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大人の「敏感さん・繊細さん」あらわす言葉として、有名になったHSP(Highly Sensitive Person)。
HSPの子どもバージョンは、「ひといちばい敏感な子ども・HSC(Highly Sensitive Child)」と呼ばれています。
私たちをはじめとする不登校支援サービスのもとに、最近増えているのが「うちの子どもが不登校になったのは『HSCだからですか?』」というもの。
この記事を読んでいるあなたも、子どもの不登校とHSCの関係が気になっているはずです。
【平均3週間で不登校解決プログラム】を展開する小川涼太郎さん監修のもと、HSCで不登校経験者の筆者がお伝えする内容は次のとおり。
記事を読むとわかること
- HSCと不登校の関係
- HSCの特性・特徴と学校生活
- HSCの不登校を解決する3つのポイント
「敏感・繊細」である HSCは、不登校になる可能性が高めです。
しかしながら、「『HSC』だから不登校に…」と考えるのは、良くありません。
HSCは子どもが生まれ持った気質であるため、HSCを原因にするのは「子どもに問題がある」と言っているのと同じです。
HSCの特性・特徴を理解して子どもとの向き合い方を知ることで、HSCの子どもの不登校を解決に導くことはできます。
目次
1. HSCだから不登校?敏感さを原因にするのは“感性の否定”
あなたも最初は、「子どもの不登校の原因は、学校にある」と考えていませんでしたか?
けれど、子どもに聞いても学校に行きたくない理由がわからず、行き詰まりを感じていたと思います。
- “いじめ”はない
- 友だちはいる
- 先生との仲も悪くはない
- 勉強もできている
不登校の原因が学校にないとなれば、子どもに原因を求めたくなりますよね。
子どもの性格が内向的であれば、不登校が子どもの性格に起因すると考えるのも当然です。
敏感さん・繊細さんであるHSPが有名になり、今ではHSCのネット記事・書籍も数多くあります。
子どもを「HSCかも」と判断することで、納得できた点もあったでしょう。
しかし、「HSCだから不登校になった」と考えるのは、良い傾向とは言えません。
HSCは病気などではなく、子どもが生まれ持った特性です。
HSCを不登校の原因として扱うことは、「子どもの物事の感じ方・捉え方が悪い」と言っているのと同じなのです。
\ HSCも抱えがちな「うつ病・不安障害」などの向き合い方がわかります! /
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2. HSCが持つ4大特性|DOESとは?
すでにネット記事・書籍にて知ったかと思いますが、改めてHSCが持つ特性をチェックしておきましょう。
敏感・繊細な子どもであるHSCは、4つの特性“DOES(ダズ)”を必ず持っています。
- D:深く処理する
- O:過剰に刺激を受けやすい
- E:全体的に感情の反応が強く、共感力が高い
- S:ささいな刺激を察知する
まとめると、HSCは「1を聞いて10を知る・感じる」を無意識に行っています。
私たちが息をするように、自動的に行っているため、ONとOFFを切り替えるのは簡単ではありません。
さらに、DOESの特性は生まれ持ったものであり、変えることはできません。
DOESの特性とは、一生つきあっていくものです。
子どもによって、それぞれの特性には強弱があります。
親御さんだけでなく子どもも、HSCの特性がどのようなもので、どのようなことに影響するのかを学ぶといいでしょう。
2-1. HSCと発達障害の関係
HSC感性や五感が鋭いことから、病気・発達障害だと思われがちです。
HSCは病気でも、発達障害でもありません。
あくまでHSCが持つ敏感さ・繊細さは、生まれ持った気質。
病気・障害ではないため、病院で診断が下ることも、治療することもありません。
発達障害は、先天的な脳機能の障害です。
読む・書く・計算ができない・とても苦手であったり、人とのコミュニケーションがうまくとれません。
発達障害は医師による診断を受けられるものの、完治は難しいとされています。
もしも、HSCの特性なのか発達障害なのか判断がつかない場合は、以下の医療機関に相談してみましょう。
- 小児科
- 児童精神科
- 小児神経科
- 発達外来
- 大学病院または総合病院
発達障害かも?と思うならコチラ
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3. HSCが持つ6つの特徴と学校生活の関わり
HSCの特性DOESは抽象的で、ピンとこないかもしれません。
DOESの特性を具体的にすると、次のようになります。
細かいことに気づく
刺激を受けやすい
強い感情に揺さぶられる
他人の気持ちにとても敏感
石橋を叩き過ぎる
よくも悪くも注目されやすい
「そんな小さなことなの?」と思ったかもしれません。
「そんな小さなこと」に気づいて反応してしまうのが、「ひといちばい敏感・繊細」な人たちの特徴です。
ここで気になるのが、HSCの特性と学校の関係ですよね?
敏感・繊細なHSCにとって、学校は刺激(情報)が多すぎる場所。
例えるなら、毎日テーマパークに通っているようなものなのです。
ここからは、HSCの特性と学校の関係を1つずつ解説します。
3-1. 細かいことに気づく・気づきやすい
ほかの人が見過ごすような、小さなことに気づくのが、HSCです。
何に対して気づく・気づきやすいかは、子どもによって様々。
におい・音に反応しやすい子もいれば、人間関係の変化に気づきやすい子もいます。
例えば、においに敏感なHSCの場合、人が密集する教室・給食のにおいがストレスになることも。
はたから見ればささいなことが、HSCには大きな悩みの種であることも珍しくないのです。
3-2. 刺激を受けやすい
学校は刺激(情報)に溢れており、HSCには肉体的・精神的にも疲れやすい場所です。
加えてHSCは、慣れていないこと・突発的なことが苦手。
このため、学校行事に忌避感を抱くことも少なくありません。
- 運動会
- 発表会
- 授業参観
学校行事の場面では、周囲の「気」に圧倒されつつ、注目を浴びるなかで実力を試されます。
人に見られる場面では、ふだんの実力を出せない傾向が高めです。
3-3. 強い感情に揺さぶられる
HSCは感情に対する感度も敏感です。
HSCの感情への感度は、自分の気持ちにだけ敏感なわけではなく、他人の感情にも敏感です。
学校生活であれば、次のような場面に強く反応します。
- 先生がクラスメイトを叱っている
- クラスメイトが言い争っている
直接的に自分は関係なくても、その場の空気・その場を取り巻く感情に圧倒されてしまうのです。
ちなみに、感情に対する感度は、ネガティブなもの・ポジティブなもの、どちらにも発揮します。
3-4. 他人の気持ちにとても敏感
共感力の高さも、HSCの特徴の1つです。
同じ空間にいる人であれば、目に見えるもの・見えないものから、その人の機嫌を読み解きます。
- 表情
- まとっている雰囲気
- 声のトーン
- ジェスチャー など
相手の調子に合わせて先回りできるため、HSCの気質を持つ子どもは「気が利く・優しい」の評価を受けやすいです。
良いことではあるものの、無意識的に他人を優先しているだけであって、自分自身の気持ちにフタをしていることも。
親や先生が望む子どもであろうとして、常に優秀であろうと無理をすることもあります。
3-5. 石橋を叩き過ぎる
見慣れた光景でも何かしらの変化があれば、HSCはすぐに気づきます。
それだけ、注意深く用心深く、物ごとを見ているのです。
学校生活では、クラス全員が足並みをそろえつつ、テキパキ動くことが良しとされます。
慎重さを活かせる場面は少ないため、長所を生かし辛い傾向にあります。
3-6. よくも悪くも注目されやすい
HSCが持つ特性や特徴は、とても偏見を受けやすいもの。
敏感・繊細の言葉も、人によっては次のように捉え方が異なります。
敏感・繊細をネガティブに言うと
- 臆病で、小さなことにとらわれやすい
敏感・繊細をポジティブに言うと
↑「ココがおすすめ」を書き換える
- 注意深く、小さなことに気づける
HSCは5人に1人の、少数派(マイノリティ)。
基準値からほんのわずかに飛び出しているため、「少し変わった子」として見られがちです。
HSPと不登校の関係性については、以下の記事でも紹介しています!
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4. HSCの不登校が再登校するための3つのポイント
ここまで、 HSCの特徴を解説しました。
ここらは、HSCかつ不登校の子どもが不登校を叶えるためのポイントを解説します。
ひといちばい、敏感で繊細なHSCが不登校になったとき、することは次の3つです。
ネガティブな気持ちを吐き出させる
自己否定感を小さくする
自己肯定感を育てる
まずは、子どもが抱えているネガティブな気持ちを吐き出させましょう。
先に感情を出すことで、自分が持つ敏感さや繊細さなどの特性・特徴を受け入れやすくなります。
また、HSCは自分で自己肯定感を抱きにくいです。
親御さんがサポーターとして、フォローする必要があります。
4-1. ネガティブな気持ちを吐き出させる
物ごとや他人の気持ちに敏感なHSCは、無意識に他人に合わせる生き方をしています。
他人に合わせる=「我慢」をしているのです。
まずは、これまで我慢してきたことを全部、吐き出させてあげましょう。
このときのポイントは、子どもに向ける態度です。
- 何でも言っていいよ
- あなたの気持ちを受け止める準備はできているよ
子どもが話せるように、安心できる空間を整えることが大切です。
加えて、HSC気質を持つ子どもの感情を受け止めるとき、親は「ゆとり」が必要です。
親も一緒に感情を爆発させると、子どもは次のどちらかを強制されるため、自分の気持ちを出すどころではなくなります。
- 親の感情に圧倒され、自分の気持ちが引っ込む
- 自分ではなく、親を気遣わなければならない
安心できる場所で気持ちを吐き出すことで、子どもは我慢から解放されます。
\ ネガティブな言葉が出てきたら… /
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4-2. 自己否定感を小さくする
HSCは自己否定感が強いことが珍しくありません。
自己否定感とは「自分はダメなんだ」と思う気持ち、考え方です。
HSCは、敏感さ・繊細さから、ほかの子どもと「少し違う」と見られやすいです。
「少し違う」を、個性や長所ではなく、欠点に感じてしまうため、自己否定感を抱きやすくなります。
自己否定感を小さくするため、効果的なのは「質問をする」こと。
- どうして、そう思うのか
- 何がネガティブな感情にさせるのか
子どもに質問を投げかけることで、自己否定感を引き起こしている原因・考え方のクセが見えてきます。
\ ○○力があれば自己否定感が低い理由もわかるかも /
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さらに、自己否定感を小さくしておくことで、自己肯定感も育ちやすくなります。
4-3. 自己肯定感を育てる
自己肯定感は、自分と他人を比べずに、今の自分を認めること。
自己肯定感は、心の土台です。
土台である自己肯定感が低いと考え方が歪み、生きづらさを覚えることになります。
例えば、極端な例をあげると次のようになります。
- ほかの子どもと違う自分は、変・おかしい
- 変・おかしいから、不登校になったんだ
- どうせ、大人になっても、このままなんだ
ちなみに、自己否定感が強く、自己肯定感が弱くなりがちなHSCが、大人になってから自己肯定感を育むのは至難の技です。
心の土台を強固なものにするタイミングは、今しかありません。
子どものうちに自分の敏感さ・繊細さを知るのは、自己理解が深まる良い機会です。
そして、不登校を乗り越えることは、苦難を乗り越えた経験として、お子さんの今後の人生に必ず役立ちます。
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5. まとめ
HSCを不登校の原因にすることは、子どもの感性の否定です。
HSCが持つ敏感さ・繊細さは、生まれ持ったものであり、変えられるものではありません。
HSCは4大特性DOES(ダズ)が生まれつき備わっています。
D:深く処理する
O:過剰に刺激を受けやすい
E:全体的に感情の反応が強く、共感力が高い
S:ささいな刺激を察知する
DOESの特性により、HSCは“1を聞いて10を知る”を本能的に行えます。
ただ、感覚が敏感で物ごとや感情を深く処理できる分、HSCにとって学校は情報が多すぎる場所。
HSCの特性・特徴をポジティブに見てもらえない環境の場合、不登校になってしまいます。
もしも、HSCが不登校になった場合は、次の3つのポイントが再登校へのヒントです。
- ネガティブな気持ちを吐き出させる
- 自己否定感を小さくする
- 自己肯定感を育てる
まずは、今まで溜め込んでいたネガティブな気持ち、自分を責める気持ちを小さくします。
その後、心の土台である自己肯定感を育むことで、HSCである自分を受け入れながら不登校を乗り越えられるのです。
6. 追伸:HSCで不登校の子どもを持つ親御さんと知り合えるチャンス
私たちはお子さんの不登校に悩む親御さんをサポートしており、定期的に【無料】不登校解決オンラインセミナーを開いています。
オンラインセミナーの参加者は、あなたと同じ、不登校の子どもを持つ親御さんです。
もしかすると、HSCの親御さんもいるかもしれません。
HSCが存在する割合は、5人に1人。
つまり、5人に1人はHSCの親です。
子どもの敏感さに悩んでいるのは、あなただけではないのです。
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<参考文献一覧>
エレイン・N・アーロン『ひといちばい敏感な子』(明橋大二訳)1万年堂出版(2015).
イルセ・サン『鈍感な世界に生きる 敏感な人たち』(枇谷玲子訳)ディスカヴァー・トゥエンティワン(2016).
長沼睦雄『子どもの敏感さに困ったら読む本:児童精神科医が教えるHSCとの関わり方』誠文堂新光社(2017).
長沼睦雄『敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本』永岡書店(2017).