横尾家の中学一年生の長男たつやくんは、私立中学に通っている内に徐々に勉強についていけなくなり、10月の初旬ごろから不登校になってしまいました。母親の里美さんも精神科医のカウンセリングを受ける程に疲弊しており、藁にもすがる思いでスダチのサポートを希望してくださいました。
このサポートの最大の目標は「私立中学への再登校」です。第2章ではその達成のために必要な3つのポイントを語り、第3章では徐々にタツヤくんに変化が見られてきました。本章では、たつやくんが抱える大きな課題へどう立ち向かうのかを語ります。小さな変化を積み重ねてきたたつやくんがどのように成長していくのか、必見です!
※前回までの章は以下からご覧いただけます👀💫
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第1章 長いサポートの始まり
第3章 小さな変化の積み重ね
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◆第4章◆
自ら選択し、
受験した上で進学した私立中学へ
再登校を目指すのか、
それとも地元の公立中学校への
転校を選ぶのか?
サポート期間の延長とともに、
お母さんの里美さんとは、
今後、目指していくべき方向性について
改めて話し合っていかなければなりません。
ただその前に、
しっかりと確認しておくべき
ポイントがありました。
それは、
小さな変化が現れている一方で、
『まだ暴言や暴力があること』でした。
特に
「ルールを守ったら転校させてくれると言った」
「お前のせいで不登校になった」
というふたつの重要な言葉が
時折、
息子のたつやさんから
出てきていました。
人のせいにするのではなく、
自分自身をしっかりと見つめ、
自分で決めた道へ進めるよう
促さなければ
未来を見据えた解決には
なりません。
息子さんが転校したい想いが
本当に強いとしても、
今やるべきことを
しっかりと出来るようになることが
まず大切です。
やるべきことを出来ていない状況で
「転校」
という、
ただ選択肢を変えることを
この段階で目指すわけにはいかないのです。
お母さんの里美さんも、
この部分は
しっかりと理解をしてくれていました。
そして、
暴言や暴力に対して
絶対にやってはいけないことを
サポート期間中、
何度もお伝えしました。
里美さんが、
そのような行動に
出るわけではないのですが
それでもお伝えしておきました。
まずは、
◉暴力(体罰)で返すこと。
→これは何かあれば暴力で解決すればいいと教えているようなものです。
そして、
◉その場しのぎの解決を図ること。
→たとえば何からの取引を持ち掛けるなどです。
これも一時的な解決にしかならず、
次の機会でも同じように取引を繰り返すことになります。
最後にここが最も大切かも知れません。
それは、
◉『子どもの発言にいちいち付き合うこと』です。
→きちんと子どもと向き合っているようですが、
むしろただ子どもの言動に振り回されているだけ
になってしまうのです。
暴言や暴力があっても、
最終的には、
早めに寝る、
自分の部屋にこもるなどで、
少し距離を取る対応を取ってもいいと思います。
そうすることで、お子さんが
やや冷静になり、
逆に自分の言動を考えることにもつながります。
もし、それでも暴言や暴力が続く場合は
児童相談所や警察に相談する選択肢も
あることも、
お伝えしていました。
時が経つにつれて、
もしかしたら
息子のたつやさんも、
2年生になるまで、
そう時間がないことを
気にし始めていたのかも知れません。
徐々に話題も変わっていました。
朝から機嫌がよかったある日、
「自分が進学したいと思う高校の話」
や
「こんな本を読みたい…」
などと、
自分から話をしてきたそうです。
お母さんの里美さんは、
この時、
「ただ聞く」
という姿勢をとったそうです。
サポーターとしては、
「息子さんの話を聞く姿勢は
とても素晴らしいですね」
とお母さんをしっかりと褒めました。
さらに、
「できれば、共感したり、
質問したりして
話を深堀りすればもっとよかったかも知れないですね」
と次回に向けた提案もお伝えしました。
また別のある日のこと。
夜、寝る前に
「おやすみ」
と声をかけ、
部屋のドアを開けたら
ノートに何か書いていたそうです。
どうやら自分で、勉強していた様子でした。
お母さんの里美さんが、
「もしかして勉強してた?」
と聞いたら
社会のテキストを出してきて
自分が覚えようとしていたところを
見せてくれたそうです。
息子さん本人の中で
勉強に対する焦りが
もしかしたら
出てきているのかもしれません。
学校に通っていた頃ですら、
自分から勉強する姿を
ほぼ見たことがなったとのことでした。
このような報告を受けて、
いよいよ、
息子さんと
「再登校」
についての考え方を
しっかりと話し合えるタイミングが来た
気がしました。
サポータ―としても
今後の方向性が見えてきました。
「登校刺激」ができる段階に
たどり着いたのです。
まずは、
息子・たつやさんのさまざまな変化を
しっかりと褒めた上で、
以前よりも成長した今なら、
元々通っていた私立中学校に通うことができるのでは・・・と
お母さんからの冷静な視点で、
提案してみることをお伝えしました。
その上で、
息子・たつやさんが
どのような回答をするのかを待つのです。
ただし、
お母さんが思い描く理想の回答が返ることは
そう簡単ではありません。
『期待は0。信用100』
こちらもなんどもお伝えした言葉です。
そもそも答えてくれるかどうか、
もちろんどんな答えになるかも
わかりません。
それでも、
これまでと変わらず
支え続ける気持ちが大切。
サポーターとしては
ずっとお母さんの味方であること、
そして
決して諦めないこと
をお伝えしました
お母さんは、
息子さんが
「今の中学校には行きたくない」
と思っていることに対して
「共感が足りないかも」
と反省されていました。
でもこれも普通のことなのです。
「不登校の中学生が100人いたら
100人は今の学校が嫌だ!」
と言ってくるはずなのです。
そして横尾さんご家族の例では
息子のたつやさんが、
「今の学校が本当に嫌」
だと思っているというよりは、
「今学校に行けていない自分」
を正当化する理由として
「今の学校がダメで、地元の学校ならいける」
ということにしておかないと
自分の心の中で折り合いがつかないという
心理的側面もあるのかも知れません。
自分の中での矛盾に
折り合いをつけようとすることを
心理学的には
「認知的不協和」
ということも
お母さんの里美さんにはお伝えしました。
中学1年生という多感な時期。
自分でもわからない感情があるはずです。
それでも、次の選択肢を決める際には
「自分で考えて決めること」が大切。
なので、もし
「地元の学校なら行ける」
「転校させて」
と話して来たとしても、
その話はしっかりと聞いた上で
「ルールを守ることはもちろん
まずはやるべきことをきちんとやるべき。
その上で本当に自分自身が今の学校では
自分のやるべきことができない、
自分らしく生きられないと思うなら、
その時はしっかり聞いて考えようと思うよ」
などと返すようにお伝えしました。
その後、
なかなかしっかりとした回答は
ありませんでした。
「期待0 信用100」
でのぞんでいましたので
ある程度、
「仕方ない…」
と思える状況ではありました。
ただ、親として、
次へ進む方向を
決めなければなりません。
お母さんの里美さんは、
自分に言い聞かせるように
報告してくれました。
「今も息子からの動きはないのですが、
もしかしたらそれほどまでに、
転校したいという本人の意志が
強かったんだと思います。
今なら転校を選んだとしても、
自分の意志で決めたこととして、
新しい環境で
頑張ってやっていけると信じています。」
と綴られていました。
そして、
「周りからは最初から転校させとけば良かったのにと
思われるかもしれませんが、
私は自分が何もせず後悔したくない、
諦めたくないという思いで
できる限りのことをしてきたつもりです。
苦しかったですが、
その中で自分に足りなかったものや
課題を見つけることができ、
得るものが多くありました。
自分の思うような結果にはなりませんでしたが、
やれるだけのことはやったので後悔はしていないです。
私も息子も、数か月前と変わったことは確かです」
と続いていました。
いろいろな感情が湧き出る中、
お母さんは、改めて
息子さんの新しい一歩を
信じることを決めました。
このことにサポーターとして、
異論することはありません。
お母さんの気持ちをしっかりくみ取り、
これまで以上に、
丁寧なサポートを心に誓いました。
そして、
新たな一歩に向けて、
これまで通っていた学校、
そして
新しく通うことになる学校
との
具体的な手続きに入っていくことになります。
◆次章◆
次章は、たつやくんが決めた選択肢、そして横尾家の今後の道筋が見えていきます。
横尾家はどのような道を歩むのか、そしてたつやくんは新たな道へと足を進める事ができたのか。
ぜひご覧ください。
こちらのリンクから公開されますので、しばらくお待ちいただけますと幸いです。