「不登校の子どもが復学するために必要なサポートを知りたい。」
「不登校になった子どもの心境は、回復までにどんな変化を辿る?プロセスや回復のきっかけを知りたい。」
お子さんが不登校を乗り越え、復学を果たすには、適切なサポートが欠かせません。
今回は、不登校から復学(再登校)に至るまでの心境変化のプロセスや、親御さんができるサポート、復学のきっかけなどを解説します。
再登校を目指した支援を提供する小川涼太郎監修のもと、お話しする内容は次のとおりです。
記事を読むとわかること
- 不登校の子どもが復学(再登校)する条件と割合
- 不登校から復学(再登校)に至るまでの心境変化のプロセス
- 子どもが不登校から回復し復学(再登校)するきっかけとは
- 不登校からの復学(再登校)に向けて親御さんができるサポート
- 不登校の回復段階で親御さんが注意すること
- 不登校の回復段階に見られるお子さんのサイン
- 不登校から復学(再登校)へ向かった事例
- 不登校からの復学や自立を目指せる相談機関
- 復学まで時間がかかるお子さんが多い理由
目次
1. 不登校の子どもが復学(再登校)する条件と割合
不登校のお子さんが根本的な課題を解決し、主体的に復学するために必要な知識を解説します。
前提知識を深めることで、親御さんがこれからどのようにアプローチしていけば良いか探ることができます。
1-1. 不登校の子どもが再登校するために必要な条件
まずは、お子さんが再登校するために知っておくべきことを解説します。
1-1-1. 文部省が定める不登校支援では復学を目的としていないことを知る
文部科学省の通知では「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」としています。
国の方針は、以下のとおりです。
- 不登校支援では、必ずしも「学校に登校する」という結果のみを目標としない
- 児童生徒が自ら主体性をもって進路に向き合い、自立することを目指す
- 児童生徒によっては、不登校という期間が重要な休息期間となる場合があるが、不登校によって生じる勉強の遅れ、進路選択の不自由などのリスクを念頭に置く必要がある
引用元:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
つまり、不登校のお子さんに対して、学校は積極的に登校を促さない場合があります。
不登校のお子さんの復学を目指すのであれば、親御さんが積極的に行動し、現状の課題を解決する必要があります。
1-1-2. 正しい親子関係の構築と子どもの自己肯定感を育てることが大切
不登校を解決するために「何が嫌なのか原因を解決しなくてはいけない」と感じているかもしれません。
お子さんが「学校へ行きたくない」と感じる原因やきっかけは、1つに絞れず明確にわからないことが多いです。お子さんは、学校で感じたさまざまな「嫌だな」という事柄を抱え続けてしまい、限界に達したとき学校へ行けなくなります。
ただ、原因を辿っていくと、お子さんの自己肯定感が低いことで、嫌だと感じたことを乗り越えられなかったことに辿りつきます。
お子さんの自己肯定感を育てていくと、不登校という現状や学校の問題と自ら向き合うようになり、「自分ならば大丈夫」「抱えていた問題は自分にとって大したことではないかもしれない」と解決に向けて立ち向かっていきます。
そして、お子さんの自己肯定感を育ててあげられるのは、お子さんにとって最も長い時間を一緒に過ごす親御さんです。ただしこのとき、お子さんが親御さんのことを下に見ていたり、信頼していなかったりする状況だと、どんなにアプローチをかけてもそれがお子さんへ響きません。
そのため、お子さんにとって、信頼できて尊敬できる関係となるよう、正しい親子関係の構築も必要となります。
信頼できて、尊敬できる親御さんから、適切なポイントで適切に褒められていくことで、お子さんの自己肯定感がどんどん育ちます。
学校が嫌だと感じたきっかけとなった、不登校の原因を解説した記事も併せてご確認ください。文部科学省の最新調査をもとに14選の原因を回答数が多い順にランキング形式で公開しています。お子さんの心境を探る際に役立ちます。
1-2. 不登校から復学(再登校)を果たしている子どもの割合は?
「不登校が長期化してしまい、もう復学は難しいかもしれない」と感じているかもしれません。
決してそんなことはなく、お子さんと親御さんに「本当は学校へ行かないといけない」「できれば学校へ行ってほしい」という気持ちがあれば再登校を目指すことはもちろん可能です。
実際にスダチの支援では、約90%のお子さんが主体的な再登校を果たしています。2020年に不登校支援をはじめてから2025年1月現在までに1,400名以上のお子さんが学校復帰しました。さらに90.4%のお子さんがその後も継続して学校へ通えています。
不登校が長期化して昼夜逆転していたり、自分の部屋から出られない状況だったりしたお子さんも、最終的には自ら学校への復帰を選び、主体的に再登校しています。
また、文部科学省の調査からも、不登校から学校復帰しているお子さんは一定数いるとわかります。
「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」という最新の資料からわかる再登校したお子さんの割合は次のとおりです。
小学生 | 中学生 | 高校生 | |
割合 | 30.6% | 30.0% | 53.3% |
学校復帰した人数 | 39,878人 | 64,789人 | 28,966人 |
不登校児童生徒数 | 130,370人 | 216,112人 | 54,329人 |
参考参照:文部科学省「令和5年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」
小中学生は3割、高校生では5割のお子さんが学校復帰していることがわかります。ただし、継続的に登校できているのかまでは明らかになっていません。
2. 不登校から復学(再登校)に至るまでの心境変化のプロセス
不登校のお子さんが、行き渋りしてから再登校に至るまでの心境変化を紹介します。すべてのお子さんがこのプロセスを踏むわけではありません。ご家庭が受ける支援や、お子さんや学校の状況(※)によって異なります。
本章で紹介する心境変化は、「本当は学校へ行きたいのにどうしてもいけない」という状況のお子さんをスダチが支援したときのケースです。
※スダチへ相談した場合も、学校でひどいいじめがあったり、重いメンタルの疾患を抱えていたりする際は学校復帰が最善ではないことがあります。その場合、学校復帰に至るまでにこのプロセスとはならないことがあります。
2-1. 「学校へ行きたくない」と感じる不登校初期
学校で感じた「嫌だな」という出来事を乗り越えられず抱え込んでしまう時期です。
友人関係や勉強など、「嫌だな」と感じる事柄が複雑に絡み合って「学校へ行きたくない」という気持ちが生まれます。
「行きたくない」という感情ではなく、腹痛や頭痛、ゲームやスマホに没頭してしまい朝起きられないといった体調の異変として表れるケースも多いです。そして、徐々に学校へ行けない日が増えていきます。
お子さんも「本当は行かないといけない」とわかっています。それなのに、どうしても気力が沸かず行けない状況です。葛藤し罪悪感を抱えています。
2-2. 学校へ行けなくなる不登校中期
不登校中期では、学校へ行かないことが当たり前になっていきます。お子さんのなかにある、葛藤と罪悪感は軽減されているかもしれません。
ただ常に「本当は行かないといけないことはわかっている。どうすれば行けるようになるのかわからない。」というモヤモヤしたつらい気持ちを抱えて苦しんでいます。
つらい気持ちを誤魔化すために、ゲームやスマホに依存しているお子さんも多いです。
ゲームの世界は不特定多数の人とつながることができ、ゲームをクリアすると達成感も得られます。
居場所ができたと感じ、達成感を求めて没頭してしまうケースが多いです。そして時間を忘れて没頭し昼夜逆転が深刻化します。
2-3. 反発したり混乱しながらも前進する不登校回復期
不登校が長引きだした中期にスダチにご相談をいただくことが多いです。
スダチのサポートが開始すると、お子さんの生活リズムを整えること、親子関係を改善しながらお子さんの自己肯定感を育てていくことにアプローチしていきます。
その際、親御さん自らがお子さんにアプローチをかけていきます。毎日スダチがお子さんの状況をヒアリングして、その日のお子さんに合わせた声かけと接し方を親御さんへフィードバックする形式です。
親御さんが毎日フィードバックに基づき行動していただくことで、お子さんへ支援を提供できる仕組みとなります。
このとき、自分の生活のすべてだったデジタル機器に利用制限が設けられたり、いままでは何も口出ししてこず見守っていた親御さんの接し方が変化したりするため、一時的に反発するお子さんも多いです。
感情的になって暴れたり、暴言を吐いたりするお子さんもいます。その際もその日その日のお子さんに適切なアプローチをかけていきます。もちろん、親御さんが前向きに行動し続けられるよう、スダチが寄り添ってしっかり親御さんをサポートするのでご安心ください。
支援を続けていくことで、お子さんは反発しながらも、「本当は自分のことを考えてくれているんだ」「親はこの状況から回復できるように導いてくれているんだ」と親御さんのことを信頼して尊敬するようになっていきます。
「自分には頼りになる親がいるから大丈夫」という安心した気持ちも生まれます。
そして、尊敬できる親御さんから、適切に褒められていくことでお子さんの自己肯定感が育ち、徐々に前向きな言動や行動が見られるようになります。
2-4. 「学校へ行ってみようかな」という気持ちが生まれる不登校回復期
お子さんの自己肯定感が育つと、自分自身の状況と向き合い始めます。
今のままでは良くないこと、そして抱えている問題は今の自分ならば乗り越えられそうだという気持ちが生まれます。
そして、「学校へ行ってみようかな」と思うようになり、主体的な再登校を果たすお子さんが多いです。
3. 子どもが不登校から回復し復学(再登校)するきっかけとは
不登校のお子さんが、復学に向かうきっかけとなる事柄を解説します。
3-1. 安心できる居場所があり信頼できる親御さんの存在に気づくこと
ご家庭が安心できる居場所であること、信頼できる親御さんがいることに気がついたとき、復学に向かって前進できます。
どんなときにも自分の味方であり、社会のなかで生きていけるようしっかり育ててくれる親御さんの存在を実感すると、「この親がいるから自分はどんなときでも大丈夫なんだ」と感じ、前へ進むための気持ちの土台ができあがります。
そのためにも正しい親子関係の構築が欠かせません。
3-2. 小さな成功体験を積むこと
勉強や習い事などをとおし、努力を継続して小さな成功体験を積むことでお子さんの自己肯定感が育つことがあります。
自己肯定感が育つと「頑張っていたら自分でもできるようになった。学校のことも自分なら大丈夫かもしれない。」という気持ちが生まれ回復のきっかけとなることがあります。
3-3. 復学に向けた支援を受けること
復学を目指している場合には、再登校に向けた支援を提供する専門家への依頼も欠かせません。
前述のとおり、現状の文部科学省の方針では積極的に学校復帰を促しません。学校をはじめとする公的な支援では、今の状況のお子さんを見守る支援となることが多いです。
つらい気持ちを軽減するようなカウンセリングだったり、お子さんが無理なく過ごせるような居場所の提供だったりが支援の中心となるかもしれません。
ただ、現状を見守っていても、復学を目指すことは難しいです。そのため、復学を目指したいときには、復学に向けた支援を受ける必要があります。
スダチでは、復学をはじめとして、お子さんが将来社会で自立して幸せに生きられることを目指して支援を提供しています。
今まで1,400名以上のお子さんを再登校に導きました。
根本的な課題にアプローチしているため、スダチがサポートしたお子さん方は、主体的に学校で抱えていた問題を乗り越えて再登校を果たしています。
不登校解決に役立つ情報もたくさんお届けします。
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4. 不登校からの復学(再登校)に向けて親御さんができるサポート
お子さんの復学に向けて親御さんができるサポートを紹介します。お子さんへの対応方法に悩んでいるときは、参考にしてください。
4-1. 正しい親子関係を築く
お子さんを回復させるためには、自己肯定感を育てることが何より大切です。
お子さんの自己肯定感は、信頼できて尊敬できる親御さんに適切に褒められていくことで育てられます。そのためには、立場の逆転していない適切な親子関係を築かなくてはなりません。
また、復学に向けて昼夜逆転の改善などお子さんの生活習慣を整える際も同様です。ゲームの時間や就寝時間のルールも、適切な親子関係になることで、お子さんが親御さんの言うことを素直に聞き入れるようになります。
正しい親子関係とは次のような関係です。
- 親が子どものいいなりになっていない
- 子どもが親の顔色を窺っていない
- 子どもが親のことを信頼して尊敬している
正しい関係を築くためには、ダメなことはダメだと毅然とした態度で伝え、いつもお子さんの行動に目を向けて良いところはたくさん褒めてあげることが大切です。
4-2. 子どもの自己肯定感を育てる
正しい親子関係を構築したら、次のことを意識してお子さんをたくさん褒めてあげましょう。
- 結果ではなく行動に目を向けてあげて褒める
- 頑張っていたところ、子どもが自分で考えて行動していたところを特に褒めてあげる
- 他人とは比較をせず、過去のお子さんと比較をして褒めて成長を実感させてあげる
自分の行動や考えを褒めてもらえたり、過去の自分よりも成長していると実感できたりすることで、お子さんの自己肯定感がどんどん育ちます。
4-3. 子どもの生活習慣を整える
復学を目指すのならば、朝学校へ行く時間に起きる必要があります。ゲームやスマホに依存して朝起きられない状況ならば、その状況の改善は欠かせません。
- ゲームの利用は〜時まで
- 朝〜時に起きられるようになったらゲームができる
など、お子さんの話し合いながら家庭でルールを設けましょう。家族でご飯を食べる時間や、起床時間、就寝時間を決めることでルーティーンが確立して生活習慣が整います。
4-4. 子どもに考える機会を与える
お子さんに考える機会を与えることも大切です。なんでもやってあげるのではなく、どうすれば解決していけるのか考え行動できるような声かけをしてあげてください。
また、お子さんが問題をネガティブに捉えているときには、その問題をさまざまな角度から俯瞰して捉え、考えられるよう促してあげましょう。
お子さんが前向きに今の状況と向き合い、解決に向けて考えて行動できるような機会をつくりましょう。
5. 不登校の回復段階で親御さんが注意すること
お子さんの不登校の回復段階において、親御さんは以下の点に注意しましょう。
- 焦らないようにする
- 先回りして学校復帰の準備をしない
- お子さんの変化へ過剰に反応しない
それぞれの注意点を順番に解説します。
5-1. 焦らないようにする
お子さんから「学校へ行ってみようかな」という言葉が出て、実際に通い始めたとしても、連続して登校するのが難しくなる場合もあります。
その際、親御さんは「振り出しに戻ってしまった」と感じて焦るかもしれませんが、心配しすぎる必要はありません。
不登校になる前と比べて、お子さんの自己肯定感は確実に育っており、少しずつ前に進んでいる証です。
焦らず、お子さんのペースに合わせて、安定した再登校ができるように温かくサポートしていきましょう。
5-2. 先回りして学校復帰の準備をしない
お子さんが回復に向かう姿を見ると、つい親御さんは学校の準備を先回りして進めたくなるかもしれません。
しかし、その様子がお子さんにとってプレッシャーとなり、逆効果になることもあります。
回復段階では、お子さんに気づかれないよう配慮しながら、学校の先生と連携を図りましょう。
お子さんがスムーズに再登校できるよう、環境を整えることが大切です。
焦らず、お子さんのペースを尊重しながら進めていくことが、安心感を与えるサポートにつながります。
5-3. お子さんの変化へ過剰に反応しない
お子さんが回復している様子が見られると、つい「これなら学校に行けそうだね!」と明るく話してしまうことがあるかもしれません。
しかし、親御さんが喜ぶ姿を見て、お子さんが「早く学校に行けるようにならなきゃ」とプレッシャーを感じてしまう場合もあります。
その結果、思うように通えない自分を責め、自己肯定感が下がってしまうこともあるため、過剰な反応は控えましょう。
代わりに、「最近は体調が良さそうでよかったね!」といった言葉をかけ、前進していることを実感させてあげることが大切です。
このような穏やかな声掛けが、お子さんの安心感や自信につながります。
6. 不登校の回復段階に見られるお子さんのサイン
本章では、不登校の回復段階に見られるお子さんのサインを4つご紹介します。
6-1. 「暇だな」という言葉が増える
不登校のお子さんは、自己肯定感が下がりきっていて、無気力な状態となり、何もやる気が起きない場合が多いです。
しかし、親御さんからの声掛けなどをとおし、自己肯定感が育っていくと、活動できる時間が増えてきます。
何もしていない時間を「暇」と感じるようになったら、それは回復のサインかもしれません。
「暇だ」「何かやることはないかな」とお子さんが話すようになったら、家族で一緒に出かけたり、簡単な家事を手伝ってもらったりするのがおすすめです。
6-2. 主体的に何かに取り組むようになる
不登校になると、学校に行かないことで勉強への意欲を失うお子さんが多いですが、実際にはお子さん自身も勉強の遅れや将来について不安を抱えています。
ただ、どこから始めればいいのかわからず、取り組む前から諦めてしまうこともあります。
回復段階になると、元気を取り戻し、ゲームやスマホではなく、勉強や習い事、運動などに自主的に取り組む様子が見られることがあります。
この姿を見て、親御さんが「もう学校に復帰できるのでは」と思うのは自然なことですが、焦りは禁物です。
無理に勉強や習い事などを進めさせようとすると、かえってお子さんのやる気を削ぐ可能性があります。
「親がやれというからやる」という状況のとき、お子さんは「やることはやっている」という感覚になってしまい、学校復帰という目標を見失ってしまう場合があります。
また、勉強や習い事でなにか問題が起きたときにも「親に言われたからやったのに失敗した」と他責思考につながるかもしれません。
回復段階は次の一歩に向けて自己肯定感が高まってきた時期であり、完全な回復ではありません。
焦らず見守りつつ、必要に応じてサポートを提案することが大切です。
6-3. 家族との会話が増える
不登校のお子さんは、家族や友達との会話が少なくなることがよく見られます。しかし、回復段階に入ると、自然と周囲の人と話す機会が増えることがあります。
例えば、自分から積極的に話しかけたり、家族や友だちと会話する時間が長くなったりする場合、それは心に余裕が生まれてきたサインと言えるでしょう。
こうした変化をお子さんが少しずつ元気を取り戻している兆候として受け止め、温かく見守ることが大切です。
6-4. 進路について考えるようになる
学校や進路について考えることを避けていたお子さんも、回復段階に入ると少しずつ興味を示し始めることがあります。
例えば、自分から将来の目標について話したり、進路について調べるなど、前向きな行動が増えてくることがあります。
また、中には「受験したいし学校へ行ってみようかな」といったように、外の世界に目を向けるお子さんもいるでしょう。
保護者としては、お子さんが将来について考え始めた際には、その目標や進路を実現できるよう、温かくサポートしていくことが大切です。
お子さんの意欲を尊重しながら、一緒に進む道を考えていきましょう。
7. 不登校から復学(再登校)へ向かった事例
ここでは、不登校のお子さんが復学に向かうきっかけ作りの例を紹介していきます。
参考にしてみてください。
7-1. 親が子どもの話を聞くようになって好転
家庭内でのコミュニケーションがうまくいっていなかった場合、親御さんが落ち着いて話を聞ける状態を整えることで状況が好転した例があります。
- 子どもの話している内容や気持ちによく耳を傾ける
- 子どもの考えていることを尊重する
- 間違っていることがあれば、否定をするのではなく、教えてあげる
上記の取り組みをおこなうことにより、正しい親子の信頼関係を構築できます。
「信頼できる親がいるから、学校へ行っても大丈夫そうだな」と復学への一歩を踏み出せるでしょう。
お子さんが不登校になったときに親御さんが取り組むべきことについて、次の記事でお話ししています。
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7-2. 前向きに考えられるカウンセリングで子どもの気持ちが整理できた
混乱して不安な気持ちが大きいときには、子どもが物事を前向きに捉えられるような声かけやカウンセリングも大切です。
学校で抱えている問題を多角面から捉えることができ「自分が今抱えている問題は、実は簡単に乗り越えられることなのかも」と前向きに考えられるようになります。
問題をポジティブに捉えられたことがきっかけとなり、再登校を果たしたケースも多いです。
カウンセラーや専門家の力を借りたり、以下の動画を参考にしていただき、お子さんが物事をポジティブに捉えられるような声かけを実施してみましょう。
8. 不登校からの復学や自立を目指せる相談機関
ここでは、不登校のお子さんを復学や自立に導くための相談機関を紹介していきます。
親御さん一人で悩む必要はありませんので、専門機関の力を借りながらお子さんに最適な方法で不登校を解決していただけたら幸いです。
8-1. スダチなどの専門機関
スダチでは、お子さんが不登校になったきっかけがわからないときにも、お子さんの心境を紐解き、根本的な課題にアプローチして、お子さんを主体的な再登校に導いています。
スダチの支援を受けたお子さんの中には、不登校が長期化していたお子さんもいましたが、再登校に成功しました。
スダチの支援では、そのときのお子さんの状況に合わせた最適な声かけ方法や接し方を親御さんへ指導しております。
親御さんが日々フィードバックに基づき行動してくださることで、お子さんの心の元気が回復し主体的に再登校しています。
8-2. 学校
学校での問題や、登校していたときの様子を把握するためにも、学校との連携は必要です。
ただし、学校や教員によって対応や運営方針が異なる点は注意しておきましょう。
教員によっては、積極的な対応が期待できない場合も残念ながらあります。
「再登校を促してほしい」という相談ではなく、お子さんの学校での様子を探り心境を理解したい際に相談してみるとよいでしょう。
8-3. ひきこもり地域支援センター
専門家が在籍している施設です。
不登校やひきこもりの相談を無料でできるのが特徴です。
医療機関や民間の不登校支援施設とつないでくれることもあります。
8-4. 医療機関
重いメンタルの疾患で学校へ行けないときには治療を優先する必要があります。
ただ、体調不良が続いており不登校が長引いている状況だと、うつ病や起立性調節障害という診断を受けやすい傾向があります。
ここで診断を受けてしまい「病気だから仕方ない」と再登校をあきらめてしまうのは、非常にもったいないことです。
本来ならば再登校を諦める必要がない場合や、投薬しなくても良い場合もあるため、医師の診断を鵜呑みにしすぎることはあまり推奨できません。
「お子さんが再登校を目指せる状況にあるのか?」は、ぜひ無料相談で現状の様子をお聞かせください。スダチでは、医師が作成した厳格な基準に基づいて再登校を目指した支援の提供可否を判断しております。
医学的な支援が必要なお子さんへは、適切な支援先へつなぐサポートもしています。
9. 復学までに時間がかかるお子さんが多い理由
9-1. 生活習慣を正す必要がある
不登校のお子さんの多くが、スマホやパソコン、ゲームなどのデジタル依存により昼夜逆転した生活を送っています。
生活リズムの乱れは、学校復帰の大きな障害となることが多く、再登校を果たすためには改善する必要があります。
デジタル依存および生活習慣の改善は、ご家庭でのルールを変えていかないとなかなか改善できないものです。
まずは、お子さんが何時に寝て起きているのか記録し、現状を把握しましょう。
そのうえで、お子さんと相談しながらルールを作っていくことが大切です。
- 夜10時までには寝る
- 朝は6時までに起きる
- スマホやゲームは寝る1時間前には触らない
焦らず段階的に生活習慣を正していくことで、体と心のリズムが整い、再登校への意欲が高まるでしょう。
9-2. 失敗に対する恐怖がある
不登校からの回復に時間がかかる主な理由に、失敗やトラウマへの恐怖も挙げられます。
いじめや学習の挫折といった経験が心に残り、過去の出来事への恐怖がトラウマとして回復を妨げることがあります。
この恐怖が障壁となり、無意識に回復を避ける行動を取る場合もあるでしょう。
長期間悩んでいたお子さんほど、心の整理や立ち向かう準備に時間がかかるのは自然なことです。
そのため、回復には時間と労力が必要です。
親御さんがお子さんの感情に共感し、自分のペースで気持ちを整理できるように寄り添いましょう。
お子さんが安心感を持てる環境を提供し、過去の経験を乗り越えるためのサポートを続けることで、徐々に回復への意欲と自信を取り戻していきます。
焦らず時間をかけることが、回復を支えるカギとなります。
9-3. 見守り続けても解決しない
不登校のお子さんを支援する際、「見守ることが大切」とよく言われます。
しかし、ただ見守るだけでは問題が根本的に解決しないケースが多く、結果として再登校までに時間がかかることがあります。
見守るだけでは、お子さんが自ら行動を起こすきっかけがないまま時間が過ぎることも珍しくありません。
親御さんが見守り続けることで、お子さんが自立する機会を逃す場合もあります。
効果的に再登校を目指すためには、見守り続けるだけでなく、不登校の支援をサポートする団体を利用したり、学校と連携したりしながらアプローチしていきましょう。
10. 不登校の復学に関するよくある質問
ここでは、不登校のお子さんが復学できるのか悩む際によくある質問をまとめました。今後の参考にしてみてください。
10-1. 不登校から復学するまでにどのくらいかかる?
お子さんの状況や、どのような支援を受けるかにより異なります。
スダチでは毎日継続して伴奏型の支援を提供しているため、自然と早く回復するお子さんが多く、再登校サポートをご利用いただいたお子さんは1ヶ月満たずに再登校を果たしているケースが多いです。
ただその分毎日親御さんに行動が求められ、それを負担に感じてしまうご家庭もあります。だからこそご家庭に無理のないペースで再登校を目指していけるゆっくりサポートも提供を開始しました。
ご家庭とお子さんに合わせたペースで復学を目指しましょう。
10-2. 不登校の回復率はどれくらい?
文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果(平成30年度、令和元年度)」によると、不登校の状態が前年度から継続している(前回調査でも不登校に計上されていた)児童生徒数の割合は、下記のとおりです。
前年度(平成30年度)の不登校者数 | 令和元年度に前年度から継続している不登校者数 | 令和元年度に不登校でなくなった人数 | 昨年度に不登校であった者で、当該年度に不登校でなくなった割合 | |
小学校6年生 | 11,172人 | 8,272人 | 2,900人 | 26.0% |
中学校2年生 | 29,754人 | 25,063人 | 4,691人 | 15.8% |
また、10年前のデータではありますが、不登校の高校生の中退率は14%程度です。
参考・参照:文部科学省「不登校児童生徒の実態把握に関する調査報告書」
文部科学省「「不登校に関する実態調査」 ~平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書~(概要版)」
10-3. 不登校の生徒が学校復帰する方法は?
不登校から学校復帰する方法は、正しい親子関係を築き、お子さんの自己肯定感を育てることにあります。
また、その状態を整えると同時に、以下のステップを踏み再登校を目指しましょう。
- 学校と同じ生活リズムにする
- 通常クラスに直接復帰する
まずは、生活リズムを学校に通うのと同様のリズムに整えることが大切です。
また、学校復帰を目指すのであれば、別室登校(保健室登校)は挟まず、通常クラスで復帰することを推奨します。
別室登校を挟んでしまうことにより、以下のとおり2つのハードルを乗り越える必要がでてくるためです。
- 別室に登校する
- 通常クラスに登校する
それならば、最初から通常クラスで復帰を果たした方がお子さんの負担も少ないでしょう。
10-4. 不登校の学校復帰のきっかけは?
不登校から学校に行けるようになるきっかけは、お子さんによってさまざまですが、代表的なものを紹介します。
- 趣味に打ち込んで何かを成し遂げた
- 今まで以上に親子の信頼関係が深まった
- 習い事を通し家族以外の人との交流は深まった
お子さんの自己肯定感が育ち「自分なら大丈夫」と思えるきっかけがあると、学校復帰につながることが多いです。
11. まとめ
不登校のお子さんが復学するためには、お子さんだけでなく、親御さんがどのように対応してあげるかがポイントになってきます。
放任しすぎることもよくありませんし、過保護になりすぎるのもよくありません。
お子さんが置かれている状況を的確に見極め、正しい対応ができるようにしましょう。
ただし、親御さんだけで頑張る必要はありません。
現状のお子さんを心配に思う気持ちはぜひスダチにご相談ください。
スダチは、根本的な課題にアプローチしているため、スダチがサポートしたお子さん方は、主体的に学校で抱えていた問題を乗り越えて再登校を果たしています。