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疑問&お悩み
・不登校や引きこもりにカウンセリングって効きそうだけど…
・カウンセリングって話を聴いてくれるだけ?
・カウンセラーとのやりとりには、なにか意味があるの?
心の悩みを解決する方法としてよく名称が挙げられるカウンセリング。
この記事を読んでいるあなたも、不登校の子どもにカウンセリングを受けさせようか迷っているのではありませんか?
もしくは、学校からカウンセリングを受けるように勧められたものの、「どういった効果があるのかわからない」という、もやもやを持っているかもしれませんね。
この記事では不登校の子ども、とくに高校生がカウンセリングを受けるとどういったメリットがあるのかについて、解説しています。
例えば
- カウンセリングで高校生の不登校が解決するのか
- そもそも、カウンセリングがどういうものなのか
- カウンセリングを受けることで得られるスキル
などです。
かくいう、この記事を書いている私も不登校とカウンセリングを受けていた経験があります。
この記事の情報が、少しでも役に立てば幸いです。
記事の後半には「カウンセリングまでは求めていないけど、子どもの不登校について相談先がほしい」という方への無料相談の案内もあります。
困ったときの相談先の1つとして、検討してみてくださいね。
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1. 高校生の不登校はカウンセリングで解決できる?
カウンセリングは不登校解決に大いに役立ちます。
けれども、お子さんのカウンセリング“だけ”で高校生の不登校解決を目指すのは現実的ではありません。
なぜなら、不登校と一口に言っても、問題の背景や深刻度は子ども1人ひとりによって様々だからです。
加えて、カウンセリングは人と人との対話で行われます。
人との関わりで不登校になった子どもの場合、他人に心を開くのは容易ではありません。
信頼関係の構築までに時間を要するため、最終的に不登校を解決するまでに時間がかかりすぎる可能性があります。
けれども、カウンセリングを受けることが自分自身が立ち直るきっかけになることは確かです。
不登校の解決を、子どもとカウンセラーによるカウンセリングに任せきりにするのではなく、子どもに関わる人たちでサポートすることが不登校解決の近道です。
不登校のカウンセリングを受けるメリットや、お子さんが嫌がる時の対処法については、以下の記事で紹介しています。
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2. そもそもカウンセリングってなに?
カウンセリングとは、心の専門家による心理的な援助のこと。
心理的な援助というのは、相談者(クライエント)が「自分自身が“これがいい”」と思える考え方や行動をできるようにするためのサポートを指します。
私たちはつい悩みを解決したい思いから、カウンセリングに「治してほしい」という期待をしがちです。
ですが、カウンセリングはトラブルに対して、明確な答えを教えてもらえるものとは限りません。
また、占いのように「今後こういったことが起こって、こうなります」と答えてもらうものでもないのです。
あくまでも主となるのは、相談者(クライエント)。
相談者(クライエント)がカウンセラーを通して問題や課題と向き合うことで、自分の気持ちや考え方を見つめ直すきっかけになります。
そして、自分への理解や見通す力を学び取り込んでいくことで、もう一度、自分の力で立ち上がる力を身につけられるのです。
3. カウンセリングを受けるメリットは?
次のようなメリットがあり、最大の特徴は実感できることでしょう。
カウンセリングのメリット
- 自分の話を聴いてもらえる
- 自分の考え方のクセや思い込みに気づくことができる
- 今、自分が抱えている問題や課題について整理できる
- あらゆる問題にや課題について、自分なりの見方や解決方法を見つけるきっかけになる
カウンセリングは、相談者(クライエント)とカウンセラーの対話によって成りったっており、以下のような流れで進みます。
まず、相談者(クライエント)はカウンセラーに自分の感情や状況を話し、カウンセラーは理解するために耳を傾けます。
この時点で、相談者(クライエント)は話を聴いてもらえていることが実感できると、「話してスッキリできた」「わかってもらえた」という感覚を得られます。
「他者に受け入れてもらえた」「一緒に考えてくれる人がいる」
こうした経験は信頼関係にも結びつき、やがて相談者(クライエント)は、自分がぶち当たっている問題に取り組むことが可能となるのです。
感情は自分の中にあるままだと捉えにくいもの。
言葉にしたり書き出すことで自分の思考や日頃からクセになっている反応に気づきやすくなり、抱えている問題や課題についても改めて捉え直すことができます。
そして、自分に対する再認識やカウンセラーからの助言によって、今回の体験をどう再解釈するのか、今後は自分でどう考えて行動していけばいいのかを習得していきます。
3-1. カウンセリングを受けるとレジリエンスが身につく
レジリエンスというのは、困難なことに直面しても向き合って解決しようとする力のこと。
カウンセリングは、カウンセラーとの対話を通して自己理解を深めることで、最終的に自分に起こった出来事をどう捉えるのかを身につけることができます。
不登校という経験を「ネガティブなことしかなかった後悔と挫折」と捉えるのか、「今の自分をつくった出来事の1つ」と捉えるのか。
同じ不登校という出来事でも、捉え方次第でお子さんの今後を左右すると言っても過言ではありません。
カウンセリングは、今後をよりよく過ごしていくために必要な力を身につける機会とも言えるでしょう。
4. カウンセリングを受けるタイミングはいつがいいの?
不登校は、学校に行かない期間が長引くほど長期化しやすい傾向があるため、可能であれば早めにカウンセリングを受けることをおすすめします。
ただし、引きこもっている状態の子どもを無理やりにカウンセリングの場に出しても何1ついいことはありません。
子どもの状況と親子関係も関わってくるため、注意が必要です。
4-1. 子どもが受ける場合は不登校の初期か本人の希望時がベスト
行き渋りがではじめた段階であれば、カウンセリングを受けることで本格的な不登校を防げる可能性が高まります。
すでに、子どもの心には負担がかかっている状態ではありますが、カウンセリングによって気持ちの出し方を身につけることで心身のストレスを解消できるでしょう。
また、子ども自身でもストレスがかかると自分の体にどういった影響があるのか、どういう気持ちになるのかを知れるため、今後のストレス対策にもつながります。
すでに不登校の場合、子ども本人から「カウンセリングに行きたい」という申し出があるかもしれません。
これは、子どもなりに「いろいろなことを、どうにかしたい。だけど、わからない。誰かの手助けがほしい」という意思のあらわれなので、応じてあげてください。
ここで1つ、注意があります。
心苦しいかもしれませんが「お母さんが聞くよ?」とは言わないようにしましょう。
高校生ともなれば、思春期後期。
1人の個人として自立しようとしている段階です。
ご自身の10代後半はどうでしたか?
まったくの他人のほうが相談しやすいこともあるのです。
4-2. 子どもに「カウンセリングを受けてほしい」と思ったら?
結論からいうと、まずは、親御さんであるあなたがカウンセリングを受けることをおすすめします。
「子どもが引きこもり気味だからカウンセリングを受けてほしい」
ひょっとすると、こうした思いから子どもに対してカウンセリングに行ってほしいと思っているのかもしれませんね。
こうした状況だと、たしかに子どもが外に出る機会をつくるためにも勧めたいところです。
けれど、仮に閉じこもっている子どもに対してカウンセリングに行くことを促しても、素直に聞き入れるよりも断られる可能性が高いでしょう。
閉じこもっている子どもは、さなぎのようなもの。
ですが、変化のために閉じこもっているのか、現実逃避や現状維持のために閉じこもっているのかわかりにくいのもまた事実です。
「カウンセリング」を受けてほしいと思っているのは、子どもに対して「変わってほしい」と期待をしているからではありませんか?
4-3. 親御さんがカウンセリングを受けると親子関係がよくなる
子どもの不登校について「どうにかしなければ」と行動するのは、意外なことに子ども本人よりも、この記事をよんでいるあなたのような親御さんだったりします。
カウンセリングもまた、親御さんからのスタートではじまることが多いとされています。
もちろん、最終的に不登校と向き合って解決するのは子ども自身です。
しかし、子どもは支援を求めながらも、以下のようなストレスでいっぱいなために支援を受け入れるのが難しい状態でもあります。
- 自分が不登校であるという事実や至るまでの過程、今後の不安
- 自分が不登校になったことで、親に心配をかけている罪悪感
とくに子どもは、自分が家族にマイナスの影響を与えていることに対して強いストレスを感じています。
なぜなら、親であるあなたが本人以上に不登校を心配しているからです。
心配すること、気にかけることは悪いことではありません。
ただ、行き過ぎた心配や余裕のなさというネガティブな雰囲気は人から人へと伝染しやすいのです。
では、もしここで、親であるあなたがカウンセリングを受けるとどうなるでしょうか?
カウンセラーに気持ちを話すことにより、心にゆとりができるかもしれませんね。
子どもの不登校を通して、自分自身や子育てについてもふり返るでしょう。
ふり返る過程で、あなたが何かしらに気づいたとしたら?
子どもへの考え方が変わるかもしれません。
関わり方が変わるかもしれません。
子どもからすれば、最も身近な存在と環境が大きく変わったと映ることでしょう。
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5. カウンセリングはどこで受けられるの?
カウンセリングを受けられるところ
- 学校
- 医療機関
- 自治体の教育センターなど
学校によっては、スクールカウンセラーを配置しており、学校関連のことを相談することが可能です。
スクールカウンセラーとは、臨床心理の知識と経験から生徒と向き合い、学校生活における心のサポートスタッフのこと。
相談できるのは生徒だけに限りません。
まずは、子どもの在籍する学校にスクールカウンセラーが配置されているのか聞いてみるといいでしょう。
心療内科やメンタルクリニックでも、カウンセリングを受けることが可能です。
とくに、児童精神科を設けているクリニックでは、不登校の悩みについての相談にも応じてくれます。
子どもも親御さんも、不登校を引き金にうつ病となっていたり、身体面にも影響が出ていることがあります。
本人に自覚症状がないことも多々あるので、気になる場合は一度、受診してみるといいでしょう。
自治体の教育センターでも不登校や学校に関する相談をすることが可能です。
教育センターでは、子どもと親の相談委員(退職教員など)が相談に応じてくれたり、スクールカウンセラーを紹介してくれることもあります。
自分が住んでいる自治体のホームページにアクセスして、教育支援のページを見てみましょう。
また、対面相談に抵抗がある場合は、メールなどのツールを使った方法もあります。
気持ちを文字にして伝えることから始めると効果的ですよ。
高校生の不登校について相談できる窓口については、次の記事で紹介しています。
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6. まとめ
カウンセリングとは、相談者(クライエント)の悩みや困っていることを、カウンセラーの知識や技術を借りながら解決につなげていくことです。
カウンセリングを受けたからといって、問題に対してハッキリとした答えがもらえるとは限りません。
最終的に、自分なりの答えは相談者(クライエント)が自分で考えて決めていくものです。
不登校の高校生がカウンセリングを受けることで、困難な出来事に遭遇しても立ち向かい乗り越えるための力、レジリエンスが身につきます。
また、親御さんがカウンセリングを受けると子どもへの接し方が変わる可能性も。
結果、子どもにとっていい環境変化を与えることになり、不登校解決へのきっかけにもつながるでしょう。
不登校の高校生は中退という選択肢も出てきます。高校中退を検討している親御さん向けについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
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7. 追伸:まずは子どもの不登校について相談をしたいならこちら
これまで200人以上の親御さんから相談を受けてきた私たちが、あなたとあなたのお子さんの不登校解決をサポートします。
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<<参考文献>>
張替 裕子.「スクールカウンセリングにおける家庭訪問を活用した不登校支援:「支援を求めない保護者」への支援という観点から」」,(目白大学 心理学研究第4号)2008,https://mejiro.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=145&item_no=1&page_id=13&block_id=21,(最終アクセス日:2020-10-19)
横島 義昭[他].中学生・高校生がスクールカウンセラーに求める援助をめぐって : 学校心理学に基づく調査結果と生徒自信による議論から.1996.(日本教育心理学会総会発表論文集).https://www.jstage.jst.go.jp/article/pamjaep/38/0/38_S76/_pdf/-char/ja,(最終アクセス日:2020-10-19)
奥田健次. 「不登校を示した高機能広汎性発達障害児への登校支援のための行動コンサルテーションの効果 : トークン・エコノミー法と強化基準変更法を使った登校支援プログラム」. 行動分析学研究20巻(2006)1号, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjba/20/1/20_KJ00004354906/_article/-char/ja/, (最終アクセス日:2020-10-19)
伊藤 美奈子. 「保健室登校の実態把握ならびに養護教諭の悩みと意識:スクールカウンセラーとの協働に注目して」. 教育心理学研究/51 巻 (2003) 3 号, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjep1953/51/3/51_251/_article/-char/ja/, (最終アクセス日:2020-10-19)
西村 勇人. 「長期不登校児への認知行動療法的介入」. 行動療法研究39 巻 (2013) 1 号, https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjbt/39/1/39_KJ00008636050/_article/-char/ja/, (最終アクセス日:2020-10-19)
鈴木 水季[他]. 「高校生に対する予防的心理支援としてのレジリエンス教育の実践と効果 : スクールカウンセラー,教師,研究者の協働を通して」. 日本教育心理学会総会発表論文集/第56回総会発表論文集, https://www.jstage.jst.go.jp/article/pamjaep/56/0/56_765/_article/-char/ja/,(最終アクセス日:2020-10-19)
吉田 三紀. 「小児気管支喘息児の母親に対するカウンセリングについて -その必要性と期待される有用性の観点から-」. 京都大学大学院教育学研究科紀要, 2013, https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/173228,(最終アクセス日:2020-10-19)
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坂中 正義. 「カウンセリングはどのように理解されているか?--心理臨床家との比較から」. 福岡教育大学紀要. 第四分冊, 教職科編, 2005, https://fukuoka-edu.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=1162&item_no=1&page_id=13&block_id=21,(最終アクセス日:2020-10-19)
田邉 綾子[他].「思春期ピアカウンセリング講座を受講した高校生の友人との人間関係構築に関する認識」.日本公衆衛生看護学会誌5巻3号.2016.https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphn/5/3/5_259/_html/-char/ja,(最終アクセス日:2020-10-19)