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再登校ドキュメンタリー

③野田家:デジタル依存の中学2年の男の子を再登校に導けるのか?

2024.03.23

この記事を読むのに必要な時間は約 19 分です。

「再登校ドキュメンタリー ~サポーター支援の記録~」は、お名前以外はすべて事実に基づいたノンフィクションです。
実際にやりとりされたメールを元に、サポーターの体験記として描いています。

 

 

◆前回までのあらすじ◆

8ヶ月もの不登校が続いていた蓮くんでしたが、サポートから1週間たち変化が見られはじめました。デジタル依存が薄れはじめ親の変化にも気づきます。そんな蓮くんは、決意したのに学校に行けない日も乗り越え、ついに再登校を果たします。

前回までの内容はこちらからご覧いただけます。

◆第3章◆

10月13日 支援スタート8日目(水曜日)

【再登校した日の帰宅後。明日からも「恒常性」は続く】

息子さんが再登校した日。お母さんにはさっそく「帰宅してからの対応について」連絡しました。まず最初に「まだまだ気は抜けないので引き続き気を引き締めて頑張りましょう。」と伝えました。そして「帰ってきたら、明るく迎えてあげつつ、お母さんからは色々聞かないであげてください。学校のことについては、その内自分から話してくるかと思います。そうしたら色々質問をして、一通り話終わったタイミングで、しっかり褒めてあげてください。」と続けました。

そして「明日以降も恒常性が続くことはしっかり教えてあげてください。」と伝えました。社会の誰もが「恒常性」には直面します。まだ中学生の息子さんも、明日以降、「恒常性」と向き合わなければなりません。このことをご家族内でも改めて理解した上で、“いつも通り”を心がけることが大切なんです。

【登校すれば強まる「ゲームのル―ル」への主張】

さらに、ゲームについての考え方もアドバイスしました。息子さんは、きっと学校に行ったことで「ルールへの主張」を強めてきます。その時は、「自分でも分かっているでしょ。ちゃんと完全復活出来たらゲームとスマホのルールも一緒に決めよう!!と言ってあげてください。」と提案しました。そして、「もしせっかく行ったのに…などと言われても、そこは良く頑張った!!凄いと思う本当に!!と別物として褒めてあげてください。」と続けました。毅然とした態度を貫きつつ、しっかりと褒めてあげること。このバランスが大切なんです。再登校を果たした後、夕方、帰宅するまでに、親として心の準備をしてほしいんです。

【目的は「学校に行くこと」ではなく「社会のルール」をしっかり伝えること】

この日の夜。やはり息子さんの主張が始まりました。もちろん「ゲームのルールについて」です。「納得してないけど仕方ないから従っている。最近ストレスで頭痛がする」などと文句ばかりだったとのこと。さらに「土曜日からそれなりに守ってるし、明日も学校行くから、ちょっとぐらいいいでしょ!」と途中から半ばキレていたみたいです。お母さんとは事前に話せていたので、主張が激しくなることは予想通りでした。心の準備をしていてもらってよかったです。もしサポートがなければここで「がんばったからきょうは特別ね!」などと、ついつい息子さんに寄り添ってしまったかも知れません。スダチのサポートは、このような場面をしっかりと想定しています。ルールは学校に行くことだけが目的じゃありません。やるべきことをやる、という社会のルールを伝えるためです。「お母さん。ここからが、親としてのがんばりどころです」。メールにはあえて書きませんでしたが心の中で何度も何度もつぶやいています。

 

10月14日 支援スタート9日目木曜日 再登校2日目

【ルールへの主張が増えればさらに難しくなる「褒めること」】

 やはり「恒常性」が出たのかも知れません。朝はなかなか起きられなかったようです。息子さんもきっと自分自身と戦っています。ただ遅刻することもなく2日続けて学校には行ったみたいです。一方で、お母さんは「褒めること」が、むしろさらに難しくなったと感じている様子でした。息子さんと会話する時間が増えることと比例して、「ルールに対する主張」をぶつけてくる時間も増えます。主張を毅然として受け止めつつ、しっかり褒める。このバランスは、どのご家庭でも本当に難しいのです。常に頭の中で整理して、判断しなければいけないのです。私からは「どこかで今までの優しいお母さんが頭にあるから、言い続ければ何とかなると思っているんでしょう」と伝えました。「ルールについて」、息子さんとはしっかりと話したそうです。土曜日も含めてあと3日間、学校に行けたらルールを考えようと提案しました。息子さんは来週まで我慢できないという思いが強く、「明日金曜日から」を主張してきたので、話は平行線だったみたいです。お母さんには「ここで折れないでください!この週末、ゲームを制限することができれば、さらに一歩進めます。」と伝えました。再び学校に行き始めてからまだ2日。まだ何も達成できていないことを、ご家族みんなで共有して、乗り越えて欲しいと思います。

 

10月15日 支援スタート10日目 金曜日 休み

【再びの「お休み」。でもこれも想定の範囲内と思いたい】

 水曜日・木曜日と続けて学校に行けたものの、3日連続にはならず金曜日はお休みしました。昨夜一緒に話した「ルールについて」が平行線のままだったことも影響しているかも知れません。また「恒常性」の問題もあります。ただこれも想定の範囲内なのです。一方で、朝も夜も食事を一緒に摂り、食器の片付けもしっかりできたそうです。息子さんには「また明日もあるし、何度でも挑戦することはできる!今日学校を休んだことが、決してマイナスにはならない」といった声がけをしてくれました。お母さんの素晴らしい対応にサポーターとしても安心しました。「お母さん自身もきっと成長している」そう思えました。あとは「毅然とした態度を貫きつつ、しっかり褒めることを続けて欲しい」。再び休んだこの日。スダチのサポーターとして、このご家庭と共にまだまだがんばりたいと改めて思いを巡らせています。

 

10月16日 支援スタート11日目 土曜日 再登校3日目

【「行けた」から「行った」へ。「やるべきこと」という意識の芽生え】

土曜日は学校に行きました。お母さんからは「行けた」というよりは、「行った」という雰囲気だったとの報告でした。無理やりという雰囲気ではなく、「やるべきこと」という意識が少し芽生えているのだと、サポーターとしても実感できました。息子さんからは「この週末は、ゲームさせてほしい」との主張がありましたが、「なんとか死守できた」とのことでした。お母さん自身も、スダチのメソッドをしっかりと受け止めて実践してくれている。その気持ちがとても嬉しかったです。

 

10月17日 支援スタート12日目 日曜日

【当たり前の日常になって気づく「当たり前」を褒めることの大切さ】

 日曜日。相変わらずゲームについて「かなり頑張ってるので少しは認めてほしい」と主張してきたようです。お母さんは回答を変えませんでした。「月曜日に学校にいったらルールの話し合いをしよう」と伝えてくれました。朝も夜も一緒に食事し、本当に平穏な日曜日だったそうです。「生活リズムが整うと心身が健康になる」当たり前に言われることですが、サポートが始まってから2回目の週末を迎え、改めて実感してくれていると思います。一方で、平穏な週末だからこその課題が「褒めること」です。食器を片付けることも、もはや当たり前。だから褒めることをつい忘れてしまいます。「当たり前のようにいつもやってくれているけど」みたいなことを冒頭で伝えると褒めやすい、とアドバイスしました。まだまだ気を抜かず、当たり前であることを上手く褒めるよう心掛けて欲しいです。

【登校が続いた際の新しいルール。大切なのは「お互いに納得できること」】

登校が続いた際の新しいルールについて相談がありました。「平日2時間、休日3時間。いきなり多いですか?」と提案がありました。サポーターとしては、家庭内で納得できれば問題ないと考えています。そこで「良いルールだと思います。ただまずは息子さんの要望を一旦聞きましょう。そして、これからは学校を休まない!という条件のもと、お互いが納得できるルールを決めてもらえればと思います。」と答えました。学校には行けているので、親子で一緒に決めた方が息子さんの守る意識も強くなるはずです。またほかの例もアドバイスしました。「学校に行けているならある程度は自由」というご家庭もあるのです。大切なのはルールの中身ではなく、お互いに納得できるかどうかなのです。

 

10月18日 支援スタート13日目 月曜日

【約束の月曜日に登校。新しいルールがスタート】

 約束の月曜日。登校することができました。これで次の段階に進めます。本当によかった。サポーターとしても安心しました。学校から帰宅後「新しいルール」について、しっかり話し合いをしてくれました。息子さんから先に「ママの案は何?」と聞かれたので、「ゲームは平日2時間、休日3時間、スマホは23:00~7:00は使用禁止で上限3時間まで」と伝えたそうです。息子さんは「わかった」とすんなりオッケーしました。合わせて「学校を休んだり、新ルールが守れなければ無期限の制限」も約束できたそうです。サポーターから見ても、とても素晴らしい話し合いだったと思いました。さらにお母さんからは「以前もこのような約束を何度かしましたが、3日ほどでズルズルと学校にも行かなくなりました。ここからまたお互い頑張り時だと思います。」と綴られていました。続けて「私自身、以前より強い気持ちでいられてると思います」と締められていました。お母さんの気持ちも、息子さんの気持ちも以前とは違います。さらに今回のルールは、お互いに納得して決めたことです。「同じようなことにはならないと思います。」とサポーターとして自信をもって伝えることができました。

【「新ルール」で安心もつかの間…勉強への心配が増してくる】

となると、次の心配が出てくるのです。ある意味、かなり前向きな悩みです。「今はとにかく休まず学校に行くのが嬉しいのですが、ゆくゆくは勉強もしてほしいと思っています。塾にも行けなくなってしまったので。ちょっと前までは、せめて学校に行ければ、と思っていたのに、親としての欲が出てきてしまいます。」と綴られていた。自らの状況もしっかり分析できている素晴らしいお母さんだと改めて思いました。ただ、不登校が長引けば長引くほど、勉強問題の解決は難しいです。登校を続けることと並行して、勉強の話題もこれから増えてきます。サポーターの役割は本当に幅広いのですが、前向きな相談をしてくれるとやりがいにもつながります。

 

10月19日 支援スタート14日目 火曜日

【慣れてくるとついつい・・・「ガミガミ」言ってしまう現実】

夜、なかなかお風呂に入らない息子さんに、少ししつこく声をかけてしまったとのことです。「あまりガミガミ言わない方がいいのかとも思った」との質問がありました。「ガミガミ」という表現になる様子はやはりよくないです。「しつこくは言わないけど、約束守れないならまたゲームが制限になるよ」と、自分から動くようにする伝え方の方がいいとアドバイスしました。親としても焦らず我慢が必要になってくるタイミングなのです。

3週間目に入っても連日続くさまざまな問題。一方で前向きな変化も出てきます。

【登校が続くと体力的も精神的にも疲れて不機嫌が増える】

サポート開始から15日目。口数が少なく不機嫌に。どうしたのか聞いたら、「別に今のママは嫌じゃないけど、やっぱりあのルールは酷かった。」と言われたそうです。つい先日まではずっと夏休みみたいな感じだったので、登校が続くと、体力的にも精神的にもキツくなり、いろいろとネガティブにとらえてしまうのです。

【常に続く「ルール」への主張。その中に見える前向きな変化】

16日目。「平日のゲーム2時間の内なら、Switchとパソコン両方でもいい?」と聞いてきたそうです。ルールへの主張は変わらず続きます。以前なら「それぞれ2時間!」とか言いそうな場面ですが、すっかり変わった印象だったそうです。素晴らしい変化に、お母さんが喜んでいる様子が伝わってきました。「ちゃんと確認してくれてありがとう。良いけど、しっかり自分で管理してね!」など答えてはどうかと提案しました。

【諦めていた「体育祭」への参加が叶う。ただ油断は禁物。「恒常性」への警戒は続く。】

5日連続で登校できた金曜日に続き、翌日の土曜日は体育祭でした。「いつもより少し早起きして登校。この支援が始まった時は、体育祭は諦めていたので、本当に嬉しいです。安心して、気が緩みそうです。」とありました。油断は禁物といつも言っているので、お母さんも常に次に備える気持ちをもってくれています。「こんなん言われたらキモいって思うだろうけど、学校戻れるようになって、凄い安心してる。最近よく眠れるし笑」みたいなことを伝えておくことを提案しました。息子さんもきっと休みにくくなるし、「迷惑をかけてたのかなぁ、」とかふとした時に考えたりするかと思ってくれるかも知れません。後は引き続き、「恒常性」に気をつけることも伝えました。

【会話が増えると話題になる「勉強も問題」。焦らずマインドセットな声かけを。】

支援が始まって19日目。3回目の日曜日です。中間テストがそろそろ話題になりましたが、息子さんは「先生は僕のこと諦めてるから」と言っていたそうです。サポーターとしては「逆に先生が諦めてるなら、結果出してビビらしてあげようよ(笑)」みたいな声掛けも良いのではとアドバイスしました。

【「当たり前を褒められない」。一方で「できないことにガミガミ言ってしまう」という現実】

20日目の月曜日は、体育祭の代休でした。「お手伝いしてくれたことにはすかさず褒めるようにしているが、反対に出来てないことにガミガミ言ってしまうので気をつけたい」と報告がありました。まさにその通りなんです。頭ではわかっていてもつい口に出してしまう、、、今がまさにがんばりどころなのです。

【ついつい続く「ガミガミ」な言葉に日々反省】

体育祭も終わり「恒常性」が心配な休み明けでしたが、学校に行きました。サポーターとしても、ほっとしました。ただ、朝の準備が遅く、ついうるさく言ってしまいケンカになったそうです。「何でママにいわれて学校いかないといけないかわからなくなってきた!」と言われたとのこと。この会話が、後に引きずることを避けたいところです。「いきなりガミガミと言う前に、目で牽制するとかでも良いかもしれませんね」とアドバイスしました。頭では十分すぎるほどわかってくれていますが、瞬時に判断して対応するには、まだまだ我慢が必要です

【常に出てくる「ルール」への主張。“欲張りすぎずケチらないバランス”が大切】

ルールについて、さらに希望がありました。「学校に行けてる=やることやってるのだからスマホの時間を増やしてほしい」」とのことでした。以前から段階的にルールは見直すと話していたので、息子さんとしては、当然の主張かも知れません。お母さんは、「スマホを1日3時間から4時間にした」ということですが、この回答が正しいのかが悩ましいと話してくれました。サポーターとしては「お母さんが譲れない部分をしっかり整理した上で、譲る部分と譲らない部分を決めること。欲張りすぎずケチらないバランスがと大事」とアドバイスしました。

【勉強問題に直面すれば感じる「早く支援の相談をしてほしい」という想い】

話す時間が増えると勉強の話題も増えます。「やらないといけないのは何となくわかるがやりたくない」「何やっても続く気がしない」と言われたそうです。お母さんからは「何とかマインドセット声かけ頑張ります。」と回答がありました。不登校から再登校を実現した後、勉強にどう向き合っていくかは次の大きな課題になります。だからこそ、不登校の期間はできるだけ短くしなければならない。「少しでも早く相談して欲しい」スダチのサポーターとして、いつも実感します

【「支援が終了すると不安」ありがたい言葉をかみしめる終盤。変わらぬアドバイスは「お互いに納得するルール作り」】

支援も終盤になり「来週月曜日に学校に行けるとまたひと安心です。ですがもうすぐ支援は終了すると思うと不安です。」と綴られていました「支援がなくなると不安」という言葉はサポーターにとってはうれしい言葉です。心強い存在としてお役に立てていると実感できます。でもこのご家庭は今の状態が続けばきっと大丈夫!改めて「やはり大事なのはルールを徹底することだと思います。お母さんが一番やりやすく強気を出せるルールを考え、息子さんとお互い納得のいくルールで折り合いをつけてあげてください。」とアドバイスしました。

スダチのサポートにより、こちらのご家庭は、8か月間に及ぶ不登校期間を経て、8日目で再登校が実現。現在も、ずっと登校が続いています。もう少し早く相談してくれれば…とも思いますが、それでもやはり相談してくれて本当によかったです。また日常が戻るにつれて、反抗期の問題や、思春期特有の心の揺れ動きも出てきて、不登校の問題と混在してしまう場面もあります。それぞれの家庭で状況は違いますが、本質的な問題点はある程度、共通しています。ルールを作って、あきらめずに〇をひとつずつ増やしてくことが大切なことに変わりはありません。

支援を通じて、お子様だけでなく、家族の皆さまが成長し、絆を深めてくれたことに、サポーターとしても感無量です。

一人でも多くのお子様を再登校に導くご支援をこれからも真摯に続けていきたいと思います。

 

◆次回の紹介◆

次回は、自傷行為のある娘さんを持つ桜沢家のストーリーをご紹介します。

  • この記事を監修した人
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スダチ広報担当

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