室に戻ってくると、そうたくんの姿を見て、「そうた〜」と少しざわつき始めました。
こうなることは事前に想定していました。
冬休みの宿題を集める時間になると、自分で提出することを少しためらっていましたが、遅れてでも自分で提出することができました!
その後、レクリエーションの時間があり、みんなでジグザグジャンケンをすることになりました。
最初、「そうたはやらない。」と先生に言い、みんなの姿を見ていました。
でも途中、仲の良い友達の何人かが、「そうた来て〜そうたの力が必要だ!」と、声を掛けてくれました。
そのおかげで、そうたくんの気持ちは変わり、お母さんに「行ってみようかな?」とボソッとつぶやきました。
お母さんは、「うん、行けるよ!やっておいで!」と良い、背中を押しました。
結果、そうたくんはみんなの中へ入り、楽しい時間を過ごすことができました!
帰りは、友達と仲良く帰ることもできました!
帰宅後、そうたくんは「自分でもここまでできると思っていなかった」とびっくりしていたようです。
今までは「できない」と思ってしまうと、それ以上やろうとはしないことが多かったそうたくん。
お母さんは、どれもチャレンジしたことが本当に素晴らしい!ということをたくさん褒めました。
そうたくん自身、教室に入ることができたこと、みんなと過ごせたことはとても自信になっていました。
「明日も行けそうな気がする!行くよ!」と笑顔だったそうです。
その日の夜、お母さんからそうたくんに、嫌だったことがなかった尋ねてみました。
すると、「うーん、あんまりなかった」との返答が。
お母さんは、「そっかぁ、やっぱりそうたのはっきりとした心配なことがないなんとなくの不安はそんなに嫌なことが起きないってことだね!」としなやかに切り返しました。
そして、そうたくんは、「うん、どうしてあんなに不安に思っていたんだろう…って思う。」と口にしました。
お母さんは「そうだね、やっぱり不安の96%は起きないし、そうたの本当の気持ちじゃなくて恒常性のしわざってことだよね」と続けました。
始業式の日は、久しぶりの学校ということで、どのお子さんにも恒常性が表れやすいです。
そんな中、この日にチャレンジできたそうたくんは本当に素晴らしいなと思いました!
週3サポート16日目で見事再登校を達成できました!
サポート回数も残り数回となる中、今後は継続登校に向けてお母さんと一緒に頑張っていこうと思いました!
授業見学できるまでに
次の日も、教室に入ることができたそうたくんですが、さまざまな苦手と向き合わなくてはいけませんでした。
例えば、体育の授業ではどうしても体操服に着替えることができず「無理」と言うばかり。
お母さんは、「じゃあ体操服には着替えられなくても、見学はできるんじゃないかな?」と提案します。
そうたくんは「うん、できそう」と返答しました。
今まではできないことがあると帰りたがっていたそうたくんでしたが、今できることにチャレンジしようとする姿が見られ、お母さんは感動しました。
しかも、実際に最後まで見学はできたのです。
そこで、「できたね!今までは着替えられないと帰りたくなってたけど、今日は違ったよ、見学することに挑戦できたね!
最後までできた!また成長できたね!次は体操服に着替えられるといいね!」と、愛情たっぷりに褒めました。
そうたくんは、「うん」と返事をしてとても嬉しそうでした。
他にも、お母さんがそばにいなければ掃除ができなかったそうたくんでしたが、お母さんの姿が見えないところにも行き、きちんとみんなと掃除ができるようになりました。
この点についても、お母さんは「少し離れてもできたね!しかも不安がとても強かった給食のあとでしっかり気持ちを持ち直して掃除までがんばれた
ことは本当にすごいよ!」と、しっかり褒めました。
できることがどんどん増える中、お母さんがきちんと褒めてあげることで、そうたくんの自己肯定感は高まり続けていると感じました!
その次の日の体育でも、そうたくんは体操服に着替えることができませんでした。
そして、昨日と同じように、最初は見学していました。
しかし、途中、先生に声を掛けてもらい、みんなから少し離れたところではありますが、縄跳びにチャレンジすることができました!
お母さんは、「昨日は見学だけだったけど今日また一歩前進できたね!やってみようと思えて行動できたことすごいね!」と褒めました。
そうたくんは、みんなと同じようにやれたということがとても嬉しかったようでした。
さらに次の日、お母さんはそうたくんが学校の中で自分に話しかけてくる頻度が格段に少なくなっていることに気付きました。
ほんの少し慣れてきたこと、そうたくん自身がなるべくお母さんに話しかけないよう意識しているかもしれないことを褒めました。
そして、「今日はママにあんまり話しかけてこなかったよね?ママがいなくても大丈夫そうって思えた時もあったんじゃない?」と尋ねました。
すると、そうたくんは「そうたもそう思ってた!うん、算数の時はママがいること、少し忘れてたくらいだった」と言いました。
お母さんは「そう思えていたんだね〜いいねいいね!授業に集中していたり、お友達と楽しく遊んでいる時とかはきっとそう思えるよね?
少しずつ慣れてきているってことだね!」と切り返し、さらに褒めました。
あとは、お母さんがついて行かなくても1人で登校して教室で過ごせるようになれば完璧です!
継続登校4日目、この日は、帰宅後にサッカークラブに行く予定がありました。
不登校になる前は、サッカークラブに楽しく通っていたそうたくんでしたが、不登校になってからは急に行けなくなってしまいました。
それから約半年が経ち、冬休み中に急に「サッカー行こうかな」と自分から言い出したのでした。
今日は久しぶりに行くはずでしたが、帰宅後は疲れもあったのか、そうたくんは「サッカーやめとこうかな…」と言い出しました。
お母さんは、「どうして?行きたいって言ってたのに。」と切り返しました。
「うん、でも、」とそうたくん。
ここでお母さんは、サッカー自体をやりたくないのか、不安なのかどちらか聞いてみました。
すると、やはり不安との返答がありました。
「だったら行ってみようよ?やりたいって気持ちになれたことがすごいよ!その気持ち大事にしてほしいなぁ。
久しぶりだもんそりゃあ不安になるよね?学校もそうだったけどそうた行けたよ!コーチも待ってるよ〜」と、お母さんは明るく切り返しました。
そのおかげで、そうたくんは切り替え、「うん行ってみる」と言い、ユニフォームに着替えて行くことができました!
1人でチャレンジできる日を目指して
サポート最終日には、zoomでお母さんとお話ししました。
まだ完全に1人で登校できたわけではありませんでしたが、お母さんは自信たっぷりにこうおっしゃっていました。
「そうた的には、まだ私がいないと難しいみたいですけど、私的にはそうたが1人で行けるようになる日は近いと思っています!」と!
期待するのではなく、そうたくんを信用できているからこその発言だと思いました。
この発言を聞いて、私もそうたくんが1人でチャレンジできるようになる日はもうすぐだと確信しました!
最後の振り返りメールには、以下のようなメッセージが書かれていました。
〈お母さんからのメッセージ〉
何度も何度もメールを読み返し、セリフを落とし込み、それでもうまく伝えられなかったり、思うようにいかなかったり、サポート開始からしばらくはとても辛い日々が続きました。
それでもそうたを信じ、必ず行けるようになる!という思いだけでなんとかやってこれました。
冬休み前に教室に入ることができなかった時、心ではとても落ち込みました。
学校に向かえるようになっただけでもすごい成長だと思いながらも、まだ教室に入れていない事実に、これからどうしていくか、でもやることは変わらずやり続けるしかない…と、冬休みもなかなか気が休まらずでした。
始業式のチャンスにはとてもプレッシャーでしたが、そうたのがんばりに感激しました。
教室に入れてからも課題は山のようにあり、気が抜けない日々でした。
夫や私の声かけ一つでこんなにも変わるのだと思う分、毎日かけ続ける言葉がこれでよかったのかと心配になりました。
それでもサポーターさんに「バッチリです」など言ってもらえると、よかったのだと自信が持てたり、次のステップのアドバイスがいただけてとても安心でした。
学校でのそうたの表情が日に日に豊かになっていくのがわかります。
楽しそうにしていると、やはりうれしくて、本来の姿だな…と思います。
まだまだ課題はあり、大きな問題は私から離れ一人でやっていくこと。
でも、今のそうたならそんなに遠い先ではないようにも思えます。
欲を言えばサポート期間内に一人で行けるようになると良かったのですが、この期間に得たこと、やるべきことは私の中できちんとあると今は思えます。
いつか普通に学校へ行き、楽しいことも辛いこともたくさん経験して、逞しく成長していくそうたの姿をずっとイメージしています。
そんな当たり前のようなことが当たり前でなくなってしまった経験は、私にとっていろいろな事を見直す大事な期間だったのだと思える日が来るように、これからもやるべき事をやっていきたいと思います。
お母さんが、そうたくんの明るい未来を想像できていることが伝わりました。
サポート開始後は辛い瞬間もたくさんあったと思いますが、それでもアドバイスがお母さんを励ます力になっていたことが分かり、とても嬉しかったです。
どんな不安も乗り越えて再登校できることを証明してくれたサポートでした。
次回は#7 第一章「」をお届けします。(次回2025年5月日(金)の19:00に公開予定です)
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