はじめに
こんにちは、スダチの不登校支援サポーターです!
本記事では、実際に不登校を克服したご家庭のインタビューをもとにその過程や親御さんの生の声をご紹介していきます。
▼概要
概要
- 対象:小学2年生女児(3人兄弟の長女)
- 不登校期間:約半年間(6月〜12月)
- 解決期間:8日間
- 主な症状:給食恐怖、腹痛、HSC傾向
不登校のきっかけと症状の変遷
胃腸炎から始まった給食恐怖症
飯島さんの娘さんは、1年生3学期に胃腸炎による給食恐怖が始まり、2年生には「午前中だけ頑張ろう」と五月雨登校になり、そのまま完全に不登校の状態になってしまいました。
飯島さんの娘さんの不登校は、胃腸炎による体調不良がトラウマとなり、給食への恐怖心から始まったものですが、決して珍しいケースではありません。
また、娘さんは後にHSC(非常に敏感な子)の特徴があることが分かりました。
日本人の子どものおよそ5人に1人は、HSCの気質があると言われており、1クラス40人の児童がいる教室には、およそ8人のHSCがいる計算になります。
これは気質の一つであり、医学的に診断される疾患ではありません。
後天的に発症したものではなく、生まれつきの気質のため、HSCそのものに対する治療もないのです。
身体症状と心理的変化
この症状は、不登校の子どもによく見られるものです。
子どもたちにみられた身体症状としては、頭痛が10~30%で最も多く、反復性腹痛も10~25%にみられたといいます。
また、そのほかにも、全身倦怠感、医学的に説明がつかない胸痛、めまい、頻繁な嘔吐などの胃腸症状なども子どもの訴える身体症状としてよくみられるとされています。
飯島さんの娘さんの場合、給食への恐怖から「オート恐怖症のような状態」になり、毎朝腹痛を訴えるようになりました。
このような症状は、過敏性腸症候群の可能性が高く、また、不登校、起立性調節障害、不眠、頭痛などを併存する場合も多いです。
医療機関・学校での対応とその限界
医療機関での検査と診断
飯島さんは、娘さんの腹痛を心配し、まずかかりつけの小児科を受診しました。
CT検査、血液検査、各種消化器系検査を受けたものの、異常はなく、過敏性腸症候群の診断をされました。
処方薬の問題点
医師から処方された薬には下記のような問題がありました。
- 吐き気止めの錠剤が大きすぎて子どもが服用できない
- 薬を砕いても飲むことを拒否
- 根本的解決に至らず
これにより、「何度か病院に行ったが、お話聞いて終わりという感じで毎回終わってしまって何の発展もなかった」という状況になってしまいました。
医師からは心療内科の紹介も提案されましたが、「病院のたらい回しになるのはもういい」と飯島さんは断ったそうです。
学校側の対応と支援策
学校側も午前中のみの登校、お弁当持参での登校、保護者同伴での給食、朝の送迎サービスなどを提案してくれました。
飯島さんは「学校としてはいつでも待ってるからねという感じで、それはありがたいなと思った」と振り返っています。
しかし、「まず学校に行けないので、学校行ってどうのということではなく、学校にとにかく行けないというのをどうにかしたかった」ため、根本的な解決には至りませんでした。
小・中学校における不登校児童生徒数の推移(令和3年度~令和5年度)
文部科学省の調査によると、小・中学校の不登校児童生徒数は令和5年度に過去最多の34万6,482人となり、11年連続で増加しています。
特に小学生の増加が顕著で、前年から約2万5,000人増加。
様々なきっかけで不登校になってしまうお子さんは年々増加しており、多くの親御さんが悩まれています。
引用:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果
公的フリースクールの現状
スクールコーディネーターからは公的フリースクールの紹介もありましたが、予約まで半年待ち、入所後は「居心地が良すぎて学校に戻ってこられないかもしれない」、一度入ると復帰困難な傾向などの懸念点が多くありました。
この状況は全国的な問題でもあり、「学校内外の多様な学びの場を確保するよう努めること。」と文部科学省は推進していますが、実際の受け入れ体制は十分とは言えない状況です。
民間支援「スダチ」との出会い
HSCとの向き合い方の転換点
通っていたスクールの方から「娘がちょっとHSCなんじゃないか」と指摘され、飯島さんはHSCについて本を読みあさり、調べ始めました。
色々と調査していく中で、従来のアプローチの問題点は下記にあると気づいてきました。
- 苦手な環境を避ける「守り」の姿勢
- 制限されがちな対応方法
- 将来への不安
飯島さんは「言われた時はすごく安心した。それが原因だったんだなって納得できた」と語る一方で、「調べていくうちに、頭のどっかで不登校問題が大人になっても続くのかっていうのがあった。そのままずっと守られて守られてで大丈夫かな」という疑問も抱いていました。
復学支援という新たな選択肢
そんな中、「復学支援」という言葉と出会い、調べてみると「一発目に3週間で復学」という見出しが飛び込んできました。
最初は「かなり怪しい」と思ったものの、無料セミナーを受講することにしました。
【「スダチ」を選んだ決め手】
1.具体的な解決策の提示があった
・3週間での復学という明確な目標
・無料セミナーでの詳細説明
2.コストパフォーマンス
・既存スクールと同程度の費用
・短期間での効果(3週間 vs 3ヶ月以上)
3.家族全体へのアプローチ
・デジタル依存の解決策
・家族関係の改善方法
飯島さんは「やっぱりお医者さんも学校も相談しても何かいい答えがもらえたわけでも使える誰か教えてって思ってた部分を全部無料セミナーで教えてもらった。もっと知りたい」と感じ、有料の支援に進むことを決めました。
支援を選ぶ決定的な要因となったのは、家族全体の状況でした。
【当時の家族の問題点】
・全員がデジタル機器に依存
・家族間のコミュニケーション不足
・下の妹が翌春1年生になる不安
「下の妹がこの春から1年生になるっていうのもあったので、このまま行けなくなって妹も共倒れでお姉ちゃん言ってないからいいじゃんみたいになってしまったらやだ」という思いもありました。
飯島さんは当時の家族状況を「もう本当に最悪な状態だった。私たち親もですねパパもゲーム大好き家族誰も横を見てないという状態。もう私がもう半分の色でですよね。もうこんな家族やだみたいな感じになってしまって1日だけなんですけど家出をして」と振り返っています。
8日間での劇的な変化
支援開始
支援は木曜日からスタートしました。
デジタル制限によりすぐに娘さんは「つまらない」と発言するようになりましたが、
ここを我慢することで、子ども自身の内発的動機の芽生えにつながってくる重要な局面でした。
そんな中、支援開始からわずか2日後、娘さんから突然「来週の月曜日から1時間目だけ行く」と発言がありました。
飯島さんも「2日しかやってないのに何も言ってない。いきなりでした」と驚いていました。
その後、娘さんはどんどん自立的な行動を見せていき、自分で登校計画もたて始めたのです。
【娘さんが自分で立てた登校計画】
・月曜日:1時間目のみ
・火曜日:2時間目まで
・水曜日:3時間目まで
・木曜日:4時間目まで
・金曜日:一旦帰宅→午後も登校
ここで重要なのは、これが大人から指示されたものではなく、子ども自身が立てた計画だったということです。
登校状況の過程
月曜日(不登校支援開始から3日目)
- 目標通り1時間目のみで帰宅
- 遅刻なし、計画通り実行
火曜日(不登校支援開始から4日目)
- 目標:2時間目まで → 実際:3時間目まで
- 芸術鑑賞会への積極的参加
- 「たまたまその日芸術鑑賞会っていうのがあって劇を見るみたいなのは2時間ぶっ続けだった」
- 「3時間目はその劇をやってくださった方にお手紙っていう授業だった。それはやりたいから俺のお手紙書きたいということで3時間目まで行けた」
水曜日(不登校支援開始から5日目)
- 目標通り3時間目で帰宅
木曜日(不登校支援開始から6日目)
- 4時間目まで滞在
- 「給食食べたかった」と発言
- 「すごい大好きなメニューだったですよね。それで食べたかったよ今日のやつって言って帰ってきて」
これらの発言は不登校復帰をするためにとても重要なものでした。
なぜなら、給食恐怖から始まった不登校だったにも関わらず、わずか6日目で「給食を食べたい」と言うまでに変化していたからです。
金曜日(不登校支援開始から8日目)
- 当初の計画では一旦帰宅予定だったが、提案により学校に残ることに
- お弁当持参で1日通学達成
- 「自分だけお弁当だけどちゃんとそれも食べてで5時間目もやってちゃんと放課後帰ってきた」
- 完全復学の達成
デジタル制限解除の効果
1日通学を達成した金曜日、デジタル制限が解除されました。
飯島さんは「やっぱりそれが快感だったんですよね。やることやって得た娯楽みたいな感じで気持ちよかった」と考えていました。
この一件以来「やることをやった後の娯楽」という達成感を覚えた娘さんは、翌週からも毎日登校を続け、冬休み前の終業式まで1日も休まず通学することができました。
子どもの内面的変化
支援開始から娘さんに表れた変化は、単に学校に行けるようになったということにとどまりませんでした。
最も劇的だったのは、不登校の原因となっていた毎朝の腹痛が完全になくなったことです。
飯島さんによると、腹痛は全くなくなり、娘さんの思考も前向きに変化していったといいます。
さらに注目すべきは、娘さんの行動面での成長でした。
以前はYouTubeを見ることが中心だった生活から、積極的に家事を手伝い、兄弟に優しく接するようになったのです。
この変化が最も顕著に表れたのは、飯島さんがコロナに感染して家庭内隔離となった際でした。
娘さんは母親を気遣い、自発的に料理を作るなど、家族のために尽くす姿を見せてくれたことで、飯島さんは「本当に内面から変わっている」と実感し、学校復帰だけでなく、心そのものが元気になったことを実感していました。
家族役割の見直しによる変化
スダチによる支援の特徴の1つである、子どもだけでなく家族全体の変化を促すという部分でも変化があったそうです。
特に父親の変化は顕著で、これまでゲームに費やしていた時間が減り、朝の子どもの準備や家事に積極的に参加するようになりました。
以前は家事のほとんどを飯島さんが一人で担っており、さまざまなストレスから一時的に家出をするほどの状況でした。
しかし支援後は、父親が自主的に家事を分担するようになり、現在では毎朝の洗濯は父親の担当となっています。
この変化により、家族内の役割分担がより健全になり、飯島さんの負担も大幅に軽減されたとのことです。
家族全体のライフスタイル改善
支援プログラムの「家族みんなで取り組む」という方針が、家族全体のライフスタイル改善につながりました。
規則正しい生活リズムが確立され、デジタル機器との付き合い方も健全になったのです。
特に印象的だったのは、子どもたちが率先してお手伝いをするようになり、家族全員でルールを守る雰囲気が生まれたことです。
子どもから父親に対して「パパも(ルールを)やりなよ」といった声かけが自然に行われるようになり、家族全体で支え合う協力体制が築かれました。
このような相互の働きかけにより、家族の絆がより深まり、支援開始前とは全く異なる温かい家庭環境が実現されました。
継続的な登校と課題への対処法
冬休み明けの不安と対策
冬休み明けは順調にスタートする予定でしたが、予期せぬ事態が発生しました。
飯島さんがコロナに感染したため、娘さんは濃厚接触者として約1週間学校を休まざるを得なくなったのです。
娘さんは学校に行く気持ちが十分にあっただけに、この状況は残念でした。
しかし、この休校期間中も娘さんの成長は止まりませんでした。
前述したように、感染で隔離状態にある母親のために家事を手伝ったり、気遣いを見せたりと、内面的な変化が継続していることが確認できました。
このことから、学校復帰だけでなく、根本的な心の成長が定着していることが伺えます。
月曜日の壁とその解決策
継続的な登校が可能になった後も、時折小さな課題は発生しました。
実際、インタビューの前日にも娘さんが学校を休んだ日がありました。
月曜日は特に登校への心理的ハードルが高くなりがちで、これは多くの不登校経験者に共通する現象です。
重要なのは、このような一時的な休校に対する親の対応の変化でした。
支援を受ける前であれば、飯島さんは焦りとどうすれば良いかわからない状況に陥っていたといいます。
しかし支援後は、明確な対処方針が決まっているため、冷静に対応できるようになりました。
具体的には、既に学んだルールを一貫して適用し、休んだ場合の対処法も予め決められているため、翌日には確実に登校できるという確信を持てるようになったのです。
飯島さんは、娘さんに「ルール通りだよ」と伝え、決められた対応を淡々と実行することで、娘さん自身も「やはりつまらない」と感じ、自然と学校に行きたくなるという流れができていると述べています。
長期的な継続のポイント
この事例から見える長期的な登校継続の成功要因は、一貫したルールの適用、親の毅然とした態度、そして子どもとの信頼関係の構築です。
飯島さんは、支援を通じて親としてどう対応すべきかを学んだことで、動揺することなく堂々とした態度を保てるようになったと語ります。
子どもが「自分がルールをちゃんと守れば次は行ける」という実感を持っているため、一時的な休校があっても「次の日は必ず行く」という確信があるのです。
この親子間の信頼関係と確固たるルール設定が、長期的な登校継続の基盤となっています。
専門家からのアドバイスと今後の展望
今回の事例から学べること
この事例から、不登校支援において下記の3つの重要なポイントがわかります。
1.環境調整の重要性
デジタル機器の適切な制限と規則正しい生活リズムの確立が、子どもの行動変容に大きな影響を与えました。
2.子どもだけでなく家族全員が変化に取り組むアプローチの有効性
不登校の解決は、子ども一人の問題ではなく、家庭環境全体の改善が必要であることが明確に示されています。
3.子どもの内発的動機を重視することの重要性
娘さんが自分で登校計画を立て、それを実行したことが成功の鍵となりました。
飯島さんは、子どもたちには驚くほどの変化する力があり、親の接し方や家庭環境を整えるだけで劇的な変化を見せてくれると語っていました。
HSCの特性を活かした支援方法
従来のHSCへの対応は、苦手な環境を避ける「保護」中心の方法が一般的でした。
しかし、この事例では「挑戦」を重視した方法が効果的でした。子どもの可能性を信じ、適切な支援のもとで成長を促すことで、HSCの特性を強みに変えることができたのです。
飯島さんは、以前は娘さんのHSC特性を理由に様々な制限を設けていましたが、現在は「苦手な場所を避けるのではなく、それを克服しよう」という前向きな姿勢に変化したと述べられています。
この変化により、娘さんは自分から積極的に新しいことに挑戦する意欲を見せるようになってくれたそうです。
スダチ支援は”不登校改善”だけじゃない
私たちのスダチの支援の特徴は、不登校の解決だけでなく、家族全体の生活の質向上につながることです。
規則正しい生活リズム、デジタル機器との適切な距離感、家族間のコミュニケーション改善といった要素は、不登校の有無に関わらず、現代の子育て家庭が抱える様々な課題の解決に応用できます。
飯島さんは、私たちの支援方法は不登校ではない家庭にとっても有効であると感じており、デジタル機器との付き合い方、親子関係、食生活など、現代の子育てで直面する多くの課題を包括的に解決できる可能性があると述べられています。
この幅広い応用可能性が、私たちの支援方法の大きな価値の一つといえるでしょう。
まとめ
現在の不登校支援において、学校内外の様々な学びの場を作るよう努めることが推進されていますが、実際には支援を受けられない子どもも多数存在します。
私たちのような存在はまだまだ知名度も低く、選択肢として上がってこないのが現状です。
もっと多くのご家庭に、このような支援があることを知っていただき、救われる方が増えてほしいと願っています。
飯島さんの事例は、不登校で悩む多くのご家庭に希望を与えるものです。
「不登校って本当につらいんです。見ている方もそうですから、ぜひぜひやってほしいなって思うんです」という飯島さんもおっしゃっていました。
今回の事例は、適切な支援があれば短期間で大きな変化が可能であることを証明しています。
同じような状況で悩んでいるご家庭にとって、この記録が希望の光となることを心から願っています。
この記事についてのインタビュー動画はこちら