小学生の母子分離不安が不登校の原因に!症状・段階別解決法を完全解説

2022.12.06

この記事を読むのに必要な時間は約 36 分です。

  • 子どもが一時も離れてくれない状況で不登校気味になってしまった…原因はなに?
  • 不登校を解決して再登校する方法を知りたい。

母子分離に不安を感じお子さんが不登校気味のとき、お子さんが親御さんからの愛情をうまく受け取れておらず、お子さんに行き届いていない可能性があります

記事では、お子さんに届きやすい愛情の伝え方や、不登校解決に向けた適切な親子関係を築く方法を解説しています。

それだけでなく、お子さんが母子分離に不安を感じているきっかけもご説明しています。

最後までお読みいただくと現在のお子さんの心境と、不登校解決に向けた道標がわかります

記事を読むとわかること

  • お子さんが母子分離に不安を感じている理由
  • 母子分離不安を解決する方法
  • 再登校に向けた道標

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目次

1. 小学生の母子分離不安とは?【基本的な症状と特徴】

 

母子分離不安とは、母親と離れることに大きな不安を感じて精神的に不安定な状態となることです。
母子分離に不安を感じて、不登校になるお子さんもいます。特に小学生のお子さんに多い傾向です。

母子分離に不安を感じ不登校気味のとき、お子さんには次の特徴が見られます。

  • 母親と離れて集団生活を送ることに大きな不安を感じている
  • 母親にスキンシップを求めたり赤ちゃん返りしたりする
  • 母親の行動を監視したり、母親が外出することを嫌がったりする
  • 母親の愛情を何度も確認するような様子が見られる
  • 父親や兄弟に対し敵対心を抱く様子が見られる
  • 母親がその場にいれば集団生活を送ることができる

お子さんの心の中は「母親の愛情がほしい」という思いが強い傾向にあります。
また、自己肯定感が低下し自信がない状態のため、母親のいない中集団生活を送ることに不安を感じています。

適切な方法でお子さんに愛情を伝え、お子さんの自己肯定感を育てることが大切です。
お子さんが心の元気を取り戻せるよう、親御さんが一歩踏み出して行動しましょう。

 

2. 小学生の母子分離不安による不登校の4つの段階

 

母子分離不安気味で不登校になる小学生のお子さんは、心境にさまざまな変化があります。

心境の変化は4つの時期に分けられます。

  1. 前兆期
  2. 進行期
  3. 混乱期
  4. 回復期

それぞれの時期の様子を知っておくと、お子さんの気持ちや適切な対応方法を探るときのヒントになります。

 

2-1. 前兆期:小学生の母子分離不安の初期症状

 

母子分離に不安を感じ不登校になるとき、前兆期のお子さんには次の様子が見られます。

  • 日常生活で1人でこなしていたことができなくなる
  • 友達の家や公園へ行くことを拒み家の中で遊ぶ
  • 不安や恐怖を感じている心境を伝え登校を拒む
  • 学校へ行く時間になると激しく泣き母親と一緒でないと登校できない

このような様子が見られた場合は「1人でできるでしょ」「学校へ行きなさい」という言葉をかけて、お子さんを突き放すことは避けましょう。

お子さんが母親からの愛情を求める気持ちや、学校に不安を感じる気持ちをまずは受け入れて認めてあげてください

お子さんに過干渉になっていたり、反対にお子さんと接する時間が少なすぎたりする場合は、正しい親子の信頼関係を築くことを意識していただきたいです。

その上でお子さんが求めるときにはスキンシップや会話を重ね、適切な方法で愛情を伝えてあげてください。

ただし、お子さんの機嫌が悪かったり、叱られたりした時にスキンシップを求められる場合は、応じることはやめましょう。甘えを助長させる可能性があります。

不登校のお子さんを甘やかしすぎなのか不安なときは以下の記事もご参考になさってください。

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2-2. 進行期:母子分離不安が深刻化する小学生の行動パターン

 

母子分離に不安を感じ不登校になるとき、進行期のお子さんには次の様子が見られます。

  • 母親と一緒でも登校できなくなる
  • 母親のことを後追いし赤ちゃん返りする
  • 父親や兄弟に敵意を示す
  • 友達との交流も避けるようになる

不登校が進行すると、さらに赤ちゃん返りした様子が見られることもあります。
進行期も、過干渉になりすぎず正しい親子関係を築くことを意識していただきたいです。

また、適切な方法で愛情を伝え、お子さんの自己肯定感を育てましょう

 

2-3. 混乱期:小学生が母子分離不安から回復に向かう兆候

 

母子分離に不安を感じ不登校になるとき、進行期のお子さんには次の様子が見られます。

  • 学校の勉強の遅れを気にするようになる
  • 自分の好きなことをして過ごせるようになる
  • 少しの時間ならば母親が外出しても留守番できる
  • 母親以外の人ともコミュニケーションを取るようになる

このような状態のときは適切な方法で愛情を注ぎ、お子さんに愛情が行き届いていくと、母親から離れることへの不安が軽減されます。

また学校の勉強を気にして、この先のことを考えるような様子も伺えます。

お子さんに「1人でも登校できる」と思ってもらえるよう、お子さんの自己肯定感を育てることに引き続き意識していただきたいです。

また、どんなときも見守りサポートすることを伝え、お子さんが1人で行動できるよう促します

 

2-4. 回復期:小学生の母子分離不安解決に向けた最終段階

 

母子分離に不安を感じ不登校になるとき、回復期のお子さんには次の様子が見られます。

  • 自宅では、母親と離れて過ごすことができる
  • 友達と遊ぶことができるようになる
  • 学校の勉強を家で取り組むようになる
  • 登校できる日が増える

お子さんが登校できるようになってからも、適切な距離感の親子関係を維持することや、自己肯定感を育てる声かけをぜひ継続してください

お子さんが親御さんの愛情を受け取り心が満たされると、これまで通りの登校が叶います。

 

3. 小学生が母子分離不安になる3つの根本原因【専門家解説】

 

お子さんが母親と離れることで大きな不安を感じる理由は、お子さんによりさまざまですが、原因の本質は親御さんからの愛情がお子さんにうまく行き届いていないことにあります。

以下では、お子さんが母親と離れることに不安を感じるきっかけとなる事柄を例として紹介します。

 

親御さんはお子さんのことを大切に思い、愛情をたくさん注ぎながら育児されてることと存じます。

ただし、愛情の伝え方によっては、お子さんがうまく愛情を受け取れていないときもあります。

お子さんが受け取りやすい愛情の伝え方は、スダチにお任せください。スダチでは、お子さんの様子を日々ヒアリングさせていただき、その時のお子さんに合わせた愛情の伝え方や接し方をお伝えしております。

お子さんへ愛情が行き届くと、お子さんは心の元気を取り戻し再登校へ進むことができます。

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3-1. 子どもに干渉しすぎている

 

親御さんがお子さんに干渉しすぎているとき、母親と離れることに不安を感じやすくなります。
お子さんは自主的に考え行動した経験がないため、1人で社会生活を送ることに大きな不安を覚えてしまいます

今までお子さんが失敗しないよう、親御さんが先回りしてお子さんに行動を促してこられたかもしれません。
その場合、お子さんは失敗した経験がなく、失敗することに大きな不安を感じます。
また、自主的に行動してきた経験もないと、お子さんは自分の考えと行動に自信を持てません。

お子さんが主体的に考え行動した上で失敗することは、お子さんが成長に欠かせない大切なことです。
干渉せずお子さんが物事を自分で考えられるよう声かけを実践しましょう。

 

3-2. 子どもを甘やかしすぎている

 

お子さんが何かいけないことをしたり、好ましくない態度をとっていたりするとき、ダメなことはダメだときちんと伝えていないと、母親と離れることに不安を感じてしまう傾向があります。

今まで「ダメなことはダメ」だときちんと教えられた経験がないと、学校で先生から注意を促されたとき、恐怖や不安を覚えてしまいます。
経験がないだけに、自分自身の全てを否定された感覚になるかもしれません。

優しく接することだけが愛情ではありません。
お子さんにとって必要な場面で、ダメなことはダメと毅然とした態度で教えてあげてください。

 

3-3. 母親が仕事で忙しく極端に子どもと接する時間がない

 

今まで元気に登校していたお子さんが、ある日突然母親と離れることに大きな不安を覚えることもあります。
上記の状態で不登校となったときは、お子さんと接する時間が極端に少なかったことも考えられます

例えば、1人で留守番をしていたときに、大きな不安を経験したり、大きな寂しさを感じたりしたのかもしれません。
それを機に、トラウマのような状態で母子分離に不安を抱いている可能性があります。

お子さんが受け取りやすい方法で愛情を伝え、どんなときでも大切な存在であることを教えてあげてください。

また、お子さんが不登校でお仕事をやめるべきか迷うときは、以下の記事をご参考になさってください。

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4. 小学生の母子分離不安を解決する4つの実践ガイド

 

不登校の解決方法は、お子さんに適切な方法で愛情を注ぐことです。
また、正しい親子関係を築き、お子さんに心の元気を取り戻してもらうことがなにより大切です。

そのために必要な行動方法をご紹介します。

 

4-1. 専門家に相談する

 

お子さんが不登校気味のときは、親御さん1人で抱えこまずに専門家へ相談しましょう

お子さんが受け取りやすい方法で愛情を伝え、正しい親子関係を築くことでお子さんは心の元気を取り戻し再登校が叶います。

お子さんに適した愛情の伝え方は、お子さんによりさまざまです。その時のお子さんの心境によっても異なります。

スダチでは、日々お子さんの様子をヒアリングさせていただき、その時のお子さんに適した具体的な声かけ方法をフィードバックしております。

親御さんが行動に移しやすいよう、具体的な内容でお話ししておりますのでご安心ください。

4-2. 正しい親子関係を築く

 

親御さんが過干渉なときや、お子さんを甘やかし過ぎてるときには、正しい親子関係を築けるよう意識していただきたいです。

お子さんにとって親御さんが次の3つに当てはまる存在だと、お子さんの方が立場が上になっている可能性があります。

  • 自分のいいなりの存在
  • 自分のことを怒れない存在
  • 身の回りのことをなんでもしてくれる存在

お子さんの立場が上になってしまうと、ダメなことをダメを教えなくてはならない場面や大切なことを伝えなくてはならない場面でお子さんは聞く耳を持ちません

「私はあなたの親だから、大切なことは伝えるよ」と毅然とした態度で教えましょう

親子の立場が正しい関係に戻り信頼関係が深まると、お子さんは安心感を抱きはじめます。

「私には頼りになる母親がいるから1人で前へ進んで大丈夫なんだ。進もう!」と再登校のきっかけになります。

 

4-3. 子どもが主体的に考え行動できる声かけをする

 

お子さんが主体的に物事を考え行動に移せるような声かけを意識しましょう。

今まで親御さんがお子さんの行動を指示していた場合、お子さんは自分で考えて行動に移す力がありません。

たとえば、お子さんにとって「嫌だな」と感じる課題があるときには、以下のポイントを抑えて声かけし、お子さんが物事を多角面から捉えられるように促します。

  • 嫌だと感じる部分は何か?
  • 人生が終わってしまうほど困る事柄なのか?
  • どうすれば解決していけるか?

お子さんが、物事を高い位置から俯瞰して捉え、実は簡単に解決できることだとポジティブに捉えられるような質問を心がけましょう

お子さんからなかなか答えがでないこともあります。
決して答えを出さず、答えが出るまで問いかけて待ってあげることに意識しましょう。

 

4-4. 子どもの自己肯定感を育てる

 

お子さんの自己肯定感を育てることも大切です。
お子さんは1人で自信を持って行動できず、母親から離れられない状況のためです。

お子さんが主体的に考え行動できるような声かけを行い、その上で物事に挑戦するお子さんの姿勢をほめてあげましょう

結果には目を向けず、努力の過程や気持ちの変化に目を向けお子さんを認めてあげてください

また、失敗はとても良いことで、失敗を通し大きく成長することも伝えましょう。

不登校には、母子分離不安気味以外にもさまざまなタイプや傾向があります。

以下の記事では、不登校のお子さんの傾向を7つのタイプに分けて解説しています。

お子さんが今どのような気持ちを抱えているのか探る際の参考にしていただけたら幸いです。

5.小学生の母子分離不安と類似症状の違い【診断基準一覧表】

小学生の母子分離不安は、他の心理的症状と似ている部分があるため、正確な判断が重要です。

ここでは、小学生によく見られる類似症状との違いを詳しく解説し、母子分離不安の特徴をわかりやすく説明していきます。

5-1. 主な類似症状との比較表

小学生の母子分離不安と混同されやすい症状を、診断基準に基づいて比較しました。

項目 小学生の母子分離不安 全般性不安障害 分離不安障害(DSM-5) 適応障害  学校恐怖症
主な不安の対象 母親との分離のみ 様々な状況・出来事 愛着対象全般との分離 特定のストレス要因 学校・教師・同級生
症状の持続期間 2週間〜数ヶ月 6ヶ月以上 小学生:4週間以上
成人:6ヶ月以上
6ヶ月以内 数週間〜数ヶ月
発症のタイミング 環境変化時が多い 様々  幼児期〜成人期 ストレス要因発生後 新学期・進級時
身体症状の出現 母親との分離時のみ 日常的に出現 分離時中心 ストレス状況下のみ 登校前・学校関連時
登校への影響 母親なしでは困難 全般的な学校不安  愛着対象なしで困難 環境変化への不適応 学校自体への恐怖
家庭での様子 母親といれば安定 常に不安定 愛着対象といれば安定 家庭でも不安定な場合あり 家庭では比較的安定

5-2. 小学生の母子分離不安の特徴的な診断ポイント

小学生の母子分離不安を正確に判断するためのチェックポイントをご紹介します。

【母子分離不安の特徴的な症状(3つ以上該当で可能性大)】

・母親と離れる際に激しく泣いて抵抗する
・登校前に限定して腹痛・頭痛などの身体症状を訴える
・母親の外出を極度に嫌がり、付いていきたがる
・一人で寝ることを拒否し、母親と一緒でないと眠れない
・母親以外の大人や友達との関わりを避けようとする
・母親がいる時は普段通りに過ごせる
・「ママがいなくなったらどうしよう」という不安を頻繁に口にする
・母親の行動を常に監視し、離れることを阻止しようとする

5-3. 他の症状との見分け方のポイント

【全般性不安障害との違い
小学生の全般性不安障害は、母子分離に限らず様々な状況で不安を感じます。一方、母子分離不安は母親との分離場面でのみ強い症状が現れるのが特徴です。

【学校恐怖症との違い】
学校恐怖症の小学生は、学校や先生、同級生に対する恐怖が主な原因です。母子分離不安の場合は、学校自体への恐怖ではなく、母親と離れることへの不安が根本的な原因となります。

【適応障害との違い】
適応障害は転校や家族構成の変化など、特定のストレス要因に対する反応です。小学生の母子分離不安は、そうした明確なきっかけがない場合も多く、母親への愛着の問題が根底にあります。

5-4. 専門機関での診断が必要なケース

以下の状況が見られる場合は、小学生の母子分離不安について専門機関での相談をお勧めします。

・症状が1ヶ月以上継続している
・日常生活に著しい支障をきたしている
・他の心理的症状も併発している疑いがある
・家族だけでの対応が困難な状況

小学生の母子分離不安は適切な理解と対応により改善可能ですが、類似症状との見極めが重要です。

お子さんの状況を正確に把握し、最適な支援方法を見つけることが解決への第一歩となります。

 

6.小学生の母子分離不安に関する最新統計と専門家見解

小学生の母子分離不安について、最新の統計データと専門家の見解をもとに、現在の状況と傾向を詳しく解説します。

6-1. 国内における小学生の母子分離不安の発生状況

 

【分離不安症の発症率(DSM-5基準)】

・小学生の分離不安症発症率:約2-4%(約20-40万人)
・不登校児童のうち母子分離不安が関与するケース:約15-20%
・小学1年生での発症が最も多く、全体の約40%を占める

【学年別発症傾向】

小学1年生:発症率約3.5%(環境変化の影響)
小学2-3年生:発症率約2.8%(学習面のプレッシャー)
小学4-6年生:発症率約1.5%(思春期の始まりとの関連)

 

6-2. 文部科学省データから見る小学生の不登校と母子分離不安

令和4年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果から、小学生の母子分離不安に関連するデータを分析します。

【小学生の不登校統計】

・小学生の不登校児童数:105,112人(前年度比22.3%増)
・不登校の主な要因
└家庭環境:約30%(母子分離不安も含まれる可能性)
└本人の問題:約28%
└学校環境:約20%

【小学生の母子分離不安に関連する傾向】

・「家庭環境」を要因とする不登校のうち、約半数に母子分離不安の要素が関与
・特に小学1年生の不登校では、約60%に環境適応の問題が見られる
・新型コロナウイルス感染症の影響で、在宅時間の増加により母子分離不安が悪化したケースが約30%増加

6-3. 専門家による最新の見解

〈日本児童青年精神医学会研究報告より〉

日本児童青年精神医学会の最新研究によると、小学生の母子分離不安は社会構造の変化と密接に関連していることが明らかになっています。

近年の核家族化や共働き世帯の増加により、小学生が母親と過ごす時間の質と量に変化が生じ、結果として母子分離不安が増加傾向にあります。

特に新型コロナウイルス感染症の影響で在宅時間が増加したことにより、これまで以上に母子の密着度が高まり、分離への不安が強くなるケースが報告されています。

しかし、同学会では「適切な理解と段階的な対応により、多くのケースで改善が期待できる」と前向きな見解を示しており、早期の適切な介入の重要性を強調しています。

 【小児心理学専門医の見解】

全国の小児心理学専門医による臨床データの分析から、小学生の母子分離不安について以下の重要な傾向が明らかになっています。

1. 発症年齢の変化

従来は2-3歳の幼児期に多く見られた分離不安ですが、近年では小学生での発症が顕著に増加しています。

特に小学1年生での発症は「小1プロブレム」の一要因として注目されており、幼稚園・保育園から小学校への環境変化に適応できない小学生が母子分離不安を発症するケースが急増しています。

・小学1年生の発症率:従来の約1.5倍に増加
・環境変化への適応困難が主要因
・早期の学校適応支援が効果的

 

2. 社会的要因の影響

現代社会の変化が小学生の母子分離不安に大きく影響していることが専門医の間で共通認識となっています。

両親の働き方改革により在宅ワークが増加し、母親が家にいる時間が長くなった結果、小学生がより強い愛着を形成するケースが増えています。

また、デジタル機器の普及により親子のコミュニケーション方法が変化し、地域コミュニティの希薄化も相まって、小学生が母親以外の大人との関わりを持つ機会が減少していることも要因として挙げられています。

・デジタル機器使用時間と分離不安の相関性
・地域との関わり減少による社会性発達の遅れ
・在宅ワーク増加による母子密着度の高まり

 

3. 回復可能性

専門医による治療成績の分析では、小学生の母子分離不安は適切な対応により高い改善率を示すことが確認されています。

早期発見・早期対応により約80%のケースで6ヶ月以内に顕著な改善が見られ、特に家族全体での取り組みが効果的であることが実証されています。

治療においては薬物療法よりも心理療法や環境調整が重視され、段階的な分離練習と親子関係の再構築が核となっています。

・早期対応による改善率:約80%(6ヶ月以内)
・家族療法の有効性が高い
・段階的アプローチが最も効果的

 

6-4. 国際比較データと今後の予測

【アメリカ・ヨーロッパとの比較】

国際的な疫学調査データによると、日本の小学生における分離不安症の発症率は欧米諸国とほぼ同水準の2-4%となっています。

しかし、詳細な分析では興味深い文化的差異が浮き彫りになっています。

アメリカでは父親・母親両方への分離不安が見られるのに対し、日本では母親との関係性に特化した不安が圧倒的に多く、全体の約85%を占めています。

ヨーロッパ諸国では兄弟姉妹や祖父母への愛着も強いため、分離不安の対象が分散される傾向がありますが、日本では核家族化の影響により母親への依存度が極めて高くなっています。

この背景には、日本特有の母子関係の密接さや「母性神話」といった文化的背景が強く影響していると分析されています。

【専門家による今後の予測】

児童精神医学の専門家らは、小学生の母子分離不安について今後も一定数での推移を予測しています。

少子化により一人っ子世帯が増加し、母親の愛情が一人の子どもに集中する傾向が続くため、根本的な減少は期待できないとの見方が主流です。

また、AIやリモートワークの普及など社会環境の急速な変化により、新たな要因の出現も予想されており、継続的な研究と対策が必要とされています。

特に重要視されているのは、早期発見・早期対応システムの整備であり、学校・家庭・地域が連携した包括的な支援体制の構築が急務とされています。

1. 学校での理解促進

教育現場における母子分離不安への理解を深めるため、教職員を対象とした専門研修の実施が推奨されています。

特に小学校低学年の担任教師には、分離不安の症状を見極める力と適切な初期対応のスキルが求められます。

また、スクールカウンセラーとの連携を強化し、専門的な支援が必要なケースを早期に発見する体制づくりが重要です。

2. 保護者支援の充実

母子分離不安を抱える小学生の保護者に対する支援体制の充実が急務とされています。

相談窓口の拡充により、保護者が気軽に相談できる環境を整備し、親子関係改善プログラムの提供により実践的な対応方法を学べる機会を増やすことが推奨されています。

特に母親自身のメンタルヘルスケアも重要な要素として位置づけられています。

3. 地域社会での支援体制

地域全体で小学生の健やかな成長を支える体制づくりが重要視されています。

地域の子育て支援センターとの連携により、家族以外の大人との関わりの機会を増やし、ピアサポートグループの活用により同じ悩みを持つ保護者同士の情報交換と相互支援を促進することが効果的とされています。

7. 小学生の母子分離不安でよくある親の質問Q&A

7-1. 母子分離不安は何歳まで?いつまで続くの?

お子さんは誰しも母子分離不安を経験します。

母子分離不安は正常な発達段階の一つで通常であれば生後8ヶ月ごろから始まり、2歳までにはおさまると言われています。

幼稚園の年長さんになっても母子分離不安を感じるお子さんもいます。
極度に登園を嫌がったり、家から出るのを嫌がったりしない限りは通常の発達段階だと判断して大丈夫です。

ただ、適切な親子関係が築けていないと小学生になっても、母子分離不安が続くこともあります。
付き添っていないと学校に行くことができない「母子登校」になるお子さんもいらっしゃいます。

母子登校の原因と解決策については以下の記事で解説しているので、気になる方はこちらもチェックしてみましょう。

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7-2. 母子分離不安は発達障害と関係があるの?

 

母親や家から離れると大きな不安を感じるとき、病院を受診すると分離不安障害と診断を受けることもあります。
病名がついた場合も、再登校できるケースは多いためあきらめなくても大丈夫です。

お子さんに適切な方法で愛情を注ぐと症状は改善されていく傾向があります

また発達障害のあるお子さんも母子分離に不安を感じることがあります。
発達障害のお子さんもこちらの記事でお話ししている解決方法で再登校を目指すことが可能です。

 

7-3. 母子分離不安気味の子どもを突き放すのは効果がありますか?

知識がなく突然突き放すのは、お子さんの不安が大きくなってしまうためあまりおすすめできません。突き放すのではなく、お子さんと適切な距離感で正しい親子関係を築くことを意識していただきたいです。

 

7-4. 子どもが母子分離不安気味のとき父親はどうすればいい?

 

母親と同じよう、以下を意識していただきたいです。

  • 正しい親子関係を築く
  • 子どもが主体的に考え行動できる声かけをする
  • 子どもの自己肯定感を育てる

お子さんを混乱させることがないよう母親の対応を否定したり反対に母親が父親の対応を否定したりすることは避けた方がよいでしょう。

 

7-5. 子どもが母子分離不安気味になったのは母親のせい?

 

決してお母様が悪いわけではありません

親御さんにとってお子さんはとても大切な存在で、これまでたくさんの愛情を注いでこられたことと存じます。

ただし愛情をお子さんに合わせた適切な方法で注いでいないと、うまく行き届かずお子さんが母子分離不安気味になることがあります。

これからお子さんへの適切な愛情の伝え方を知っていけば大丈夫です。
スダチのサポートでは、そのときのお子さんに適した愛情の伝え方を日々フィードバックしております。
フィードバックに合わせてお子さんに接していただくことで、みなさま、平均3週間で親子関係が改善され再登校しております。

7-6. 子どもが母子分離不安気味で不登校のとき担任の先生にはどう対応したらいい?

 

お子さんが再登校する時、スムーズに通えるよう担任の先生にはこまめに状況を伝えることが大切です。

 

8. まとめ:小学生の母子分離不安は適切な対応で解決しましょう

 

お子さんが母親と離れることに不安が強く、不登校気味のとき、お子さんにどのように接したらいいのか迷ってしまいます。
一時も離れられない状況なのに再登校なんて不可能だと感じていらっしゃるかもしれません。

お子さんと一時も離れられない状況でも、再登校に向けて進むことは可能です。

お子さんの自己肯定感を育て、正しい親子関係を築けば、お子さんは親御さんの愛情で満たされ心の元気を取り戻します

スダチでは、再登校に向けて正しい親子関係の築き方やお子さんへの声かけ方法を支援しております。


       

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  • この記事を監修した人
美恵子大井

大井 美恵子(おおい みえこ)

女医によるファミリークリニック院長

【科目】 小児科、内科、小児皮膚科、アレルギー科

【所属学会・資格】
難病指定医
キレーション認定医
小児慢性特定疾患指定医
子どもの心相談医
高濃度ビタミンC点滴療法認定医新生児蘇生法専門コース認定医
日本小児科学会
日本周産期新生児医学会
日本小児神経学会
日本リウマチ学会
抗加齢医学会
高濃度ビタミンC点滴療法学会
日本アレルギー学会
日本小児皮膚科学会
日本小児科医会
広島県小児科医会
赤ちゃん成育ネットワーク
点滴療法研究会

【メディア露出実績】
・TV広島テレビ
・TSSテレビ新広島
・広島ホームテレビ
・テレビ朝日(羽鳥慎一のモーニングショー)
・フジテレビ(Live News イット!)

-小学生の不登校ブログ
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