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「子どもが不登校になったら居場所を探しましょう」
「不登校の子どもには居場所づくりが大切です」
不登校にまつわる記事でよく目にする「居場所」という言葉。
「いどころ、よりどころ」という意味を含んでいるのですが、なぜこうも不登校とセットになっているのでしょうか?
この記事を書いている私は、小学校と中学校の不登校経験者です。
不登校の頃は、家から1歩も出なかったり1日中部屋に引きこもっていたことがあります。
そんな私がこうして自分の体験を話したり、外に出られるようになったのは、居場所を持ったからです。
今回は「不登校」と「居場所」について、かつての不登校経験者の視点からお話ししたいと思います。
- 不登校の子どもに居場所が必要なのはなぜ?
- 不登校の原因に、居場所は関係あるの?
- 小学生の子どもが不登校だけど、居場所をつくってあげられる?
不登校の子どもを持つ親御さんの中には、こうした疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
今回はそのような疑問に実体験を元に答えていきます。
また、この記事が、学校代わりの居場所を探している方、居場所をつくろうとしている方への助けになれば幸いです。
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1. 不登校の子どもに居場所が必要な2つの理由
先ほど、不登校に関する記事では「居場所を探しましょう」「居場所づくりが大切です」という一文をよく見かけることをお話ししました。
さて、ここでいう「居場所」とは不登校の子どもにとって、どういったところでしょう?
大前提として、子ども自身が「安心できるところ」を言うのではないでしょうか。
子どもが存在を否定されることなく、素のままを受け入れてもらえるところ。
「僕は、私は、ここにいてもいいんだ」と思えるところです。
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1-1. 苦しんでいる気持ちを吐き出せる場所を求めているから
不登校の子どもは、総じて心に傷を負っているか、心のエネルギー切れを起こしています。
心に数え切れないほどの傷があるのに傷ついていないフリをしたり、心のメーターは0なのに誰にも心配をかけまいと無理やり元気をだそうとしたり…。
頭では行動したいと思っていても、身体が思うように動かない、心が重い…。
ムリにムリを重ねた結果が、不登校という現象として起きてしまうのです。
不登校の子どもは、なにもズル休みしたくて学校を休んでいるのではありません。
不登校の子どもは、自分が学校に行けていないことに苦しんでいます。
自分の苦しみを吐き出せるところ、悩んでいる自分を「そのまま」受け入れてくれるところ———。
「居場所」が必要なのです。
自分の感情に嘘をつかなくていい。話を聴いてくれる、気にかけてくれる人がいる…。
そうした居場所さえあれば、子どもは他人とのふれあいやモノゴトを通して心の傷を癒し、心のエネルギーを回復させることができます。
つまりは、元気と自分自身を取り戻すことさえできれば、おのずと外へと踏み出せるようになるのです。
ここまでは、居場所の意味と必要性についてお伝えしてきました。
次は、居場所をつくることが外へ踏み出すことにどう関係するのかを少しお話ししたいと思います。
1-2. 人とも未来ともつながる可能性が高まるから
人は他人との関係、かかわり合いがあることで、自分と向き合うきっかけを手にすることができます。
かかわるのが家族だけという、狭い関係性だけだとどうなるのでしょう…。
限られた関係の中だけでは変化が起きづらく、また居心地の良さからどうしても引きこもりがちになってしまいます。
まずは自分、次は家族、他人…とふれあっていく人を内側から外へと広げていくことにより、少しずつ外への興味が湧くようになります。
かかわる他人は、子どもと同じ同性や同年代にこだわる必要はありません。
子どもを素のまま受け入れてくれる人が1人また1人と増えていくうちに、子どもの方から自然と外への1歩を踏み出せるようになります。
2. 子どもが不登校になってしまう4つの原因
これまでの内容で、居場所は子どもが安心できるところであり、その役割は心のエネルギーを取り戻し、いずれは外に出てもらうことだとお伝えしました。
では、居場所が安心できるところではなくなり、ただただ一方的に心と身体のエネルギーを奪い取るだけの場所だとしたら…。
これが学校だとしたら?家だとしたら…?
そうです。既にお気づきの通り不登校になってしまいます。
ここから先は「居場所」という観点から不登校の原因についてお話ししていきたいと思います。
ただ、不登校の原因を「コレだ!」と言い切る、決めつけてしまうのは難しいことです。
なぜなら不登校が結果として目に見えるカタチで起こる頃には、子どもから状態を説明する気力が残っていなかったり、そもそも言葉にできるものではなかったりするからです。
ここで挙げるものは、不登校を引き起こすトリガーのひとつになるものという認識を持っていただければと思います。
それでは、居場所と不登校がどう関わってくるのか見ていきましょう。
2-1. 入れ替わりの少ないクラスが不登校の原因に!
小学校では年間を通して、ほとんどの授業を1人の担任の先生が教えます。
クラスメイトも6年間変わらず、ずっと同じ人ということもあります。
人の入れ替わりがないということは、閉鎖的になりやすく、考え方や価値観も固定化されやすいものです。
それだけ子どもと先生との関係性や子どもとクラスメイト同士の関係性は重要だと言えますし、うまく関係が築けないと居場所を失うことにもつながります。
2-2. 先生との関係が原因で起こる不登校
担任の先生は、クラスで唯一の大人。
そんな先生の存在は、子どもから見ても信頼できる「居場所」であってほしいものです。
ですが実際は、子どもと先生の関係が良くないがために不登校になる子もいます。
例えば、子どもに対しての言動が上から目線の先生。
日常でのやりとりもですが、なにかしらのアクシデントがあった際など、ただ頭ごなしに叱るばかりだったら…。
子どもは「どうせ先生は自分の話を聴いてくれない、わかってくれない」と、先生という存在そのものに対して不信感を抱き、不登校になるケースもあります。
2-3. クラスメイトとの関係が原因で起こる不登校
小学校では「みんな仲良くしましょう」といったことを言われますが、現実はそう簡単にできることではありません…。
子どもの性格、個性は1人ひとりによって違うため、反りが合う合わないはどうしても起こり得ます。
加えてクラスというのは閉鎖的になりがちで、その中でさらにグループとして細分化されます。
どのグループに属した属していないといったウワサ話しや、無理やりに仲良くしようとする圧力があったりなど、子どもならではの複雑が原因で不登校になることもあります。
2-4. 家に居場所がないことで起きる不登校
上記では学校が原因の不登校について取り上げましたが、子どもは「家に居場所がない」と感じることでも不登校になる可能性があることをご存知でしょうか。
この記事で居場所とは、子ども自身が「素のままで安心できるところ」であり、「前に進むための力を取り戻す、もしくは補うところ」だとお伝えしました。
そして、不登校の子どもの多くが心に傷を負っているか、心のエネルギー切れを起こしていることもお話ししました。
子どもにとって一番安心して過ごしたいと思うところはどこでしょう。
それはきっと、家であり親御さんのそばのはずです。
もし仮に、子どもに今日、学校で嫌なことがあっても、家が安心できる居場所であれば心のエネルギーをきちんと充電することができます。
これが、家に居場所がないと感じる子どもだと、心のエネルギーを回復させることができません。
他のことで一時的に回復したとしても、家が心休まるところに変わらない限り、子どもの心は一方的にすり減っていきます。
そうして限界値を超え、子ども自身でもどうすればいいのかわからなくなった頃に、不登校として問題が表面化するのです。
3. 不登校の子どもの居場所のつくり方
学校と家、どちらにも居場所がないと感じることで不登校なってしまうことも知っていただけたと思います。
ここからは、居場所のつくり方をご紹介していきます。
3-1. 家の環境を整えて居場所にする
まず、家に居場所がないと感じている子どもにできることはなんでしょうか。
それは、親が子と徹底的に向き合い、親子関係を築き直すことです。
親の方から今まで少しだけ足りていなかった愛情表現、躾の方法を学び直し、実践していくこと。
それまでとは違う取り組みもあるため、戸惑ってしまうこともあるでしょう。
けれど「良くしたい」と真剣になる姿を、お子さんは本能的に感じ取ってくれます。しっかりと見てくれます。
親と子の関係が少しずつ変化していくにつれて、次第に家という安心できる居場所もつくられていくのです。
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3-2. 家の外にも子どもの居場所をつくる
家という居場所の本拠地がつくれたら、ぜひ外にも拠点となる居場所をつくってみましょう。
子どもが安心できる居場所を増やすということは、未来の行動と自立へつながります。
外に出て他人とかかわる機会が増えれば、会話や体験を通して自分のことをより深く知るためのヒントを得られます。
自分の好きなこと嫌いなこと、なにをしたいのかが見えてくるようになると、自分の力で現実と向き合うことができるようになります。
お子さんが不登校になったとき、家での過ごし方については以下の記事でお話ししています。
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4. 居場所をつくる以外での不登校の解決方法、子供が幸せになる方法は?
居場所は、なにも物理的な場所や人がいるかいないかにとらわれる必要もありません。
はじめから「居場所をつくろう」と意気込まなくても大丈夫です。
子ども自身に「好きなコト」「楽しいコト」「興味のあるコト」などが、なにか1つでも見つかれば、それが子どもの心のよりどころ、居場所となります。
親御さんから「こういうものがあるよ」「こんな場所があるよ」と子どもが興味を引きそうな選択肢をいくつか提案するのもいいでしょう。
そして、子どもが「したい」「やってみたい」と興味を持ったことは、なるべく経験させてあげましょう。
経験は、その子にしか持てない心の宝物となるのです。
5. 実例:不登校だった私が、居場所をつくってもう一度学校へ行けるようになったワケ
記事の冒頭でこの文章を書いている私も、かつて不登校だったことをお伝えしました。
私の場合、学校に自分の居場所、いる意味を感じられず不登校になったのですが、2つの居場所をつくることによって再登校できるようになったのです。
2つの居場所というのは、
・他人とふれあう外の居場所、適応指導教室(教育支援センター)
・自分の気持ちと向き合える内側の居場所、カラーセラピー
外側と内側に1つずつの居場所を持ったことが、再登校への一番大きな効果になったと思います。
以下にはどのようにして居場所をつくり、再登校に至ったのかをあげています。
似たような境遇のお子さんをお持ちの親御さんがいましたら、参考の1つとしてお読みいただけたら幸いです。
5-1. 外に居場所を見つけたら仲間が増えて、外出も怖くなくなった
私は不登校になってからというもの、ひたすら家に引きこもっていました。
生活リズムはめちゃくちゃで、1日の大半を寝て過ごすかゲームをするか。人とかかわることも減り、両親との会話も必要最低限…という状態でした。
自分でも「これはよくない」とわかってはいました。ただ、どうしていいのか本当にわからなかったのです。
そんなときに母が「学校じゃない、こんな場所もあるよ。調子がいいときに見学してみない?」と教えてくれたのが、適応指導教室でした。
ちなみに適応指導教室(または教育センター)とは、不登校の子どもが学校へ戻ることを目標に、市町村の教育委員会が運営する教室です。
ここでは学校と同じように勉強したり、スポーツや創作活動などの体験活動を行います。
見学に行くと決めた日、はじめて訪れた場所に緊張したことを覚えています。
事前の話では、私の他にも「学校に行けない子が通っている」と聞いていましたが、その言葉を完全には信じておらず、心のどこかで否定されるのではないかと疑っていたのです。
けれど、実際は違っていました。
適応指導教室に足を踏み入れると、そこには学校も学年も違う、だけど1つ共通して「今は学校に行っていない人が何人もいた」のです。
学校に行けなくなった原因を聞いてくるような人は誰1人いません。それよりも私がなにを好きなのかを聞いてくれたりと、私という存在そのものを見てくれました。
私はここでようやく「不登校なのは自分だけではない」ということを知り、幅広い年代の人とやりとりを交わしていく中で「自分の存在を受け入れてくれる人が必ずいる」ことを実感したのです。
学校の他にも、行く場所がある。「いてもいい場所がある」ことは、私にとって大きな支えとなりました。
5-2. 「気持ちの出し方、表し方」がわかると、自分で自分を知ることができる
私は幼少の頃から、自分の感情や考えを人に言うことがで得意ではなく、思ったことを何もかも溜め込みがちでした。
周りの状況に適応しようとするあまり、されたくない嫌なことも「いいよ」と言ってしまうタイプだったのです。
不登校になったとき、周りの人は「なにが嫌なの?」と原因を訊いてきましたが、私からすれば何もかもが原因に見えて答えることはできませんでした。
原因を訊かれることすらも苦痛です。しかし訊かれることに対しても「言いたくない、言えない」「訊かないで」と「NO」を言えなかったのです。
適応指導教室に通うようになり、少しずつ外の人とのコミュニケーションがとれるように戻った頃、母が知人を通してカラーセラピーを教えてくれました。
ここで私は、言葉を使う、話す以外の方法で自分の感情を出せることを知りました。
カラーセラピーでは、言葉で感情を出すことを求められません。
クレヨン、絵の具、色鉛筆…目の前の画材を何でも使って、自分の中にあるものを「色」で表現していきます。
私はカラーセラピーを受けるたびに、内側にあるもの全部を吐き出す勢いで手を動かし続けました。
すると、ぬりえや描いたものが増えていくと同時に、心がすっきりする、整う感覚に気づけるようになりました。
私がカラーセラピーで知った「話す以外で感情を出す方法」。
これは私なりの言い方にすると「感情を出し切ってもいい居場所がある」ということなのです。
5-3. 自分を受け入れてくれる他人、自分の気持ちを受け入れられる自分がいれば大丈夫
不登校の自分を受け入れてくれる適応指導教室で過ごしながら、カラーセラピーで心のケアを重ねていくうちに、私の中で気持ちの変化が起こるようになりました。
学校に行きたくない、怖いと思っていたのに、
「そろそろ学校に戻ろうかな」と思えるようになったのです。
ちょうど、学年が変わるころだったと思います。担任の先生と、次学年でお世話になることが決まった先生のサポートのおかげもあり、私は不登校から再登校へと進んでいくことができたのです。
6. まとめ
子どもにとっての居場所とは「ここにいてもいいんだ」と思える、安心できるところ。
役割は、心の元気と自分自身を取り戻してもらうこと。心の充電が満タンになれば、子どもは自分から外に出られるようになります。
総じて不登校の子どもの心は、傷ついていたりエネルギーが足りていない状態です。
不登校の子どもは、弱った自分、カッコ悪い自分、情けない自分…。あまり人に見せたくない、今の素のままを受け入れてくれる居場所を求めています。
不登校の子どもを持つ親御さんができるのは、家を居場所の本拠地にすることです。
親子関係を見つめ直し築き直すことで、より強い絆が結ばれます。
子ども自身が「もう大丈夫」と思えるようになるまで、親子で居場所をつくっていきましょう。
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