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不登校について調べていると、多くの子どもが「朝に起きられないこと」が挙げられます。
さらに、朝起きられないことを深堀した結果、「起立性調節障害」に辿りついた親御さんもいるでしょう。
この記事は、起立性調節障害と不登校の関係、改善して再登校できるのか知りたい親御さんに向けて解説しています。
- 起立性調節障害に子どもが当てはまるけど…
- 「成長とともに良くなる」と見たけど、それまで不登校なの?
【平均3週間で不登校解決プログラム】を展開する小川涼太郎さん監修のもと、お話しする内容は次のとおり。
記事を読むとわかること
- 起立性調節障害について
- 不登校との共通点
- 起立性調節障害と不登校を解決する方法
結論を話すと、起立性調節障害の症状は「不登校あるある」。
心配しなくて大丈夫です。
また、起立性調節障害と不登校の解決方法は共通しているため、この記事にある2つのことに取り組めば乗り越えられます。
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1. 不登校の起立性調節障害は心配不要⁉︎
起立性調節障害は、不登校のおよそ3分の2から半分に当てはまるとされています。
起立性調節障害で起こる主な症状は、次のとおりです。
- 朝起きられない
- 昼から夜にかけて元気になる
- 1日中ダルい
朝起きられずに昼から調子を上げること、1日中ダルいのは不登校なら誰しも経験していること。
また、起立性調節障害と不登校は、症状や原因、改善・解決方法に多くの共通点があります。
このため、ポイントさえ押さえて効果的な対応をすれば、起立性調節障害と不登校のどちらも克服できるようになります。
2. 起立性調節障害と不登校の共通点
ここでは、起立性調節障害と不登校の共通点を解説します。
- そもそも起立性調節障害とは?
- 共通点:症状
- 共通点:原因
起立性調節障害は、体もしくは心のバランスが崩れ、自律神経の働きが弱まることで生じます。
体と心のバランスが崩れる原因には、ストレスが関係しています。
ストレスは、起立性調節障害と同時に、不登校も引き起こしているのです。
2-1. そもそも起立性調節障害とは?
起立性調節障害は、自律神経の働きが弱まり、循環器系の調節がスムーズにできない病気。
自律神経と循環器系の説明は、次のとおりです。
- 自律神経:自分をコントロールする神経
- 循環器系:栄養や酸素、老廃物を運ぶ器官
自律神経は次の2つがあり、バランスをとりつつ体内の環境を保っています。
- 交感神経:体を活動的にさせる
- 副交感神経:体を休ませる
自律神経のバランスがくずれると、血液やリンパなど流れるべきものが流れなくなるため、体に不調を引き起こします。
起立性調節障害は、とくに次の特徴を持つ子どもに見られます。
- 思春期(小学校の高学年から中学生の)
- 男の子よりも女の子
- ストレスを自分の中に溜め込むタイプ
総じて、悩み・不安を1人で解決しようとする子どもに多いといえます。
次は、起立性調節障害と不登校に共通する症状を見ましょう。
2-2. 共通点:症状
次の表は、起立性調節障害のチェックリストをもとに、起立性調節障害と不登校の子どもが抱えやすい症状をまとめたものです。
起立性調節障害 | 症状 | 不登校 |
○ | 立ちくらみ、めまいをよく起こす | × |
○ | 立ち上がると気分が悪くなる、気を失うことがある | × |
○ | イヤなことを見聞きすると気持ちがわるくなる | ○ |
○ | 急に胸がドキドキする、息切れしやすい | × |
○ | 朝起きずらく、午前中はぐあいが悪い | ○ |
○ | 顔色が悪い | ○ |
○ | あまり食欲がない、食事のじかんになっても食べたいと思わないことがある | ○ |
○ | 腹痛がおきやすい | ○ |
○ | 頭痛がおきやすい | ○ |
○ | 疲れやすい | ○ |
○ | 乗り物酔いしやすい | × |
NPO法人起立不耐症と起立性調節障害の会「起立性調節障害(OD) 体調チェックシート」をもとに作成
起立性調節障害も不登校も、心だけでなく、体にも症状が出ます。
さらに、共通する点は「朝に症状が重く出やすい」こと。
このため、起立性調節障害・不登校の子どもは、昼夜逆転しやすいのです。
2-3. 共通点:原因
起立性調節障害と不登校は、原因も一部が共通しています。
起立性調節障害 | 原因 | 不登校 |
○ | 水分不足 | × |
○ | 運動不足 | × |
○ | 遺伝 | × |
○ | 年齢によるもの | ○ |
○ | ストレス | ○ |
起立性調節障害は、大きく分けると2つの原因で起きます。
- 体に原因がある
- ストレス
不登校もまた、学校や家庭でのストレスが積み重なって生じるもの。
ストレスがかかれば、自律神経のバランスは崩れます。
体を休める副交感神経が機能せず、体を活動させる交感神経が常にONになるため、次の症状が出てしまうのです。
- 夜、眠れなく
- 疲れやすい
- イライラする
- 頭痛・腹痛がする
起立性調節障害も不登校も、ストレスによって起きます。
当事者であるお子さん、親御さんからすればツラいものです。
ですが、ポイントをおさえた取り組みをすれば、体の症状も心の重荷も少しずつ軽くなります。
起立性調節障害や不登校になりやすい子の特徴がわかります
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2-3-1. 症状が重い・体に原因がありそうな場合
あまりにも症状が重い・体に原因がある場合は、迷わず病院へ行きましょう。
以下の医療機関で起立性調節障害の検査を受けると、原因が体と心のどちらから生じているのか、見通しがつきます。
- 小児科
- 耳鼻科
2-3-1-1. 病院での診察や治療法など
起立性調節障害の検査・診断の流れは次のとおりです。
- 問診で症状が3つ以上もしくは、強い症状が2つ以上あるか確認
- 別の病気(神経疾患や内分泌系の異常)があるかをチェック
- 新起立試験を行う(立つときの血圧・脈の検査)
- 診察やカウンセリングで、学校・家庭のストレスがないかを調べる
以上の流れを踏まえ、起立性調節障害の診断が出されます。
気になる、起立性調節障害の治療法は次のとおり。
- 周りに理解してもらい、サポートを得る
- 日常生活の改善
治療法によっては、血圧の薬が処方されたり、カウンセリングを受けることもあります。
ですが、周囲のサポートと生活習慣の見直しをしない限り、改善は見込めません。
周囲のサポートと日常生活の改善は、実は不登校の解決にもつながります。
次の章でチェックしましょう。
起立性調節障害以外でも、朝起きられない原因があります。詳しい内容はこちらの記事で紹介しています。
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3. 起立性調節障害と不登校を解決するために必要な2つのこと
この章では、起立性調節障害と不登校を克服するための方法を解説します。
次の2つのポイントをおさえると、状況は少しずつ改善するでしょう。
- 子どもの心身を理解してサポートする
- 日常生活の改善をする
まずは、子どもの心と体の状態を理解し、その後に具体的な生活改善に取り組んでいきましょう。
また、お子さんが不登校に陥ったときに親御さんが取り組むべきことについては、次の記事も参考にしていただけると幸いです。
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3-1. 子どもの心身を理解してサポートする
まず、あなたのサポートなしでは、お子さんは起立性調節障害からも、不登校からも抜け出せません。
あなたが今、悩んでいるように、子どもも同じように苦しんでいます。
- 本当は学校に行きたいのに…
- このままじゃダメだって、わかっているけど…
苦しんでいる子どもに対して親ができることは、子どもが抱えているストレスを軽くしてあげること。
おすすめは、子どもに声をかけること。
- 今日の体調
- 心配していること
など、子どもを気にかけていることを伝えてみてください。
「気にかけている人がいる」とわかると、子どもは「孤独感」が小さくなり心が軽くなります。
子どものツラさを、あなたなりに受け入れて理解することで、子どもを力強くサポートできるようになります。
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ゆくゆくは、友だちや学校側の理解・サポートも必要です。
次の記事で、子どものことを学校に理解してもらう方法をチェックしておきましょう!
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3-1-1. サポートのカギは正しい親子関係(家庭環境)
正しい親子関係(家庭環境)は、起立性調節障害と不登校を乗り越えるために欠かせません。
親子関係(家庭環境)が正しいか・歪んでいるかは、次のような違いがあります。
正しい親子関係(家庭環境):信頼関係がある
歪んだ親子関係(家庭環境):信頼関係がない
信頼関係があると、あなたと子どもは面と向き合うことができます。
子どもは、あなたのサポートやアドバイスも積極的に聞き入れるでしょう。
しかし、信頼関係がないと、子どもはあなたと向き合うことを避けます。
あなたが関わろうとするほど、子どもは自分の中に閉じこもってしまうのです。
とくに、起立性調節障害や不登校の症状に対し、次のように感じていた場合は要注意。
- サボり
- 怠け
気づかぬうちに根性論を言っているケースがあるため、子どもからの信頼を失いつつあるかもしれません。
また、あなたが次の動画の特徴に当てはまると、子どもにとって「親がストレス」になっている可能性も。
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親子関係(家庭環境)が正しいか歪んでいるか気になったら、私たち不登校解決のプロにご相談ください。
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3-2. 日常生活の改善をする
起立性調節障害と不登校の症状を良くするためには、生活の見直しも必要です。
- 食事
- 睡眠
- 運動
体調不調を解決するための食事アドバイスは、次のとおりです。
食事:1日2Lの水分、10gの塩分をとる
水分補給は体内の血の量を増やすと同時に、循環も改善してくれます。
水分は一気にではなく、コップ1杯の量をこまめに飲むようにしましょう。
塩分は食事を「美味しく感じる」「味がついている」とわかる濃さであれば大丈夫です。
睡眠:夜に寝て朝に起きる
体内時計を正しくすることで、心と体のリズムをつくります。
年代ごとに必要な睡眠時間は、一般的には次のとおりです。
- 6~13歳:9~11時間
- 14~17歳:8~10時間
昼夜逆転から規則正しい生活に戻すにも、家族の協力は欠かせません!
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運動:1日約30分のウォーキング
運動はウォーキングや散歩でも十分。
筋力低下の防止が期待でき、気分もリフレッシュできるでしょう。
もし、立ちくらみ・めまいを起こしやすい場合は、無理な運動は控えてください。
また、動作も気をくばると、立ちくらみ・めまいの防止につながります。
動作:朝起きるとき、立ち上がるときは“ゆっくり”
自律神経の働きが弱まっていると、下半身の血心臓へ戻す動きがスムーズにはたらきません。
つまり、体の動きに対し、体内の動きが追いついていないのです。
このため、立つときはゆっくり・じわっとを心がけましょう。
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4. まとめ
起立性調節障害の症状は、不登校の子ども「あるある」なので気にしなくて大丈夫です。
- イヤなことを見聞きすると気持ちがわるくなる
- 朝起きられず、午前中は調子が悪い
- 顔色がよくない
- 食欲がない
- 腹痛や頭痛がおきやすい
- 疲れやすい
症状の多くは、ストレスによって自律神経が乱れることで引き起こされます。
起立性調節障害と不登校の解決方法は同じで、次の2つがポイント。
- 子どもの心と体の状態を理解し、サポートする
- 日常生活を見直し、改善する
あなたとお子さんの間に信頼関係があることは前提です。
そのうえで、次の4つを改善していきましょう。
- 食事
- 睡眠
- 運動
- 動作
こちらの記事で学校復帰できる条件をおさらい!
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5. 追伸:起立性調節障害も不登校もあなたの行動次第です
起立性調節障害と不登校は、症状と原因、解決法が共通していました。
実はもう1つ、共通点があります。
それは、時間は解決してくれない点です。
時間が経つほど、お子さんの体調・メンタルは悪い方へ進むでしょう。
学校・学年によっては、この先の進学なども危うくなります。
最悪を防ぐため、あなたができるのは行動すること。
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あなたのその取り組みが、お子さんの1週間後・1ヶ月後・1年後の未来を変えます。
次の動画に登場する親御さんも、あなたと同じでお子さんの起立性調節障害を心配していました。
その後、お子さんは無事に再登校、親子関係も改善しています。
お子さんの今後のためにも、なるべく早い行動がおすすめです。
なお、私たちの不登校支援は、少人数で全国の親御さんの不登校支援をしてます。
状況によっては支援開始が遅くなる恐れがある点、ご了承ください。
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参考書籍および参考サイト
・崎田ミナ著 福永伴子監修『自律神経どこでもリセット!ずぼらヨガ』飛鳥新社(2017)
・NPO法人起立不耐症と起立性調節障害の会