この記事を読むのに必要な時間は約 15 分です。
不登校のお子さんでも、高認試験を受験することで高校を卒業しなくても大学に進学することができます。
しかし誰もが受験する試験ではないので、どんなものなのか想像できず、
高認試験についての情報が少ないことに悩んでいる親御さんもいらっしゃることと思います。
この記事では、
- 高認試験はいつ頃から勉強開始すればいいのか?
- どの程度の学力で合格できるのか?
- 試験に受かったその後の人生はどうなるのか?
などの疑問について、実際に高認試験を合格してその後のキャリアを切り開いた筆者が解説します。
1. 高卒認定試験(高認試験)ってどんなもの?
まずは簡単に高認試験とはどんなものなのかについて解説します。
ちなみに正式名称は「高等学校卒業程度認定試験」といい、昔は「大検」と呼ばれていたこともありました。
親御さんの世代だと「大検」と聞いたほうがイメージが湧きやすいかもしれませんね。
1-1. 誰でも受験できる
高認試験を受験できるのは、「受験しようとする試験の日が属する年度の終わりまでに満16歳以上になる人」です。
つまり、高校1年生にあたる年齢以上のお子さんであれば誰でも受験できます。
1-2. 試験は年に2回
試験は例年8月と11月に行われているようです。
つまり、もし高校一年生から受験を考えているなら毎年2回×3年分で6回の受験チャンスがあるということになります。
とはいえ、一年生の時点で高認試験を意識しているお子さんは少ないので実際はもっとチャンスは少ないかもしれませんが、大学入試のように一発勝負ではないところはありがたいですね。
1-3. 受験科目は8科目から。一度に全部受けなくてもOK
受験科目は選択科目によって異なりますが、少なくとも8科目は受験する必要があります。
また、一度にすべての科目で合格しなくても、次回以降の試験に合格実績が繰り越せるので目標を絞って対策することも可能です。
2. 難易度は?
多くの親御さん・お子さんが気になるのは難易度のことかと思います。
独学で合格できるのか?大学入試やセンター試験(新・共通テスト)の対策との両立はできるのか?
そのあたりについて解説していきます。
2-1. 受験対策をしているお子さんなら現状維持の勉強で大丈夫
大学入試に向けて受験勉強を進めているお子さんであれば、特別な対応は不要だと思います。
難易度の体感としては、「教科書の内容を一通り理解していれば合格できる」くらいです。
文部科学省管轄の試験なので、教科書の内容から大きく逸脱した内容の問題も出題されません。
筆者も高認試験を実際に受験しましたが、専用の対策は特に行いませんでした。(過去問は数年分解いたかもしれませんが)
難易度が気になるようでしたら一度過去問を確認してみることをお勧めします。
2-2. 基礎学力がない場合は状況に応じてリサーチして
高校の学習内容がほぼ身についていないお子さんの場合は、高校の教科書の内容を学習することが必要です。
この場合は、高認試験と同じ年度に大学入試を受験するのか、もしそうでない場合は何年後に大学入試を受験するのかなどを加味して学習スケジュールを立てる必要があります。
たとえば、学習の進度的にまだ大学入試の対策をするほどの余裕がなさそうな場合は、まず1年間高認試験に向けて基礎的な内容の学習に専念し、その後本格的に大学入試に向けて勉強する、といったことも可能です。
2-3. 受験勉強と両立できる?
受験勉強との両立や、高認試験合格後に難関大学に合格できるかどうかが気になっている親御さんもいらっしゃるかもしれません。
結論から言えば、どちらも可能です。
なぜなら、先にも書いたように大学受験に向けた学習がそのまま高認試験対策につながるからです。
ただし、不登校での受験の場合は独学となることも多いはずですのでモチベーション管理やスケジュール管理が大切になってきます。
3. 実際に高認試験を受けた人の感想
さて、ここからは実際に高認試験を受験して国公立大学に入学した筆者の体験談を紹介します。
3-1. 私が高認試験受験を決めたわけ
私は高校生の時不登校でしたが、その理由は勉強が嫌いだったからではなく人間関係がしんどかったからです。
なので、「1日中家で好きなように勉強するだけで高校を卒業できたらどれだけ楽なんだろう」と思っていました。
そんな願いを叶えてくれたのが高認試験です。
高認試験を受けるということは高校を中退するということであり、つまり大学に合格しなければ最終学歴は中卒になってしまいます。
しかし、このまま高校に通えずに漫然とした日々を送るよりは高校中退→高認試験→大学受験の流れに賭けてみようと思い、受験を決めました。
3-2. その後の進路は?世間の目が気になる?
私が高認試験を受験したのは高校3年の11月でした。当時はセンター試験の対策も全く手を付けておらず、とりあえず高認試験合格を目指して教科書を繰り返し読み返していました。(もちろん、この時の学習がその後のセンター対策に直結しています)
教科が8科目と多く、どれか一つでも落としたらその年の大学受験はあきらめるしかない状態だったので、合格発表を待つ間は正直大学受験のことを諦めていました。
しかし、無事に高認試験に合格。
そこからまたやる気に火が付き、無事にセンター試験と2次試験を通過して、国公立大学に合格することができました。
大学に入ってからは、高校の時のように不登校にだけはならないようにしようと、なるべく真面目に勉強していました。
もし大学を中退してしまうと、最終学歴が中卒になってしまうので…。
しかしこのプレッシャーがいい方向にはたらき、無事に大学も卒業することができました。
私が心配していたのは就活の時。履歴書に「高校中退」を書かなくてはならないため、どこからも採用してもらえなかったらどうしようかと不安でした。
しかし大手企業含め複数の企業から内定を頂くことができました。
また、驚くことに面接官の方も私の経歴を面白がってくれました。
今では企業でのびのび働いています。正直、高校時代のストレスや苦しみに比べると、社会人の辛さなんて大したことないな、と思えます。
「高校中退」の肩書は最初は足かせのようでしたが、今となっては、人から面白い経歴の持ち主だと興味を持ってもらえる「アピールポイント」になっていると感じます。
3-3. この試験がなかったら私は…
もし高認試験がなかったら、私は高校を卒業できず、ずっと引きこもりのまま、働くこともできずに暗い日々を過ごしていたと思います。
高校に行けないお子さんには色々な理由があると思いますが、もし高校での人間関係や狭い教室が苦手だけれど勉強自体は好きというお子さんがいれば、ぜひ高認試験を選択肢の1つにすることを考えてみてください。
もしかすると、無理に高校に通ってやっとの思いで受験するよりも、自分のペースで学習して高認に合格したほうが偏差値の高い難関大学に行けるかもしれません(笑)
4. 高認試験受験に向けてモチベーションが維持できるか心配
さて、実際に私の体験談を紹介してみましたが、
「本当に自学自習で高認合格、さらに大学入試合格までうちの子が勉強を続けられるだろうか」と不安な親御さんもいらっしゃるかもしれません。
正直この点に関しては、個々人の差も大きいので「絶対に大丈夫」とは言えないのですが、私なりに思っていることを書いてみます。
4-1. 自学自習の力には得意不得意がある
当たり前ですが、自学自習の得意不得意には個人差があります。
誰かに勉強のやり方を教えてもらえると伸びる子もいれば、仲間と競い合うことがモチベーションになる子もいます。
この辺りはお子さんの特性を見極めて考えてみてください。
高校に復帰してみんなと頑張ったほうが勉強を頑張れそうなのであれば、高校に復帰できる方法を模索してみましょう。
4-2. 勉強が好きなお子さんは信じて任せてみて
もし、お子さんが勉強が好きで自分1人でも頑張れそうな場合は、無理に第三者の手を介入させようとせずにお子さんの力を信じてみてください。
この場合、受験まで数か月~半年の短期戦であればお子さんのモチベーションも持続しますし、
受験がどんどん目の前に迫ってくるので勉強せざるを得ません。
しかし高校1~2年の早い時期で不登校になってしまい、その後ずっと自学自習の場合は、
スケジュール管理やモチベーションの維持がかなり難しくなってきます。
また、その場合卒業するまであまり人と関わらずに自室で勉強するだけの生活になってしまうため、
心にあまり良い影響は及ぼさないかもしれません(もちろん、一人が好きなお子さんの場合は大丈夫です)。
一緒に励ましてくれる仲間や、悩みを聞いてくれる場所が欲しいなら、ぜひプロの力を借りてみましょう。
4-3. 勉強が苦手なお子さんはプロの助けを借りることも視野に入れて
前述したように、勉強がどうしても苦手なお子さんや、自己管理が苦手なお子さんもいらっしゃるかと思います。
スダチ(旧逸高等学院)では不登校からの復帰以外にも、お子さんが活き活きと自分の進路を見つけられるようになるための様々なサポートを行っています。
まずはお気軽にお問い合わせください。
5. まとめ
高認試験は決して合格の難しい試験ではありません。この制度をうまく活用することで、高校を卒業しなくてもその後の人生の選択肢を広げることができます。
お子さんの不登校の状況によっては、ぜひこの選択肢を検討してみてください。
また、不登校やひきこもりから脱出する方法については、次の記事でもお話ししています。こちらも参考にしていただけると幸いです。
こちらもCHECK
-
ひきこもりから脱出する唯一の方法!立ち直るきっかけや脱出した子どもの体験談
この記事を読むのに必要な時間は約 40 分です。 「子どものひきこもりが長引いてしまっている。脱出する方法を知りたい。」 「ひきこもりから立ち直るきっかけや脱出した人の体験談を知り、子どもへの支援に生 ...
続きを見る